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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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24 ベリー摘み

 昼飯を食ったらお昼寝の時間。シルバーの腹を枕にお休みなさい。スヤスヤスヤ……。


 ──トンテンカントンテンカン。


 と、眠りにつくのを邪魔する音。なんだよ、いったい。静かにしろや。


 怒鳴るのも面倒なのでフードを被り、防音機能を追加した。ふ~。


 で、気持ちよく目覚めたら、我が家の隣に掘っ立て小屋ができてました。なぜに!?


「すまんな。滞在する場所を作らせてもらった」


 これはちょっとヤバイ方向に流れて来てるが、町の外は無法地帯。人の法すら届かない場所だ。そんな場所に住むのは自己責任。権利を主張したけりゃ力で示せ。なけりゃ大人しく黙っとけ、だ。


「そう」


「感謝する。掟は守るので安心してくれ」


 は? 掟? なんのこっチャイナ? 


 なにがなんだかわからんが、ジェスに任せときゃいいや。オレはオレのために行動するまでだ。


 シルバーに乗り、山へと向かう。


 今日からベリーの収穫である。いや、別にベリーを栽培してるワケじゃないよ。この夏の始めくらいから山の頂上付近にブルーベリーの小っちゃいやつが生り始め、夏の中間頃から秋の初めまで収穫できるそうだ。


 ってことを最近、ねーちゃんが友達のとーちゃんから聞いたそうな。


 クソ! そんなベリーがあるなら早く言えよな。四年も無駄にしたわ!


 っては大袈裟か。知っていても山頂付近まで登れなかったんだからな。


「頑張れシルバー。山頂付近には美味しいものが生ってるぞ!」


「ガウ!」


 食べることには通常の三倍の力を見せるシルバーくん。全力疾走は止めて~~~!


「……死ぬかと思った……」


 肉体が、ではなく、精神がな!


 クソ。前世の熊も時速六十キロくらいで走れるそうだが、いいもの食ってゴブリンを虐殺してレベルアップしている熊は前世の熊を軽く凌駕していたわ。


「その体格で時速百キロ以上とか反則だわ。人、勝てねーよ」


 レベルアップした魔物の恐ろしさ。今、痛感しましたわ~。


 クソザコゴブリンでも放置したら危険極まりない。見つけたら悪即斬だな。


「居座るようならジェスたちにやらせるか?」


 あの様子からして獣人やエルフは困窮してるはず。狩りで暮らしているようだが、生きるにはいろいろ必要だ。人が捨てた需要ならオレがもらうまで。


「まあ、さらに厄介事は生まれそうだがな」


 それはそれ。これはこれ。と割り切るしかない。弱者は食い物にされるだけ。それがイヤなら食う側になれ、だ。


 なんてことは帰ってからだ。今はベリーを優先させましょうだ。


「シルバー。見張ってろな」


 山頂付近とは言え、魔物がいないとは限らない。油断一秒即コロリ。世界が平和でありますように、とか、他力本願では生き残れない世界だからな、ここはよ。


 ローブの内側から手提げ篭を取り出す。


 潤沢……でもないけど、以前とは比べものにならないくらいの魔力を得て、ローブにアイテムボックス機能を搭載させました。


 他にもアイテム工房にアイテム研究室とか、まだ能力も低く小さいけど、徐々に拡大拡張していくさ。もうローブなしでは生きていけない! ってくらいにしてやるぜ!


 さあ、ベリーベリー。ベリーを摘みましょうね~。


「ってか、味の確認してなかったわ」


 食えるとは聞いてもここにあるのが食えるとは限らない。慎重に安全にだ。


 >と鑑定。食えるようだし害はないようだ。まあ、食いすぎはダメだけど。


 一粒摘まんで口に入れる。クチュクチュゴックン。あーすっぺー!


「酸味が強いな。さすが野生だ」


 そのまま食べるのは辛いが、ジャムにすれば十二分に食える。


 チマチマベリーを摘み、いっぱいになったらアイテム工房へ送り、ジャムを創ってみる。


 瓶に入って出て来たベリージャム。蓋を開けて味見する。


「うん。美味しっ!」


 これなら前世のジャムにも劣らないぜ。


「ガウ! ガウガウ」


「ハイハイ。ちゃんとやるから頭を揺らすな」


 手加減してるだろうが、お前はちょっとした木を折るくらいの力があるんだから止めなさい。


 ローブの防御力も高めているが、シルバーの一撃に耐えられるほどの防御力はない。次は防御力を高めようっと。


 瓶を受け取り、器用に舌を使ってベリージャムを舐めるシルバー。美味いか?


「ガウ!」


 それはなにより。オレの舌よりお前の舌のほうが信頼があるからな。人として誇れないけど!


「結構あるな」


 森林限界を越えた先に生るものなのか、結構上のほうまで生えていた。


「ガウ!」


「ん? なんか来たのか?」


 ささっとシルバーの陰に隠れる。


 辺りを見回すと、エルフのハリュシュがこちらへ駆けて来るのが見えた。なんや!?


「や、やっと追いついた。どんな脚してるのよ?」


 エルフの脚もどうなってんだろうな? たぶんここ、標高一千メートルくらいはあり、家から二十キロは離れてるはずだ。


「なに?」


「護衛よ。あなたに死なれたら困るからね」


 護衛? なんで? 赤の他人なのに。 

 

「いらない」


 知りもしないヤツに守られるとかあり得ないだろう。頭お花畑か。


「言ったでしょう。あなたに死なれたら困るのよ。勝手にさせてもらうわ」


「邪魔」


 いらないって言ってんの。こっちにはいろいろ秘密があんだからよ。


 一歩も引かないハリュシュ。なら、こちらが去るまでだ。


 シルバーに乗り、別の場所へと移動する。


 充分離れたらまた収穫再開。けど、すぐにハリュシュがやって来た。


 も~。しつこいな~。護衛じゃなくストーカーだよ。


 ったく。今日は収穫中止だ。帰ってジェスに苦情しないとな。


 息切れするハリュシュを置いて我が家へと帰った。


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