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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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22 イケメン獣人キター!

 今日からオレはハニーハンターだ!


 ソーイングマスターはどうした?


 それは一時休業です。よりよい儲けを得られるほうが重要視されるのです!


「ってか、この世界、瓶を作る技術があったんだな」


 グルメじーちゃんがこれに入れてくれと、ビール瓶くらい濃紺色の瓶を十本置いていった。あと、コルクも。


「大体六百ミリリットルとして十本だから六リットルか。ねーちゃんとシルバーのオヤツ分を引いても余裕だな」


 去年は採りすぎて今年は巣が小さいが、六リットルなら余裕だろう。


「ふふ。蜂蜜酒六リットルでイモ千以上の魔力を得られるんだから笑いが止まらんぜ」


 半分はローブに注ぎ込み、残りは家の拡張や竈の屋根設置だ。


「シルバー。ハニーハントへ出発だ!」


「ガウ!」


 日暮れまでに一巣は狩りたい。近くにあるといいな~。


 そんな願いが神様に通じたようで、前に巣を作ってたところに縦横一メートルくらいの巣ができていた。ヒャホー!


「ガウガウ!」


「こら! お前は周りを警戒してろ。ゴブリンが来たらオレは死んじゃうだろう」


 女王様は食わしてやるから大人しく警戒してなさい。


「ガウ~」


 まったく、従魔なんだから主の命令に喜んで従えや。


 でもまあ、そんなお前も可愛いよと撫でてやる。従うだけの人形じゃおもしろくないしな。


「さあ、やりますか」


 一応、安全を考えてフードを被る。ちなみに編み目を荒くして見えるようにはしています。


 巣に近づくと、なにかのセンサーが働いたのか、巣から大量の蜂が出て来た。


「大量大量。オレの幸せを祝ってくれてるかのようだぜ」


 苦労の多いこの世界。たまにご褒美があるから絶望できないんだよな。


「では、いただきます。吸引っと」


 バージョンアップした吸引は恐ろしや。あっと言う間に大量ゲットしましたぜ。


「ガウ~!」


 まあ、蜂はシルバーの食料なのでシルバーが一番得してるんだけどな。


 守る者がいなくなった無防備の巣へランラランラ~ンとスキップで向かう。


「まずは蜂蜜ゲット」


 巣を傷つけず、創造魔法で蜂蜜だけを吸い取る。


 魔力は使うが、巣が残っていれば新たな蜂が来て再利用するのだ。なので、女王蜂がいるところをだけを切り取り、女王蜂とその周辺にいる蜂の子だけをいただきます。


「資源は大切に、だ」


 オレの幸せになってくれる魔物はよい魔物。ただし、ゴブリン、お前は別だ! 


「ほれ、シルバー。女王蜂だ」


「ガウ~!!」


 ラグビーボールくらいの女王蜂に食らいつくシルバー。心なしか女王蜂を食うごとに毛並みがよくなってないか?


 巣をほじくり蜂の子を一匹摘まみ出し、人が食べるとどんな効果があるかを鑑定してみる。


「……血の循環がよくなり、肌や髪を活性化させるね……」


 他にも免疫強化や自律神経回復とかあるが、ようするに金になるってことだ。


「この世界でも美容は儲かるからな」


 オレが創った保湿クリームは娼館でも人気で、ちょくちょく頼まれているくらい。イモ一個分約十グラムが、銅貨六枚で売れるのだから笑いが止まらんぜ。


「ファンタジーな回復薬と混ぜればお肌ピチピチだな。クフフ」


 なんて皮算用はあとにしてだ。そろそろ帰るか。夕飯の支度をしないとならんしな。


 帰る途中で山菜や野鳥を採りながら無事帰宅。なんか獣耳とフサフサの尻尾を生やしたイケメンがいました~。


 狼か犬だかは知らないが、これはアレだ。ファンタジーのド定番。獣人だ! 獣人キター!


 ハァ~。いるとはかーちゃんから聞いてたが、まごうことなき獣人様ですわ~。耳と尻尾、モフりて~。


 いや、オレはケモナーではないが、この獣人、いい毛並みしてんな。なんか手入れ道具とかあるんか? シルバー用に欲しいんだけど。


「なに?」


 なんて感情はひとまず置いといて、だ。防衛のためにシルバーを盾にする。酷い主とか言っちゃイヤン。


「ここの娘か?」


 そうだよと頷く。人攫いならモフでも容赦しないぜ。


「おれはジェス。冒険者をしている」


 ほーん。冒険者なんだ。姿は狩人っぽいけど。毛皮を巻いたような服着て槍を持ってるし。


「ミレンさんからの紹介だ。回復薬を分けて欲しい」


 かーちゃん、情報漏洩激しすぎるよ。秘密って言ったじゃん。しかも、五歳児一人いるところに男寄こしちゃダメでしょうよ。なんかあったらどうすんのよ?


「獣人は人に嫌われているので店を利用できんのだ」


 ヤダ。ここってそんな社会なの? マジでクソだな、この世界。そりゃ邪神も攻めて来るわ。


「困っていたおれを見かねてミレンさんがお前を教えてくれたのだ。頼む! 売ってくれ!」


 必死に頭を下げるイケメンな獣人さん。


「わかった」


 別にイケメン獣人さんに同情したわけじゃないが、回復薬はしこたま余ってる。


 だってオレは命大事にな性格だし、ねーちゃんは野生児で自分で回復魔法が使える。かーちゃんは普通に宿屋の仕事をしてたらケガもしない。使う状況がまったくないのだ。


 それでも万が一があるから常備はしておくが、回復薬も生もの。劣化もすれば腐りもするのだ。時間凍結できるマジックバッグは食料品でいっぱいだしな。


 家から回復薬箱を持って来てた。


「古いから一つ銅貨一枚。新しいのは銅貨五枚」


 このままでは捨てるだけのもの。銅貨一枚になれば儲けもんだ。ちなみに原価は銅貨二枚かな? 勝手に生えてるのを採って来て、イモ一個分で創るからよ。容器はサービスだ。


「いいのか、そんなに安くて?」


「いい」


 在庫一斉処分だしな。


「また買いに来ていいか?」


「魔石を持って来るなら」


 金より魔石だ。冒険者なら魔石のほうが都合がいいだろう。


「助かる! また来る」


 毎度あり~。次の来店をお待ちしてま~す。


 さあ、晩飯作ろ~っと。


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