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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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171 冒険者登録

「ボス。いつまで買い物をしてるんだ。そろそろ冒険者組合にいかないと混むぞ」


 買い物を楽しんでいたらイビスに首根っこをつかまれた。


「え? 混む? まだ夕方じゃない」


 買い物は値引きが始まってから勝負よ! と、前世の女友達が言ってましたが?


「そんなクソの言うことはゴミ箱に捨てろ! いくぞ!」


 首根っこをつかまれたまま冒険者組合へと引っ張られていきました。


 オレに買い物をさーせーろー!


 なんて叫んで抵抗しましたが、まだ魔法使いなローブを強化してないのでイビスの力には勝てません。早急に強化しないと襲われちゃう~。


 なんてやってる間に冒険者組合へと引っ張られて来てしまった。こいつ、容赦ねー!


「え、えーと、リ──じゃなく、スズ様、ですか?」


 冒険者組合の前にジェスがいて、魔法使いなスズちゃんに戸惑っている。可愛いやろ?


「うん! ボクはスズ。様とかいらないよ。これから一緒に冒険するんだからね。あ、ジェスが代表ね。ボクたちまだ九歳だし」


 まあ、九歳の女の子がいる冒険者チームもどうかと思うが、年齢はどうにも……できるけど、この冒険は修行でもある。修行と思えば今の年齢のほうが都合がいいはずだ。


「そう言う設定だからよろしくね!」


「どう言う設定だよ? ボスの頭の中は一般人にはわかんねーんだよ」


 オレ、難しいこと言ってるか? 簡単に説明してるんだけどな?


「ってか、ここが冒険者組合?」


 なんか想像してたのと違う。まるで江戸時代の口利き屋みたいだ。


 ……建物もボロっちーし、裏通りにあるし、なんだかなぁ……。


「はい。ここが冒険者組合です」


「ジェス。口調。それじゃスズが変に思われる。出会った頃の口調でいいよ。ボクは他人の口調がどうであろうと気にしないから」


 敬われるのもいいが、他人行儀なのも寂しいもの。冒険はタメ口でいこうぜ。


「……わか……た……」


 まあ、今は無理でもタメ口していれば慣れるさ。


「冒険者って人気ないの?」


 組合もみすぼらしいなら冒険者? も、なんかみすぼらしい。ファンタジー感はどこにいった? これならまだ傭兵のほうがファンタジー感が出てるわ。


「渡りの冒険者もいるが、都市や町の冒険者は基本、中での仕事や周辺での仕事さ。金が欲しいヤツは傭兵を目指すものだ」


 夢も希望もない職業である。


「それで、なんで冒険者と名乗るの?」


「危険を冒す者、だからか?」


 ま、まあ、そう言われたらそうそうだけど! なんか納得はできねーな!


「貧乏人は危険を冒さなければ生きていけないもんさ」


 こっちはこっちでなんか悟ってるし!


 ったく。ファンタジーな冒険者を夢見てたのに、非情な現実を見せられるとは思わなかったよ!


「リ──スズ。冒険者登録は中だ」


 組合と言うのも烏滸がましい木造二階建ての建物に入ると、中もボロいと来やがった。


 カウンターとか依頼の貼り紙とかまるでなし。事務員的なおっちゃんが二人、机を向かい合ってなにか書き物をしていた。


「冒険者登録を頼む。この子らだ」


「あいよ~」


 なんとも軽い返事である。そりゃ傭兵に仕事を持っていかれるわ。


「じゃあ、これに名前書いて。書けないなら代筆するよ」


 言われた通り、出された紙に名前を書く。ってか、これだけ?

もっと個人情報を書かなくていいんかい?


「はい。スズとイビスね。はい、これ」


 と、木の札を渡された。なにこれ?


「新人に渡す木札だ。木札仕事は隣から選びな」


 以上、説明終わり、とばかりに書き仕事に戻ってしまった。マジで?


「ジェス。こう言うものなの?」


 説明不足にもほどがあるだろう。


「そうだな。都市では周りが知っているから説明もない。町ならもうちょっと説明はしてもらえるがな」


 元の世界のような丁寧な説明を求めるほうが間違ってるか。いきなり冒険者になろうなんてヤツ、滅多にいないだろうしな。


「木札ってのも雑だよね」


 せめて金属とかファンタジーなカードにしてくれよ。


「冒険者として名が上がれば鉄札になる。それまでになるには大変だがな」


「ジェスは鉄札?」


 知り合う前から冒険者をやっていたなら鉄札になっていても不思議じゃないな。


「いや、木札だ。おれたち亜人は人扱いされてないからな。今こうして都市に入れて自由にできるのはリン様のお陰だ」


 あ、そんな不遇な時代がありましたね。すっかり忘れてたわ。


「差別はされてない?」


「あるにはあるが、ウェルヴィーア教信者を差別したら天罰が下るとされている。リン様はケダモノは嫌いだからな」


 それなら天罰機能を加えておくんだった。さらにウェルヴィーア教の名が上がっただろうに。


「リン様に感謝を!」


 ってかオレ、聖紋持ってなかったわ。ウェルヴィーア教だってことにしないと。チチンプイのホイっとな。これでスズちゃんもウェルヴィーア教です。


「それで、仕事はどんなのがあるのかな~?」


 隣の建物にいくと、冒険者組合っぼく、仕事の内容が書かれた木札がたくさんかけてあった。


「……ほとんどが手伝い仕事やん……」


 物売りの呼び込みとか荷物運びとかちっとも冒険者っぽくなぁーい! 魔物退治はないのかよ!


「魔物退治は傭兵に回されるからな」


 うん。危険を冒すからって戦いに長けているとは限らないよねっ! 


 ……もしかして、オレは職種を間違えただろうか……?


「これじゃ冒険者として旅ができないよ!」


 渡りの冒険者ってなにしてんのさ? いや、狩人的なことしてたと聞いたけどさ。


「別に仕事を求めて旅をする冒険者もいるし、狩りをするヤツもいる。薬草集めは渡りに取って一番の儲けだな」


 道理で薬草に詳しいと思ったらそう言うワケだったのか。


「薬草集めの依頼はある?」


「札にはないが、薬処に持っていけば買い取ってくれるぞ。薬草は常に不足しているからな」


「う~ん。ウェルヴィーア教なら怪我や病気を治すようにしたの間違ったかな?」


 これでは薬草集めの仕事がなくなってしまうぞ。


「魔力回復はしないのだから大丈夫だろう」


 あ、確かに。


「じゃあ、魔力回復の薬草を集めよう!」


 スズたちの初仕事は魔力回復の薬草集めだ!


「それは明日な。今日は宿を探さないとな」


 あ、宿な。ヤレヤレ。その日暮らしの冒険者って大変だ。


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