165 主要メンバー
さあ、町へと繰り出すぜ!
と気合いを入れたのだが、オレはもう一人で歩ける立場ではありませんでした。
出かけると言ったらメイドたちが上への下への大騒ぎ。メイドたちが駆けつけ、部屋は三十人近く集まってしまった。
……自由と安全を犠牲にした結果がこれか……。
わかっちゃいたが、こうして現実を見せられるとため息が漏れてしまうぜ。
「リン様。どちらへお出かけですか?」
「町」
シスタールディアの問いに簡素に答える。
「では、すぐに準備します」
じーちゃんがいいように働いてくれたのか、反対する者はおらず、それぞれが動き出した。
「護衛は少なく。じゃないと町の様子がわからない」
「リン様。無茶を言わないでくだされ。ウェルヴィーア教をよしとする者ばかりではないんですぞ」
じーちゃんが苦言を呈する。
「ウェルヴィーア教は宗教の自由は認める。けど、ケダモノには容赦しない。それを教える」
自ら示す。ってワケじゃないが、利用する気は満々である。
「リンはハピネスが動きやすいように邪神の目を向けさせる必要がある。隠れてはいられない」
オレは陽動であり、本隊でもある。目立つことにより邪神の使徒を縛り、真の目的を隠すのだ。
「邪神との戦いに恐れるなら下がってて」
不本意ではあるが、邪神側からしたらオレが一番の障害だろう。放っておくことはまずない。隙をついて襲って来るはずだ。
つまり、オレがいる場所が最前線。殺し合いの場だ。戦う意思もなく、脅えているだけの者は邪魔でしかない。さっさと去れ、である。
……真っ先に去りたいのがオレと言う悲しさよ。ほんと、クソである……。
「リンは逃げない」
逃げられない、が正しいけど!
「ついて来る者だけついてこればいい。シルバー」
近寄って来たシルバーに跨がり部屋を出る。
すぐに配下の者たちが外へと駆けていった。
……う~ん。命令系統を考えないといかんかな……?
これまで察しろな感じでいたが、組織として動かすなら序列は作っておいたほうがいいかもしれんな。とは言え、種族による問題とかあるし、そう簡単にはいかないし、あー面倒クセー!
外に出ると、右往左往。真剣に組織作りを考えさせる状況だった。
「ジェス。主要なメンバー集めて」
「わ、わかりました」
「出かけるの中止。じーちゃん。十人くらい入れる部屋を貸して」
「あ、ああ。わかった。すぐに用意する」
回れ右して市役所に入る。
メイドに控室的なところへ案内され、出されたお茶を飲んでいると、ジェスが主要メンバーを連れて来た。
「すみません。イビス様の姿が見えず、集められませんでした」
「イビスは自由にさせておけばいい」
ワンマンアーミーを組織に組み込むのは間違い。まあ、他種族を組織しようってのも間違いなんだけどな。それでもしなくちゃならない苦労を誰かに理解して欲しいです!
しばらくしてメイドが来て、部屋を用意したことを告げた。
案内されて来た部屋は、なにか高級そうな談話室的なところだった。
……この時代、会議室とかないんかい……?
まあ、いいやと主要メンバーを座らせる。
メンバーは、護衛隊隊長のジェス。副隊長のレン。ちなみに護衛隊は獣人で纏めてある。繊細なことできんからな。
身の回り役を任せているシスターズを仕切るサリーナとターリー。サリーナが獣人でターリーがドワーフ。二人とも十八歳だ。
工作隊隊長のジアル。副隊長のバッズ。ドワーフで纏めた。
そして、じーちゃんが主要メンバーだ。
他に遊撃隊もいるが、今は都市の周辺を警戒してもらってるよ。
「急な召集、ありがとう。そして、ごめんなさい。伝道巡回の計画が甘かった」
大まかに決めて細かいことは伝道巡回に出てから改善と思ってたが、大まかどころかザルな計画だったわ。
「伝道巡回はウェルヴィーア教徒を増やし、邪神の使徒を狩るのが役目。常に戦いの場に立つことを求められる」
伝道巡回について来る者には命を捧げろと告げ、承諾した者から選別して六十八人を選んだ。
「けど、都市や町など人の多いところではそうもいかない。罪なき人々を巻き込むなどケダモノの所業。守るべき者を守ってこそ神の願いである」
建前は、だけど。
「けど、戦うに不十分な体制だと気がついた。リンが浅はかだった。ごめんなさい」
まったく、自分の低能さに泣けて来るぜ。
「そ、そんな! 頭を上げてください!」
「そうです! 謝るのはわたしたちです!」
「わたしたちが力不足なだけです!」
そう言えるだけの意識を持てたか。まあ、成長したと喜んでおこう。
「ありがとう。皆の声に応えるべく体制を変える。協力して欲しい」
はい! と全員の賛同を得たので改革を始めます。




