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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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101 出血大サービス

 実演販売にあまり乗り気ではないようだが、オレとの関係を拗らせたくないようで、人を集めるとは承諾してくれた。


「イビス。庭でショットガンの試し撃ちを見せる」


「ここでか? 音が響くぞ」


「魔法でショットガンを包む」


 さすがに町中で銃をぶっぱなすほど非常識じゃないよ。


「まるで常識があるような言い方ね」


 人形は人形らしく黙ってなさい。君の存在を説明するのに時間など費やしたくないんだからさ。


 庭に出て人型の板と煉瓦を用意し、イビスが出したライフル? ショットガン? なんかカッコイイもん出したな。


「ショットガン?」


「ああ。AA−12──オート・アサルト・トゥエルブ。三十発近くの弾をフルオートで撃てるものだ。インパクトを与えるにはちょうどよいもんさ」


 七歳児が持つようなもんじゃないのは見てわかるが、前世ではおっかねーもんがあったんだな。銃刀法がある国に生まれてよかった。


 ……銃刀がないと生きてけない世界とか泣けて来るわ……。


「ボス。この強化服、もうちょっと力を増せるか? 威力ついでに反動が強いんでな」


「魔力を出せば角猪を殴り殺せるくらいになる」


「……これ売ったほうが早くないか……?」


「金貨五百枚でも出しても構わないって言うなら売る」


 君の強化服にはそれだけの魔力を込めてんだよ。打出の小槌に死なれちゃ困るからな。


「……ボス……」


 なんか感動されちゃってるけど、イビスの感動を邪魔するのも悪いので黙っておこう。


「クズもそこまでいけば立派よね」


 クズではない。リアリストと呼びたまえ。


 A……まあ、ショットガンを魔法で包み込む。まったく無音ってのも味気ないので毛布五枚くらい包んだ感じにする。


 って、見学者が増えてんな! おねーさん方まで集まってるよ。余興じゃないのに。


「おもしろいものじゃないよ」


「おもしろくないかも知れないけど、スゴいものなんでしょう。あなたが売ろうとしてるんだから」


 ヌヌ。見抜かれている! なんて、見てたらわかるか。別に隠してもないし。それどころか理解してくれたほうが楽で助かるわ。


「好きにしたらいい」


 まあ、見たいと言うなら見ればいいさ。ウワサを広めるには多くの人に見てもらうのが最良だからな。


「おっちゃん。剣であの煉瓦を壊すのにどれだけ力が必要かわかる?」


 煉瓦で創った人型の的を指差す。


「あ、ああ、まあ……」


 それはよかった。知らないとショットガンの威力がわからないからな。


「イビス。よろしく」


 的から十メートルほど離れたイビスにデモンストレーションを開始させる。


 イビスが頷き構えると、ドンドンと連続で弾が発射された。


 ……毛布五枚分では足りなかったかな……?


 的に目を向けると、煉瓦の的が粉々に壊れていた。人なら挽肉になってるな。


「どう?」


 茫然としてるおっちゃんに尋ねる。


「……す、スゴい……」


 ショットガンの威力をちゃんと受け入れられることはできるか。


「あれは金貨三十枚。撃ち出した礫は一つ銅貨五枚」


「……た、高いな……」


「だから安いのを売る。先ほどのは金貨五枚。今なら金貨三枚にオマケ。礫ては五十個で銀貨一枚にする。大量購入してくれるのなら十個買うごとに一つオマケ。礫も百個買えば五十個オマケする」


 最初だもの、大出血サービスしちゃうよ。


「決めるのは明後日でいい」


 お金と魔石を用意する時間が必要でしょうからね。


「……か、考えさせてくれ……」


「いっぱい考えるといい。銃をどう使うか、どんな魔物に通じるか、どう運用するか、武器は人が使うんだから」


 おっちゃんの頭に脳ミソがカスカスでないことを祈るよ。


「それはわたしらにも売ってもらえるかい?」


 と、姉ばーちゃん。その歳で戦いに出るんかい!?


「男どもに持たせるんだよ。傭兵に持たせてバカなことされたら粗○ンを撃ち抜いてやるんだよ」


 お、おう。そうだね。


 もう股間になにもないのになぜかギュッとする不思議。オレの心にはまだついてるんだろうか?


「リボルバー、ショットガン、どっち?」


「両方十個ずつおくれ。礫も二百ずつだ」


 それはありがとうございます。初めてのお買い上げ、さらにオマケさせてもらいまっせ~。


「メンテナンスボックスをオマケする。この箱に入れて魔力を込めれば銃は新品になる。使わない礫も入れておけば長持ち」


 ロッカータイプの鍵つきをオマケしてあげまっせ。


「銃は練習したほうがいいから明後日の試し撃ちに来て」

 

 大事な大事なお客様。売ってそのままなんてしませんよ。

 

「ば、ばーさん、本気か? 娼館に必要ねーだろう?」


「だからお前さんは頭が堅いって言われるんだよ。益々魔物の被害が大きくなってんだ、身を守るものを備えておくのは当然だろうが。最後に自分を守れるのは自分だよ」


 さすが娼館を仕切ってる姉ばーちゃん。妹同様長生きするわ。


「備えを忘れた者は長生きできない。機会を活かせない者も長生きできない。愚か者から死んでいく。おっちゃんとは短い付き合いになるかも……」


 せっかく知り合えたのに悲しいよ。


「そ、そんな哀れな目で見るな。買う方向で魔石と金を用意する」


 クフフ。たくさん買ってたくさん消費してくださいまし。リンはお得意様には優しい売り手ですよ。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 使える年寄りは長生きしてもらいたいですね。さて、改造しなきゃ!
[良い点] >さすが娼館を仕切ってる姉ばーちゃん。妹同様長生きするわ。  だだの一娼館の経営者としては余計な出費をするのは失格かもしれぬが、今後の生き残りを見据えているのは指導者としては有能である。…
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