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黒金記 - Revenge of the Sunset  作者: 富士見永人
8/11

 がしゃーん。

 凄まじい音を立てて一台の巨大なトレーラーがパトカーの群れをボウリングのピンよろしく弾き飛ばし、突っこんできた。

「くそ。新手か」

 村正はM240で反撃を試みたが、トレーラーがそのまま怯まずに勢いよく突っこんできたため、すばやくBMWの裏へと逃げこんだ。

 村正たちのベンツががちゃんとトレーラーに弾き飛ばされ、大木に衝突してくしゃくしゃに潰れてしまった。

 トレーラーの運転席に座っていた唐茶(からちゃ)色の外套(マント)に身を包んだ背の高い褐色(かっしょく)肌の中東系の女が、涼しい笑みを浮かべて村正を見おろしていた。そのコバルトブルーの眼には、見る者の脊髄(せきずい)まで凍てつかせるような冷たさがあった。

 村正は彼女の顔に見憶えがあった。

「こりゃまた、とんでもねえやつが出てきたな」

 ティキ・セラシエ。

 ヘリオスのブラックリスト、その中でも特に危険と言われているA級テロリスト。エリトリアの元ゲリラにして、独裁政権を崩壊させ、長年続いたエチオピアとの戦争を終わらせた救国の英雄。そして彼女たちの戦いを秘密裏に支えていた白金グループ、殊に白金ヒヅルに盲目的な忠誠心を抱く真性の白金ワンワールド主義者。兄の形見でもある狙撃銃ドラグノフで複数の標的を遠方から瞬殺する〈精密機械(マシナリー)〉の異名を持つ凄腕のスナイパーである。

 助手席には眼鏡をかけた長身の男がいたが、村正には見憶えはなかった。おそらくティキ・セラシエの助手か、末端の構成員だろう。

 一瞬の隙を突いて敵のBMWが急発進し、ふたたび前方の警官隊目がけて走り出した。

 トレーラーも同時に発進した。コンテナの側面にはSAGARAという運送会社のロゴが書かれていた。おそらくそのへんの一般車を奪ってきたのだろう。まったく悪いやつらだ。破落戸(スクラップ)として地獄の谷底にぶち落としてやる。

 隊列を整え直しつつある警官隊が、敵のトレーラーとBMWの逃走を阻止せんと一斉に銃を構え、引金を引いた。

「援護するぞ」

 クローディアがH&Kヘッケラーアンドコック・G36を向けたが、ヒデルがM4で弾幕を張り、思うように撃てない。

 そうこうしているうちに、敵の放ったロケット弾が警官隊に容赦なく襲いかかり、炸裂。ばらばらになった警官たちの手足や臓物が四方八方に飛散した。

 そして直後逃げ遅れた警官の群れにトレーラーが突っこみ、無慈悲に轢殺(れきさつ)していく。

「わあ」

「ぎゃあ」

 警官たちの断末魔の声が辺りに響き渡り、まさに地獄絵図という有様だった。

「野郎」

 M240で反撃を試みた村正だったが、白金ヒデルの驚異的な反応によって先に弾幕を張られ、手が出せない。

 もたもたしているうちに敵のトレーラーとBMWは、切り開かれた文字通りの〈血路〉を突破し、逃走していった。

 ベンツを潰された村正たちに、追撃する手段はなかった。

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