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舞踏会~涼佳さんと一緒に~

 屋敷が広いと清掃も大変だろうなぁ…


 突如こう思った理由は、目の前の男性が誰かとぶつかった拍子にグラスを落とし、床にシャンパンらしきものをぶちまけたからだ


「皆様、少々お待ちくださいませ」


 清掃員の人がすぐにシャンパンを拭き、除菌スプレーみたいな物を使い始めた

 作業開始までわずか二分!


 さて、誰か探さな…っ!


「申し訳ございません、大丈夫ですか!?」


 なんてこったい。 今度は別のおとこがシャンパンを私にぶちまけやがったよ


「ええ。 お気になさらず」


 冷た! 何すんのよ!

 と、言いたいところだけれどアイルお嬢様の差し金かもしれない。 私はさそくさとその場を去った




「申し訳ございません。 本日はランドリーはお使いいだだけません」


 マジかよ…

 せっかくびしょ濡れのドレスのままランドリーまで歩いて来たのに!

 すまし顔の使用人め、このドレスで察しろ!


「そうでしたか…」


 もういい、帰ってやる…

 私が踵を返して屋敷の出入口に行こうとすると


「っ…! 大丈夫ですか?」


 …また男の人にぶつかった

 今日は厄日か!?


「ええ、お気になさらないで下さい!」


 イライラしていて、思わず声を張り上げてしまった。 もう帰るんだもの、変な女だと思われても関係ない


「カッカッカッ! どうしてそんなに怒っているんだい?」


 この笑い方に、この声は…


「涼佳さん?」


 ぶつかった男性の上半身しか見えていなかった目線を上げ、相手の顔を見た


「そうだよ。 そんなに暗い顔してどうしちゃったんだい?」


 涼佳さんはほんとうに本人か疑いたくなるほどの満面の笑みを浮かべている


「ドレスにシャンパンを零されて、冷たいしランドリーは使えないしで散々なんです」


 …なんだか愚痴っているみたい


「カッカッカッ! それは災難だね、ワシが何とかしてあげよう」


 そう言うと涼佳さんは私の手を取り、庭園へと私を連れていった

 …だから濡れてて冷たいんですけど!?




「よし、ここなら大丈夫だろう」


 庭園の奥まった辺りに連れていかれ、涼佳さんはお腹のあたりからいつものお面を取り出し、顔にはめて完全な烏天狗に変身した


 …どこに入れてたの?


「この団扇で仰いだらすぐだからね」


 涼佳さんは腕をおおきく振りあげ、葉っぱの団扇で私を仰ごうとした


 …だからどこに入れてたの?


「えっ、ちょ…!」


 待って。 の一言を言う前に団扇が振り下ろされた

 …あれ、強風が吹かない?


「よし、乾かして終わったよ」


 …早!

 しかし服を見るとシャンパンで濡れていた箇所など無く、着てきた時の状態に戻っていた


「ど、どうやったんですか!?」


 葉っぱの団扇で一部分だけ風を吹かすなんて出来るの!?


「カッカッカッ! 烏天狗の力だよ」


 涼佳さんは笑いながらお面をとり、頭に乗せて翼だけ残した


「…返したくないなぁ」


 突然涼佳さんに手を握られ、屋敷に戻ろうとしたけれど制止させられた


「…涼佳さん?」


 もしかしてまた嫉妬ですか?

 いや、嬉しいよ。 嬉しいですけれども!


「一緒に来て?」


 涼佳さんに抱えられ、そのまま飛ばれる

 …一緒に来ても何も連行されてるんですけど!?




「ここ、綺麗じゃないかい? さっき見つけたんだ」


 確かにすごく綺麗だ。 でも…


「や、屋根の上っていい景色が見れるんですね…」


 屋根の上まで連れて来るってどうなのよ!

 奇跡的にこの屋敷の屋根が平坦だったから良かったけど、三角屋根だったりしたどうする気だったのよ!


「でしょう? ワシはよくこうやって高い場所から街を見て色々考えるんだよ」


 …人間絶滅しろとか? それとも世界征服?


「何をですか?」


 …未知のウイルス蔓延しろ。 あ、これは一個目と同じか


「人間と妖怪の共存方法とか… かな」


 そういえばリーフをエルフの森に返した時も良い事をしたって褒められたっけ


「そうなんですか… 素敵ですね。 人間と妖怪達、異種族の共存って」


 奴隷とか見世物とか、そういう対象じゃ無く、友だちや家族として接する事が出来たらなんて素敵なんだろう


「カッカッカッ! カナデさんはもうしているだろう?」


 …確かに。 ドワーフと狼男と毎日生活してますね

 あとエルフと烏天狗に鬼、九尾やミイラ男… ドラゴンのお友達がいますね


「あはは… そうでした…」


 いや、私は共存と言うより求婚とか同棲の申し出をされてるだけだから何とも…


「そうだよ。 共存しようとしている人なんて中々いないよ?」


 すると涼佳さんは突然手を繋いできた

 …恋人繋ぎでな!


「…踊ろうか」


 突然過ぎませんかね!?

 しかももうステップ踏み始めてるじゃないですか!




「ダンスって照れるねぇ…」


 無言で、いや無音で踊り続けていたら涼佳さんが口を開いた


「そうですね。 誰もいないと、逆に照れてきますね」


 そう、ここには誰もいない。

 …だって屋根の上だもの


「それに、今夜は星が綺麗だね」


 そう言われて空を見上げると、確かに綺麗だった

 真っ暗な空にいくつもの星が輝いていて、幼い頃に両親と行ったプラネタリウムを思い出した


「本当だ… こんなに綺麗な空は、涼佳さんに見せてもらった夕日以来です」


 気づくとダンスも忘れ、二人で夜空を眺めていた


 …涼佳さんは嬉しいのかしょんぼりしているのか、どっちとも取れそうな表情を浮かべていた

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