舞踏会~紅緑さんと一緒に~
「やっと見つけたわよカナデちゃん」
皆を探していたら聞き覚えのある色気たっぷりな女性の声が聞こえたので、私は迷うこと無く振り返る
「紅さん!」
何故だろう、紅さんがここにいるだけで安心する
…大人が一人来るだけでここまで変わるのか
「早めに見つけられて良かった… 変な男達に連れて行かれてないか心配していたのよ?」
紅さんに会えてよかった… が
「紅さん、後ろの方々は?」
紅さんの後ろには若めの男性が十人くらいの束になってゾロゾロと続いている
「振り切りたいのだけれど、かなりしつこくてねぇ… 無視していいわよ?」
これが無視できるかい!
なんか私に対して敵対心バリバリでめちゃくちゃ睨まれてるんですけど!?
「…振り切るのを手伝ってくれないかしら?」
…はい!?
え、この方々は私のせいじゃないよね? そもそも手伝ったら呪い殺されそうなんですけど!
「え、いや…」
キッパリと断らなくちゃいけないんだろうけど、相手が紅さんだから断りづらい…!
「ごめんねカナデちゃん。 さ、行きましょうか」
えっ、ちょ…
左腕を掴まれ、紅さんにどこかに連行される
「ここまで来れば大丈夫そうね。 ありがとうカナデちゃん」
紅さんに連れられて書斎や二階の個室など、屋敷のありとあらゆる部屋に連れ回された
…男の人達は振り払えたけど、おかげで明日は筋肉痛が酷そうだ
「モテる大人は大変だね」
…本当に大変だ
「誘惑の術を使ってもいないのに、まさか追われる身になるなんて思っていなかったわ」
紅さんは涼しげな顔をしているけれど、一応私を巻き込んでますからね!?
「紅さんがキレイだからだよ」
赤い着物を着ている時も綺麗だけれど、紅いドレスもとても似合っている
…ヘタなアイドルよりも綺麗だ
「ふふ。 カナデちゃんに褒められると嬉しいわね、お姉さん照れちゃうわ」
紅さんは手を口元に当て、小さく笑い始めた
これは男性陣が射止められるのも分かる
「さて、カナデちゃんはどこかに行く予定はある?」
笑い終えた紅さんは手を放し、そのまま私の手にそっと触れた
「特にはどこにも… どうして?」
新しい追っ手に気付いたんだろうか…
いや、もう歩けませんって!
「ふふ。 言わなきゃ駄目かしら?」
…!?
こういう男の人を落とすテクニック見たことあるぞ!?
「は、はい…」
紅さんの妖艶な雰囲気に酔い、ドキドキしてきて無意識に敬語になってしまった
「カナデちゃんと踊りたいの。 リードならお姉さんがするから… ね?」
…マジか
屋敷の男性達を虜にしたこのお姉さんと一緒に? しかもリードしてもらうだと?
「私でいいの…?」
紅さんは私とダンテの練習を見ていたはずだから、私がダンスが下手な事は知っているはず。 それでもなお彼女は…?
「ええ。 お姉さんに声もかける勇気もないのに後をつける男達よりよっぽど良いわよ? それにカナデちゃんは可愛いから」
…動機がなかなか不純な気がするんだけど!?
「さぁ、踊りましょう?」
紅さんは触れただけだった私の手を握り、ステップを取り始めた
…ここ客室ですけど!?
「紅さん、九尾も人間の姿でダンスしたりするんですか?」
あまりにも上手なので、もはや趣味でよくやっていると言われても驚かないかもしれない
「ええ。 たまに舞踏会に侵入したりして食事を済ますわよ?」
…うわ、聞きたくなかったわ!
九尾って結構プライド高そうなイメージあったのに崩されたわ!
「うふふ。 冗談よ、でもダンスをしに来るのは本当よ?」
ああ、良かった…
危うく九尾がゲスい奴らっていうイメージが着くところだった…
「だからこんなに上手なんだね。 すごく踊りやすいよ」
そう言うと紅さんは満更でもないように微笑んだ
…可愛いなこの人
「カナデちゃんこそ、練習の時と大違いよ? 飲み込みが早いのね」
「いやいや、紅さんのリードが上手いから…」
二人の褒め合い合戦はそれから続き、誰かが入ってくるまで続いた




