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舞踏会~リーフと一緒に~

 ……


 舞踏会で写真撮影会が始まってる場所があるんですけど、これって普通じゃないですよね?


「こっち向いて!」

「もう少し顔を左に!」

「はァ… 可愛いよ!」


 何故か6歳くらいのエルフの女の子の写真撮影会が開かれてるんです。 ロリコンのおじさん達によってね!


「えっと… そろそろ皆のところに行きたいんですけど…」


 ほら! 被写体が!


「そんな事言わないでよー。 もうすぐ終わるからさ?」


 おじさん達は息を切らせながらバシャバシャと写真を取り続けている

 …終わる気配なんて微塵もねぇ!


「ご、5分くらい前にも同じ事言われましたよ!?」


 リーフが困ってるだろ! 辞めてやれよロリコンどもが!


「え? そうだったっけ?」

「ごめんね、あと少しだから!」


 気持ち悪いな…

 世の中のロリコンがあんなのじゃ無いことを祈る!


「失礼します!」


 私は勇気を振り絞っておじさん達の間に突っ込み、リーフの奪還を目指して前に進む


 熱気が凄くて、まるでジャングルのようだ…

 こんな所にリーフは1人で…


「リーフ! 助けに来たよ!」


 彼女まであと数歩という所で私は叫んだ。 叫ばないとおじさん達の荒い吐息に消されてしまいそうだからだ


「カ、カナデ!?」


 リーフは声に気づいたみたいで、私を見つけようとキョロキョロし始めた


「行こう!」


 リーフに右腕を伸ばし、彼女の伸ばした左手をにぎった

 …泣きそうな顔をしている


「おい! どこに連れて行くつもりだ!」

「リーフちゃんを離せ!」


 おじさん達が鬼のような形相…本物の鬼を見ているから比べるとそうでも無いけど、を浮かべて私に迫ってくる

 …何言ってんだコイツらは!


「アンタ達こそ、私欲のためにリーフを囲んで困らせて! 泣きそうな顔してた事に気づいてた!?」


 おじさん達には聞こえているのか聞こえていないのか分からない。 でも私は話を続けた


「離せ? アンタ達こそこんなに小さい子を悪びれもせず写真をバシャバシャと! 解放してあげようと思ってたの!?」


 私達を追いかけるおじさん達の足が止まる

 …怒らせちゃった!?


「リーフちゃん、私達のことが怖かったかい?」


 おじさんの1人が先陣を切ってリーフに問いかけた

 …今更?


「はい!」


 リーフもストレートに言ったな!

 しかも言った後にやっぱり怖くなって私の後ろに隠れるの止めよ!?


「そ、そうだったのか…!」


 ん? おじさん達が急にショックを受け始めた…

 今が好機か!?


「リーフ、今のうちにいくよ!」


 後ろに隠れたリーフの手を取り、おじさん達から距離を取ろうとするもリーフは動こうとしない


「リーフ…?」


 怖かったんじゃなかったの…?

 リーフは私に手を握られたまま、ショックを受けているおじさん達に近づいた


「次は順番で、なるべく短時間でお願いしますね!」


 そこかよ!

 謝れとかじゃないのね!?


「は、はい…! リーフ様!」


 おじさん達は女神を見たかのような顔をしている。 いや、彼らにとってはエルフでロリっていう時点で女神か


「それじゃあ失礼します!」


 リーフはおじさん達に手を振ると驚きで動けなくなった私の手を引き、おじさん達から離れた




「カナデ! すごく怖かった!」


 ダンスホールの端に着くとリーフは突然泣きだし、私に抱きついた

 …彼女なりに頑張って恐怖に耐えていた事が伝わった


「よく泣き出さなかったね、そこは褒めてあげる。 でもね?」


 私はお腹の辺りに顔を押し付けているリーフを離し、少し屈んで彼女と視線を合わせた


「本当に嫌なら嫌って言いなさい。 そうしないと誰も助けてくれないし、助けられないから」


 今回は私が助けたから良かったけど、リーフを見つけられていなかったら未だ彼女は写真を撮られ続けていたはずだ


「うん… ごめんなさい!」


 涙を手で拭おうとしているのでレースのついた白いハンカチを渡し、私は頭を撫で始めた


 私も知らないおじさん達に囲まれて息を切らせながら写真を撮られたら怖いと思う…

 いや、恐怖のあまり屋敷から逃げ出してしまうかもしれない…


「そういえば、どうしてあんな事になったの?」


 突然囲まれたなんて言ったらあのおじさん達をぶん殴りに行ってやる!


「もともと人が寄ってきてたけど、カナデがどこか行っちゃってから写真は撮られ始めたよ?」


 私のせいか…!

 私がリーフ達から離れていなかったら防げていたかもしれないのか…!


「ごめんねリーフ、勝手にいなくなっちゃったりして…」


 ようやく泣き終えたリーフに代わり、今度は私が泣きそうになる。 彼女の方が泣きたかったはずなのに、私が泣きそうになるなんておかしいよね


「ううん。 カナデは悪くないよ?」


 立場が一変して、リーフが私の頭を撫で始めた

 リーフの私を撫でる小さな手はとても心地よかった





「カナデ、私踊ってみたい」


 しばらく頭を撫でられていたらリーフがホールで踊っている人達を見てそう呟いた


「そう。危ない人には近寄らないようにね?」


 また彼女を見て興奮し始めるような男が寄ってきたら私が助けなければ…


「え? 一緒に踊ってくれないの?」


 …ん?

 私の練習見てたよね…?


「私下手だよ? それに男性のステップとかリードとか出来ないし…」


 そもそもリーフは練習を見ていただけで踊る練習はしていなかったし…

 それに人間とエルフの物ではまるで違うだろうし…


「うん。 でもカナデと一緒に踊りたい!」


 下手っていうのは否定してくれないのね!?

 まぁ下手だけどさ? さすがにリーフに恥をかかせるわけにはいかないじゃない?


「わ、分かった… 転んだりしたらごめんね?」


 私達はダンスホールの端の方で、形式にとらわれないダンスを踊り始めた


「見てるよりずっと楽しいね!」


 リーフはステップもターンも何も無い、ただ手を繋いで歩き回っているだけのようなダンスなのにとても楽しそうに踊ってくれた


 …男性のステップも出来るようにしよう

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