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舞踏会~カノンと一緒に~

 …広すぎる! なんでこんな無駄に広いわけ!?


 皆を探そうと思ったけれど、広すぎてどこにいるのか分からないどころか迷子になってしまった


 確か私はダンスホールにいたはずだったのに、気づくと書庫に来ていた。人の波に流された結果たどり着いた場所が書庫ってどうゆう…


「すみませんお嬢さん。 こんな所で会うのも何かの縁です、一緒に踊りに行きませんか?」


 書庫の中をぐるぐる回っていたら突然、知らない男に声をかけられた

 …知らない人に声をかけられてもついて行かないこと!


「いえ、結構です。 外に人を待たせているので失礼します」


 誠実そうな男だが、裏はヤバそうな顔をしている気がする。 話しかけられた瞬間、逃げなければと思った自分がいた


「少しくらいは平気でしょう?」


 書庫の出口へ向かおうとしたら男は私の右腕を思い切り掴んだ

 こいつ馬鹿力かよ! すっごい痛い!


「あの、離して頂けませんか!?」


 恐らくこの馬鹿力を出している時こそ、この男の本性を現しているのだろう。 話しかけられた時よりも目が生き生きとしている…


「踊って頂けるのであれば、お離し致しましょう」


 うわぁ… 護身術とか学んでおけば良かった!

 それよりコイツ面倒くさ! 嫌だって言われたらすぐ離せよ!


「ですからそれは…!」


 ああもう、これもアイルお嬢様の差し金か!?

 鬱陶しいわ!


「チッ… ガキは黙って従ってりゃ良いんだよ!」


 えええええ!?

 いや態度の変わりよう!


「たっ、助けて下さい!!」


 出口の方向に顔を向け、思い切り叫んだ

 これぞ[いかのおすし]だ!


「へっへっへっ、こんな所に誰も来ねぇよ! 」


 まぁ舞踏会が開かれてる時に書庫なんか来ないよな!?

 いや、分かってたけどさ!?


「どなた様か助けて下さい!!」


 本当に誰でもいいから! 1人くらいは書庫の前通って!


「だからこんな所に人なんて…」


 突然ヒュンっと、小さな風を起こしながら私の顔の横を何が通った

 …救世主キター!


「いますよ。 人」


 少し低めの女性の声。 間違いない!

 本棚をひとつ挟んで私と男のいる右側から黒いショートドレスの女性が姿を現した


「カノン!」


 彼女がいるということは、さっき飛んできたのはクナイだろう

 …ドレスの下に常備してたのかい!


「お嬢様から手を離しなさい。 さもなければどうしてしまうか分かりませんよ?」


 …怒ってますね!


「そうですか。 なら…」


 えっ、ちょっ、は!?

 男は私を思い切り引き寄せ、私にカノンの方を向かせると私の首に懐にあったであろうナイフを近づけた


 馬鹿なのコイツ!?


「なるほど…」


 カノンはそう呟くとクナイをもう一本、太もものあたりから取り出した

 …やっぱり常備してたんだね


「その刃物を下ろさないと、ここで彼女の首を切りますよ?」


 確かに! なにクナイなんか出して神経逆撫でてるのよ!


「下ろす必要なんてありません」


 ビュンっと今度は強い風が吹いた

 思わず目をつぶってしまったので、ゆっくり目を開けると首元にナイフは無かった

 それどころか…


「ほら。 一瞬ですので、下ろす必要なんてないのです」


 男は床に倒れていて、私はカノンに抱き締められていた

 …もしかして殺しちゃった?


「カノン! この人…」


 カノンがいくらメイド兼クノイチと言えど、人を殺してはいけないはずだ…


「大丈夫です。 ただ気絶させただけですので。 いや、それよりも…」


 震えている私を抱き締めるカノンの力が強くなり、彼女の体にさらに密着する

 あまりの密着具合で、心臓の音が聞こえてきそうだ…


「怖い思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした… お怪我はありませんか?」


 カノンの声は少し震えていた

 怪我は無いし、助けてくれたからどうして謝られたのか分からないけれど…


「大丈夫… でも、もう少しこうしてても良いかな…?」


 怖かった…

 本当に誰も来なくて、本当に殺されるかと思った…

 男が床に倒れていて、もう大丈夫なはずなのに震えが止まらない…


「ええ。 お嬢様が平気になるまでこうしていますよ」


 カノンは私の背中をゆっくりとさすり始めた。 少し恥ずかしいけれど、とても落ち着く…




「大丈夫そうですね。 このケダモノが目覚めるまでに行きましょうか」


 しばらくして私の震えが収まり、カノンと一緒にダンスホールに戻る

 彼女は私がどうして書庫なんかにいたのかは聞かなかった。 …多分迷子ってバレてる


「震えているお嬢様、とても可愛らしかったですよ?」


 …色々と台無しにしてきたな


「うるさい。 本当に怖かったんだから…」


 カノンのデリカシーのない部分が出た。 もう慣れたけれど、今はやめてほしい


「申し訳ございません。 少しはお嬢様の恐怖が和らぐかと思いまして」


 彼女の表情はいつも冗談を言う時の物とは違っていたので、多分本当に気分を和らげようとしてくれたんだろう


「せっかくダンスホールに戻ってきましたし… 踊りますか?」


 ダンスホールの人だかりは少し減っていて、大きくは無理だろうが多少は踊れるくらいのスペースは空いていた


「あ、でも私女の人のステップしか出来なくて…」


 今日の昼にダンテにステップを教えてもらったが上手く出来なかった上に、女性の方しか教わっていない


「ご心配はございません。 私は両方出来ますから」


 カノンはそう言うと男の人のように私の腰に手を回し、手を繋いだ

 …なかなか様になっている


「カノン… 上手だね」


 本当に男の人にリードをされているような気分だ

 とても動きが滑らかで、申し訳ないけれど教えてくれたダンテよりも上手く感じる


「すでに女性のステップは習っていたので、パートナーが伸び伸びと、踊りやすいようにするための研究をしたのです」


 …イケメンかよ


「凄いね… 私なんて女性のステップすらまともに出来なかったのに」


 きっとクノイチという事もあり、元々の身体能力も高いんだろう。 余裕の表情をしている


「まぁ、かなり練習しましたから… 翌日に筋肉痛で歩けなくなるくらい。 それを2週間ほど…」


 …!?

 2週間も…!? じゃあ私は一体何年かかるの!?


「このような足の動きはクノイチは致しませんから… その後はターンの仕方などを色々と…」


 カノンとのダンスで、私は彼女とたくさん話す事が出来た

 ついでにダンスを女性・男性の両方を教えてもらう約束をし、楽しいひと時を過ごした

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