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優秀なオオカミ男①

(マンドラゴラと会ってから3日後)


 昨日は家の話を延々とされて行くことが出来なかったが、今日こそはマンドラゴラと沐浴しに行ける!


 私は鉢植えに緑色に濁っている水をあげ、マンドラゴラを鉢植えから出した。 彼女を鉢植えから出すのはもう手馴れたものだ


「お嬢様、今日はどうなされたのでしょう」


 彼女の無表情は依然直る気配は無いが、そこそこ仲良くなれてきている気がする。

 --気がする


「この前に言ってた沐浴に行こうと思って! もう体調も大丈夫だからさ!」


 実は私も楽しみにしていた。

 森の湖で沐浴をするなんて東京…… いや、日本で滅多に出来ない体験だからだ


「本当でございますか?」


 マンドラゴラの表現は変わらないが、少し目の輝きが増した気がする。 これは仲良くなれるチャンスなんじゃ……!


「うん、だから早く行こう!」


 私はタンスからバスタオルなどを2人分用意し、リュックサックに詰めた。

 --マンドラゴラってタオルとかいるのかな?


「行きましょうお嬢様、早めに行ければ奴が先に沐浴を始めてしまいます」


 奴……? 誰の事だろうか。

 もしかして熊とかじゃ無いよね?


「さぁ参りましょう!」


 色々と心配な所があるが、マンドラゴラのキラキラとした目を見ると不安も吹き飛んだ。

 彼女が普段から感情を表に出せたら、きっと可愛らしい女性になるだろう。


 私はマンドラゴラに手を引かれ、初めて森の中に足を踏み入れた。




「この辺は道が不安定なのでお気をつけ下さい」


 いや……

 うん、さっきからずっと道不安定なんだよね。 けもの道と言うかなんと言うか、たまに崖登らされてるんだけど--


「もう少しです」


 そのもう少しっていう言葉も何分前から聞いているのか分からないくらい聞いた。

 この駄々をこねる子どもを親がなだめるような行為が何度も繰り返された。



「つきましたよ!」


 来るのでこんなにヘトヘトなんだから帰る時なんて倒れてしまうだろう……

 そう考えていたが湖を見た瞬間疲れが吹き飛んだ。


「綺麗……」


 湖の周りには花が一面に咲き誇っていて、水も綺麗に澄んでいて底が見えるほどだ。


「でしょう? さぁ、入りましょう」


 そう言うとマンドラゴラは着ていた服を脱ぎ、湖の中へ入っていった。

 とても気持ちよさそうな顔をしている……


「お、お邪魔します……」


 水は少し冷たかったが、驚いて出ていく程ではなかった。

 むしろ1度入ってみるとだんだん身体が冷たさに慣れてきた。


「気持ち良い……」


 思わず口から出てしまった。 しかしそれくらい心地よかった。


「でしょう?」


 マンドラゴラが髪をお団子に結んで近寄ってきた。 なんて可愛いんだろうか……!

 このまま家に連れて帰りたい!と思ったが一応同居している事を思い出した。


「今回は邪魔者もいないようで良かったです」


 その邪魔者とは誰のことなんだろうか、辺りに人の気配は無いが…… そう思っていると。


「ひぃっ!」


 森から銀のフサフサとしていそうな毛を持つ狼が現れた! このままだと食べられてしまう!

 湖から出て逃げたいけれど服を着ていない!


「チッ……」


 銀色の狼が舌打ちをした。

 いや、狼って舌打ちするの? そんな事する所初めて見たから分からないけど--


「またマンドラゴラとその飼い主かよ、せっかく沐浴しに来たのによぉ……」


 最近の狼って言葉も話すんですか!?

 世界の技術はここまで進んでいるんですか!?


「残念でした、お帰り下さい」


 マンドラゴラはしてやったと言いたげな目をしている。

 もしかしてこの狼が彼女の話していた邪魔者なんだろうか--


「へんっ、帰んねぇよ!」


 狼はそう言うと飛び跳ね、空中で一回転した。

 すると狼は銀髪の青年に変身した!


「俺も入る」


 いや、待て待て……!

 お前、一応女子入ってるんですけど!

 しかも変身したらお前--


「どうした飼い主? 何照れてるんだ」


 さっきまで狼だった男が湖に近づいてくる


「かよ…」


「は?」


 狼だった男が私の声を聞き取れなかったようで、顔を近づけた。


「変身したら全裸かよ! 気ぃ使え!」


 私は全裸で何も悪びれもしない狼を右手で殴ってしまった!

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