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主人公のお嬢様①

「お嬢様、本日はアイルお嬢様がお目見えになられるそうです。 …頑張って下さいませ」


 朝食中、私の正面で食事をしていたダンテが今日の予定を教えてくれた

 なんか今日は元気無いな…


「どうしたの? いつもより暗いよ?」


 いつもはニコニコ…いや、ニヤニヤしているのに様子が変だ


「お嬢様はまだマシですよ。 私やジャック様なんて… ねぇ?」


 ダンテの横に座るジャックも顔色が悪そうだ。 二人揃ってどうしたんだろうか


 …確かアイルお嬢様って推しの王子が来た時に言ってた主人公ちゃんだっけ?


「お、お兄さんは出張だから逃げるよ。 頑張れダンテ」


 ジャックは早々に朝食を済ませ、さそくさとダイニングを出て行ってしまった

 …そんなにアイルお嬢様に会いたくないの!?


「お嬢様は記憶喪失になられたので覚えていらっしゃらないと思うので、私がご説明致します」


 私の横に座っているカノンが渋々口を開いた




「綺麗でございますよ、お嬢様」


 私は朝食後、カノンと一緒にコーディネートを考えていたが彼女のファッションセンスが良くなっている事に気づいた


「ありがとうカノン。 ハール王子がいらっしゃった時は酷かったけど」


 あの時は本当に酷かった

 でも今日は白く薄めのニットに、水色のプリーツスカートで女性らしい服装を勧められた


「私なりに学習致しました。 副業をしに街へ出かけた際に」


 副業に集中しろよ!

 なにシレッと… 仕事中に女性の服装を観察してたって事でしょ!?


「あ、ありがとう…」


 お礼を言うべきか分からないけれど、彼女の気持ちだけでも受け取っておこう。 私の為に勉強してきてくれた訳だし


「いえ、お嬢様の為ですから」


 変な事を言わなければ良いメイドなんだけどなぁ… たまに来る爆弾発言が彼女の印象を悪くさせている気がする


「お嬢様、ファイトです」


 カノンは胸のあたりで自身の右手を強く握り、私にそう告げると部屋から出て行った

 …主人公ちゃんてそんなにヤバいの!?


「カナデ、馬車の音がした。 そろそろリビングに来た方がいいぞ」


 人間の姿のベルンがカノンと入れ替わるように部屋に入ってきた

 …客人が来るっていうのにこの男はまた黒いTシャツにジーパンかい!


「分かった。 すぐに行くからリビングで待ってて!」


 まぁベルンにドレスコードなんて言葉は無いだろうし、言っても無駄でしょ…


「おう」


 そうとだけ言うと彼は部屋を出て行った

 すると庭に馬車が止まる音がした。 最近はベルンの耳の良さによく驚かされる




「カナデちゃんおはよう!」


 …主人公とは


「あっ、執事さんもおはようございます! 今日もカッコイイですね!」


 主人公って謙虚さとかで攻略対象を落としていくよね? 何なんだこの娘は…


「えっ! イケメンが増えてる!」


 カノンから聞かされた通り…


「えっ!? すっごいイケメン! タイプ!」


 超面食い! しかもガツガツ系の!


「あっ、えぇ? 俺?」


 ベルンがイケメンと吠えられ、近寄られている

 普通なら良かったじゃんと言える所だが、本人はオドオドしている


「執事なのに一人称は俺なのね!? 素敵!」


 ベルンはリビングに着くとダンテと似たような燕尾服に着替えていたので、執事と間違えられているみたいだ

 ドレスコードが裏目に出たか…!


「カ、カナデ?」


 ベルンは目をウルウルとさせて私に助けを求め始めた

 …私には手に負えない! 助けられない!


「お名前はなんと言いますの!?」


 私も転生する前は面食いだったけど、ここまでガツガツはしていなかったぞ…?

 これはもう狂気のレベルだ…


「ベルンと申します…」


 あ、アイツ諦めたな


「ベルン様、倍以上の金額をお支払い致しますので、私のお屋敷にいらっしゃいませんか!?」


 …残念だったな! ベルンに給料なんて無いんだよ!


「俺はカナデに仕えているので。 そんな裏切るような行為は出来ません」


 …イケメンかよ

 いつも煮干しで喜んでいるような男が今日はどういう風の吹き回しだ! 明日は雷雨か!


「まぁ… 中身までイケメンだなんて…」


 ホントにそれ! 私も感心したわ! 狼男に!


「ふぅ… ジャック様がいらっしゃらないのでテンションが上がりきらないですわ」


 これでハイテンションじゃないだと!?

 でもまあジャックがイケメンっていうのは分かる。大いに分かる


「さて、本題に入りましょうか」


 急にアイルお嬢様の顔つきが変わった

 …本題に行くまでが長すぎる!


「明日、デスティネ公爵邸で舞踏会が開かれるの。 カナデちゃんは参加するわよね?」


 …何その強制参加させられそうな言い方

 舞踏会か、誰と行けばいいんだろう


「うん。 えっと、連れて行ける人の上限なんていうのは…」


 出来たら行ける人とは全員で行きたい。 知らない人がいっぱいいそうで怖いし…


「何人でも大丈夫よ。 安心して、私が出会いの少ないカナデちゃんにピッタリな方を紹介してあげる!」


 …この女


「まぁイケメンの質はカナデちゃんの方が上かもしれないけど、数なら圧倒的に勝ってるから、カナデちゃんにも出会いを分けてあげる!」


 ベルンが私の左肩に片手を置いた。 恐らく私が怒っている事を察したんだろう


「さて、要件は伝え終わったから帰るわね!」


 アイルお嬢様はサッと座っていたソファーから立ち上がり、馬車を止めていた庭へと足を進めた




「何なんですかあの娘、めちゃくちゃ性格悪いじゃないか!」


 ベルンが珍しくダンテに怒りの矛先を向けている。しかし私もまったくの同意見なので止めようとは思えなかった


「カナデよりあっちの方が悪役だろ! 発言的に!」


 ごもっともだ

 私は明日アイルお嬢様を出し抜くべく、一つの案を提示した


「今まで出会った異種族の人達を性別問わず、アッシュを除いて全員集める。」


 アッシュはパフォーマンスの練習をしているだろうから除くとして、他の人達は無理やりにでも連れていく


「では私達も集めるのに協力しましょう。 お嬢様が馬鹿にされたままでいるのは癪に障ります」


 吠えるベルンを押しのけ、私に歩み寄った

 どうやらダンテは私の案を受諾してくれたようだ


「なら俺も! なんなら今日中に集め切ってやる!」


 そうベルンが言うとハータムもリビングに入ってきて、コクリと頷いた


 …私を馬鹿にした事を後悔させてやる!

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