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怖がりなミイラ男④

「カナデさん、ここから人が多くなるから気をつけてね」


 街から出るためにしばらく歩いていたら人の数が突然増えたような道に差し掛かった


「こ、ここまで移動していたんですね…」


 マティスさんが再び私の肩を掴み、震え始めた

 どうやら見世物小屋やそれと同じ商法をしているサーカス団が移動したのだそうだ


「つ、捕まりません…よね?」


 絶対に逃げられる! だって今のマティスさんは人間の姿だから、包帯ぐるぐる巻きだった人だとは思わないし!


「大丈夫です。 そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ!」


 私は肩に置かれ、力を入れられているマティスさんの手を下ろした

 …だいぶ肩を掴まれるのにも慣れたな


「わ、分かりました。 カナデさんを信じます…」




「そこのお兄さん、少しお話良いですか!?」


「いやいやお兄さん、こっちに来てくれませんか?」


「お兄さん! 連絡先教えて下さい!」


 …まったく大丈夫じゃ無かった!

 目的は分からないけれど、マティスさんが性別問わず言い寄られている! しかも客引きの人の達に!


「あ、あの… 私は…」


 マティスさんに話しかけられているのに何故か私が盾にされている…

 私も逃げたいんですけど!


「マティスさん、嫌なら素直に嫌って言った方が良いですよ?」


 顔だけ少し後ろに曲げ、マティスさんに囁く

 …何故こんな事を言わなければいけないのか


「は、はい。 嫌です…」


 私に言ってどうするんですか!?

 嫌っていうのは充分伝わってますよ!


「私じゃなくて!」


 この人、玄関先にセールスの人とか新聞屋が来たら断れないタイプでしょ絶対…


「す、すみません…」


 マティスさんは私を盾にするのを辞め、客引きの人達の前に立った


「あの、私は…!」


 そう言っただけで客引きの人達は私とマティスさんを取り囲んだ

 私関係無いよね!?


「引き受けて頂けるんですね! ありがとうございます!」


 外側は黒く、内側が赤いマントを羽織った偽物の八重歯を付けた男の人がマティスさんの手を掴んだ


「「え?」」


 マティスさんと私の声が被る

 引き受けるって何を!? もしかして危ない仕事とか任されるんじゃ!


「うちで客引きの仕事して頂けるんですよね? ありがとうございます!」


 いやいや、客引きは貴方の仕事でしょ!

 マティスさんは手を掴まれた相手の恰好が商売道具だと気づいていないようで、震えている


「は、はい…」


 怯えていて断るどころじゃ無いのか…

 まあそうか…


 ドラキュラの仮装をしている男性に手を捕まれて言い寄られたら怖いよね!?


「じゃあ今日から早速お願いしたいから、お店に来てもらえるかな!?」


 マティスさんはドラキュラにお化け屋敷の入口へと手を引かれ、泣き顔で私に助けを求めている

 …私にはどうする事も出来ない


「お、お元気で!」


 私はマティスさんにそう言い残し、涼佳さんとリーフの元に急いだ




「カナデさん、どこに行っていたんだい?」


 涼佳さんとリーフは私を探していたようで、駆け寄ると安心した表情を浮かべた


「少し客引きの人達に捕まって…」


 いや、少しどころじゃない。 スカウトされていたし


「そう。 あれ、マティスさんは?」


 …なんて説明すれば良いんだ!?

 とりあえず正直に話した方が良いのかな!?




「なるほど。大変だったね」


 涼佳さんは私の話を全て聞くと頭を撫でてくれた


「おつかれカナデ!」


 リーフは私のお腹の辺りに抱き着いた

 …2人とも、なんて癒しなんだ!


「さ、帰ろ!」


 リーフは私から離れ、そのまま私と手を繋いだ

 …今日は色々とありすぎたから寝込むかもしれない




「じゃあねカナデさん、リーフちゃん」


 涼佳さんは馬車乗り場に着くとお面を頭に乗せ、羽根を生やした


「飛んで帰るんですか? 屋敷まで来てもいいんですよ?」


 涼佳さんにはかなり助けてもらったからお礼がしたいのだけれど…

 今は何も返せるような物が無いし…


「カッカッカッ! ワシに気を使わなくてもいいよカナデさん。それに、お礼ならもう貰ったよ」


 お礼の事を考えていた事バレたか

 でも特に何もあげた覚えが…


「ワシの子どもの事、楽しみにしているからね?」


 涼佳さんは私の耳元に顔を近づけ、そう呟いた

 …その話かい! もう忘れてたわ!


「す、涼佳さん!」


 もう恥ずかしいと言うより疲れたよ!


「カッカッカッ! それじゃあね」


 涼佳さんは大きな黒い羽根を広げ、オレンジ色に染まった空に飛び上がって飛び去った


 …何て日だ

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