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男勝りなドラゴン娘①

「おはよう…」


 昨日鬼の集落に行ったり、ハータムの過去を聞いたら数10分間ジャックに頭を撫でられて疲れてしまったので、今朝は中々ベッドから出られなかった…


「ようやくお目覚めになられましたかお嬢様、お客様がいらしていますよ」


 自分の部屋の扉を開くと部屋の外にダンテが立っていた

 …ようやく部屋に入ってこなくなったか!


「お客様って? 誰か来るって聞いてなかったけど…」


 ダンテはニヤニヤしている。 この変態は何を考えているのかさっぱり分からない


「あっ、カナデ!」


 この声は…

 女の子の声がしたと思うと私の部屋に足音が近づいてくる…


「久しぶり! 元気だった?」


 長い金髪が貝殻の髪飾りで留められている、体の小さなエルフの少女が私に抱きついた


「リーフ…? ここまで来てくれたの?」


 エルフの森に彼女を返してから会っていなかったけれど、久しぶりに会った彼女は以前よりも明るくなっている気がした


「うん、会いたくて来ちゃった!」


 リーフが自身の頬と私の頬を擦り合わせてくる

 …この子は天使かな


「そっか、行けなくてごめんね?」


 彼女に遊びに行くと約束したものの、結局1度も行けていなかったのを思い出した

 …鬼とかのせいだと思うけど


「ううん、カナデは忙しいかなと思ったから私から来ちゃっただけ!」


 頬が摩擦で熱い…!

 その頬の動きをそろそろ止めて欲しいんだけど…!


「今日は一人で来たの?」


 エルフの森から屋敷まではかなりの距離があったから一人で来るのは大変だと思うけれど…


「ううん、途中で会った子と一緒に来たの!」


 …烏天狗の涼佳さん? いや、彼だったらリーフも知っているからそんな言い方はしないはず


「アッシュさんって言うドラゴン族の子と来たんだよ!」


 リーフが私にそう言うと、彼女の後ろから夕日色をした1本のアホ毛が見えた

 ドラゴン族っていう種族もいるのか…


「リーフをここまで連れてきてくれてありがとうございます、アッシュさん」


 私はリーフの後ろを覗き込む様に首を左に傾け、アッシュと呼ばれる子を見ようとした


 夕日色のアホ毛が出たショートカットで、髪色より少し濃いめのつり目をした少女。 モスグリーンのタンクトップに黒いホットパンツ


 …露出が多いな!


「おめぇがリーフの友達のカナデか、よろしくな。 俺がアッシュだ」


 …え?

 アッシュ君…? それとも一人称が俺系の女子?

 いやでも、胸は…ある


「よ、よろしくねアッシュ…さん?」


 いや、ひょっしたら身体は女性だけど中身は…っていう事が無きにしも非ずでしょ?

 そういう人もいないわけでは無いし!


「おう。 あ、俺は女だ。間違えんなよ?」


 リーフは間違えたんだろうか…


「あのねカナデ、今日はアッシュさんと泊まりたいんだけど… 大丈夫かな?」


 確認をすべく私の後ろにいるダンテをチラリと見ると、彼は縦に首を振ったので大丈夫そうだ


「ダンテが大丈夫って言ったから大丈夫だよ、部屋の準備が出来るまで何かしていようか」


 グ~…


「あ、悪ぃ。朝飯食ってねぇから腹がなっちまった… 外にいた狼を狩ってくる」


 …まずい! オオカミってベルンの事じゃん!


「ああっ、煮干し持ってくるからちょっと待ってて!」


 ベルンを食べられたら色々とまずい!

 私は庭へと急いだ




「お嬢ちゃん、そんなに急いでどうしたんだい?」


 ジャックは庭に咲いている花に右手に持っている水をまいていた

 …左手には未開封の煮干しの袋が!


「ジャック、その煮干し貰えない? ベルンが食べられちゃうの!」


 ジャックはキョトンとしているので私はすかさず煮干しを袋を取り、屋敷にUターンした




「はい、煮干し! だからベルンを食べるのだけはやめて!」


 私は屋敷に入ると同時にアッシュさんに煮干しの袋を投げた。 するとアッシュさんは数歩前に出て、袋をキャッチした


「なんだこれ、魚か? まあ腹の足しになりゃなんでも良いけどよ」


 アッシュさんは中身をぶちまける事なく袋を開け、3匹くらい手で掴んで口に放り込んだ

 これで不味いと言われたらベルンが…!


「ん、美味いなコレ。気に入った」


 ベルンの命を守れた…

 やっぱり異種族は煮干しが好きなのかな?


「魚も侮れねぇな、下手したら鹿肉より美味いぞコレ」


 鹿肉の味が分からん!

 まぁでも美味しい(?)と思ってくれたようで良かった…


「帰る時に皆の土産に少し貰っても良いか?」


 お土産にする程か!?

 煮干しの袋ってあとどれくらい残っているんだろうか?



「お嬢ちゃん、最後の煮干し… 食べちゃったか」


 庭からジャックが戻ってきた

 …あれが最後だったのか、本当に申し訳ない!


「これラストだったのか? 悪いな、俺が食べちまった」


 アッシュさんは袋を開け口を下にして、食べ終わった事を私達に伝えた

 …絶対に悪いと思ってないでしょ!


「そう。 困ったなぁ…」


 ア、アニキが落ち込んでいる!

 こうなったらヤケクソだ。言ってやる!


「私が買いに行こうか!?」


 煮干しなら近くの街にでも売っているはず、買い物に行くだけなら大して危険でも無いでしょ!


「本当かい? お兄さん、明日の出張の準備で一緒に行けないけど平気かい?」


 出張? 他の屋敷の庭を手入れしに行くんだろうか…


「うん、大丈夫!」


 煮干しを買うだけだし、前にジャックと港町に行った時みたいなガラの悪い人達に会ってもスルーすればいいし!


「じゃあ俺も行く。 俺が食っちまったからな」


 アッシュが私の右肩にポンと左手を乗せた

 彼女も来てくれるならとても心強い!


「じゃあ私も! 3人で行こう?」


 リーフは私の左肩に手を乗せた

 3人で行くならジャックも文句は無いだろう!


「3人なら安心だね、じゃあお願いしようかな」


 ジャックは胸ポケットから小さなメモ長を取り出し、買ってきて欲しい物を書いてから紙を破り、私に渡した


「迷子にならないように、気をつけて歩くんだよ?」


 迷子か、リーフが1番心配かもしれない…

 でも何とかなるでしょ!


「はい。 行ってきますね!」


 リーフはジャックとハイタッチをした。 癒される…!


「迷子になんかならねぇよ」


 アッシュはニヤリと笑った後に半回転し、屋敷から出た。 スタイリッシュだ!


「心配しなくても大丈夫だよ、行ってくるね!」


 私は屋敷から出る扉に手をかけ、ジャックに手を振ると彼は笑顔で手を振り返してくれた


 …街で起こる事件の連続を予知できていれば、こんな余裕は見せられなかっただろう

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