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九尾のオトナなお姉さん③

「お嬢様… 私は、もう…」


 屋敷への帰路を進んでいるとマンドラゴラが突然倒れてしまった!


「マンドラゴラ、死なないで!」


 どうしたのだろう、疲労…?

 いや、彼女に限ってそんな事は無いはず…


「死にはしませんが、水が足りません…」


 水…? 干からびそうなのかな?

 でも今ここには水は無いし…


「分かった、私がおぶってく!」


 私はマンドラゴラを背中に乗せ、再び歩き始めた

 …マンドラゴラって軽いんだなぁ


「カナデちゃん、私が運ぼうか?」


 紅さんはそう言ってくれたけれど、申し訳ないので断り、屋敷へと急いだ




「…先が見えないね」


 屋敷まであと少しという所で辺りは真っ暗になり、先が見えなくなってしまった

 …人はこうやって遭難するのか


「カナデちゃん、これは特別ね?」


 紅さんは手を口元に近づけ、フッと息を吐いた。 すると青い火の玉がいくつか現れ、道を照らし始めた


「凄い! ありがとう紅さん!」


 火の玉はプカプカと宙に浮き、私達が1歩進むたびに火の玉も前進していく


「うふふ。 カナデちゃんに影響されちゃったのよ」


 私に影響された?

 …何に?


「カナデちゃんは優しいのねぇ、その子を置いていくという手もあったはずよ?」


 マンドラゴラを置いていくという案があったという事を言っているんだろうか?

 出来るわけないでしょ!


「この子は家族ですから、置いていけません。 いや、絶対に置いていきません」


 紅さんは驚いた表情をしている。 人間とマンドラゴラが一緒に住むって変なのかな?

 …変か


「じゃあ、私とマンドラゴラのお嬢さんの立場が逆だったら?」


 紅さんは疲労で倒れたりしなそうだけどな…

 まあ、仮の話か


「置いていきませんよ。 むしろ置いていく理由があるんですか?」


 鬼の集落を襲ったから。という理由は上がるかもしれないけれど、結局は帰ると言ってくれたから攻める必要は無いだろうし…


「あははっ! カナデちゃんは面白いねぇ!」


 紅さんが口元に手を当てて爆笑している…

 変な事は言ってないはずだけど!


「そう、私の事も助けてくれるのね… 優しいねぇ…」


 え、感動してる…?

 目元を真っ赤な着物で拭っている…


「ふぅ。 さて、楽しませてくれたお礼に良いものを見せてあげようか」


 紅さんは今度は指をパチンと鳴らすと火の玉が頭上高くにゆっくりと舞い上がった


「紅さん、あれは?」


 屋敷に現在地を教える為の火の玉だろうか?

 でも紅さんは屋敷の場所を知らないはず…


「まぁ見てなさいな、感動するよ?」


 紅さんがもう一度指を鳴らすと、舞い上がった火の玉がカラフルな色を放ちながら弾けた

 …花火だ!


「凄い! 綺麗!」


 小さい子どもの様な反応になってしまった。 まさかこの世界で花火を見る事が出来ると思っていなかったからだ


「綺麗でしょう? 私と一緒に暮らせば毎日見られるわよ?」


 …毎日は感動が薄れる気が


「ううん。皆が待ってるから… ゴメンなさい」


 紅さんは落ち込むかなと思っていたけれど、柔らかな笑顔を浮かべていた


「そう言うと思った。 カナデちゃんは屋敷の人達が大好きなのね」


 紅さんは私の頭を優しく撫で始めた

 …落ち着く


「はい。 皆、大切な家族ですから…」


 おかしい、紅さんに頭を撫でられ始めてから急に眠気が…

 立っていられない…


「うふふ。 安心してお休み? 目が覚めたらお屋敷に着いているから…」


 眠らないように踏ん張ったものの、結局眠りについてしまった…




「お嬢様、お嬢様!」


 …どうしてダンテが目の前にいるのだろう?

 あれ、私宙に浮いてない?


「どうしてダンテが目の前に…?」


 マンドラゴラと紅さんは…?

 さっきまで森の中に… あれ?


「九尾がお嬢様とマンドラゴラを屋敷まで運んでくれたのです、お礼を言って下さい」


 ああ… なるほど

 いや、お礼を言いに行こうにも足が地面に着いてないんですけど…


「あ、失礼しました」


 ダンテは私の足を地面につかせた

 …お姫様抱っこしてたのかい! この変態!


「紅さん、ありがとうござい…」


 私が紅さんの気配のした方を見ると、そこには茶色いフサフサの毛をした9本の尻尾を持つキツネがいた


 …あれが紅さんの正体


 不思議と怖さや怯えは無かった。 むしろ人間の時と同様、美しいなと思った


「ありがとうございました。 今度、ここに遊びに来てくれますか?」


 紅さんはコクリと首を縦に振った

 …人間の姿でないと話せないのだろうか?


「良かった… 嬉しい…」


 私はそう言い、紅さんに近づいて頭を撫でた

 フサフサしていて、獣の臭いはしない。 むしろパイプの臭いがする…


「あ、お嬢様起きたんですね! 紅緑さんありがとうございます!」


 屋敷から声がしたので振り返るとショタ君が油揚げを持って庭に出てきた

 …知り合い?


「これ持って行って下さい!」


 何やら親しげだ…


「ハータムのくれる油揚げは美味しいから嬉しいわ、ありがとう」


 人間の姿に戻った…

 一瞬で変身出来る辺り、ベルンや烏天狗の涼佳さんより変身がスマートだ…


「カナデちゃん、ここに住んでいたのなら早く言ってくれれば良かったのに…」


 え、紅さんここの存在を知ってたの…?

 ミステリアスな人だなぁ…


「じゃあねカナデちゃん、ハータム」


 紅さんはそう言うと再び九尾の姿に変わり、森の中を駆けて行った


「お嬢様、夕食の準備が出来たのでしっかり手洗いうがいをしてからダイニングに来てくださいね!」


 そう言いショタ君は屋敷の中に戻って行った

 …彼の名前はハータムというのか、初めて知った!

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