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オラオラ系の鬼①

「お嬢様、菜園で育てていた野菜を取りに行くのを手伝って頂けませんか?」


 外で狼の姿のベルンと戯れていたら屋敷の2階の、恐らく書斎の窓からカノンが顔を出し、そう尋ねた


「いいよ、何か必要な物はある?」


 カノンの事を大体知った後から彼女のデリカシーの無い発言は減りつつあり、今では何事も無かったかのように接している


「私がご用意致しますので大丈夫です。 そこで待っていて下さい!」


 菜園なんてあったのか… ジャックが世話しているんだろうか?


「カナデ、気をつけろよ。 今日は嗅いだことも無い臭いがするぞ」


 突然足元にいたベルンが注意を促した

 狼なのに犬みたいだなぁ…


「近くに不審者がいるの? なら大丈夫だよ、カノンと一緒に行くから」


 クノイチのカノンと一緒に行くのだから、私に何か危険が及べば彼女が助けてくれるはずだ

 彼女は一般人よりも物理的に、格段に強い


「お待たせ致しました。 参りましょうか」


 カノンは中に野菜を収穫する用のハサミが入ったカゴを2つ重ねた、それを背負って私とベルンの所まで来た


「1個持とうか?」


 流石に2つ背負わせるのは申し訳ない…


「いいえ、お嬢様にそんな事はさせられません。 …と言いたいところですが、帰りは手伝って頂けないでしょうか?」


 いくら雇い主と言えど帰りまで全て任せる鬼はいないだろう…


「うん。 その時は手伝うよ!」


 カノンは私の返事を聞いて顔を赤くし、両手で顔を覆った


「なっ、何!?」


 何も変な事は言ってないと思うけれど…!


「可愛いです…お嬢様…」


 …置いてこうかな

 いや、菜園どこにあるか分からないから無理か


「はぁ…早く行こ?」


 私はカノンの腕を引っ張り、早く菜園に連れて行けとせがんだ




「今日はプチトマトとナスを収穫しますので、こちらのハサミをお使い下さい。 先を上に向けて…」


 菜園に入るとカノンのハサミや収穫後についての授業が始まった

 大体分かるんだけどなぁ…


「はい、ではやってみましょうか」


 従業は10分程続いたが、そのうちの8分くらいは怪我をしないようにと注意されただけだった

 でもそれ程心配されているという事だ、気持ちはありがたく受け取っておいた


「プチトマトはどれくらい必要?」


 屋敷に住んでいるのは5人だが、1人につき何個必要なのか分からない。 流石に1個では無いだろうし…


「そうですね、1人4個分くらいで… 20個くらい取りましょうか。 私はナスを取りに行きますので、何かありましたら呼んで下さい」


 カノンはナスが植えてある辺りに移動し、私と別行動を取り始めた

 その菜園は広すぎる。 だって2階まであるんだもの、そんな菜園を見た事が無い


「さて、パパッっと取りますか…」


 私が1人で意気込むとトマトが植えてある所の隣、トウモロコシが植えてある所からガサガサと音がした…


 虫かな… いや、虫でいて下さい。 お願いします…


「ど、どなたかいらっしゃるんですか…?」


 一応声をかけてみる。 どうせ虫だろうから流石に返事は来な…


「うぅん…」


 嘘でしょ?

 今、唸ったよね? しかも人の声っぽかった…


「だ、大丈夫ですか…!?」


 私はゆっくりとトウモロコシの植えてある所まで移動する。 声からしてジャックではないし、むしろ初めて聞く声だった


「どうしてこんな場所に…?」


 まあ暖かいからだろう。 鍵もかかってないし、寒さしのぎで入るには丁度いいかもしれない


「ハラ…」


 ハラ…? ハラっていう名前の人?


「腹減った… 食い物…」


 何だよ! 空腹で倒れただけかい!

 でも放っておけないな… 一応ここは私達の所有地だし。 お腹が空いたと言えど不法侵入だし


「分かりました、何か食べ物を持ってくるので待ってて下さい!」


 何を持っていこう…

 そうだ! 倉庫に煮干しがある!




「どうぞ、煮干しです!」


 私は声が聞こえてきた場所に倉庫から持ってきた煮干しの袋をゆっくりと差し出した。 するとすごい勢いで袋を取られた


「煮干し…?」


 え、煮干しを知らないんだろうか…

 そういう人もいるか、うん。


「うん… なかなか美味いな…」


 トウモロコシが成っている場所からムシャムシャと一心不乱に煮干しを食べる音がする

 こんなに煮干しに必死な人を始めて見た…


「なんだ人間、テメェらこんな美味いもんを食ってやがったのか」


 不法侵入した挙句、人の家の煮干し1袋をほんの数分で食べ切ったクセに態度がデカイな!

 お礼とか無いのかい!


「ふぅ、食った食った…」


 トウモロコシに埋もれていた男が立ち上がり、ようやく姿を見せた


「なんだ、ただの人間のガキじゃねぇか」


 赤く天然パーマっぽいショートヘアにやや褐色気味の肌をした、おでこに小さい角が生えている180cmくらいの男…


「つ、角が生えてる…っ!」


 思わず尻もちをついてしまった…

 アクセサリーじゃないよねアレ! 本物だよね!


「なんだ、鬼を見るのは初めてか」


 鬼は私を見てニヤリと笑った

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