烏天狗の不思議なお兄さん①
「じゃあ行ってくるね! 今日中には帰ってくるから大丈夫!」
私はリーフと一緒に森の奥にあるというエルフの森を探す為、朝一で森の中に入った
「カナデ、疲れたら言ってね。休憩しながらゆっくり行こう?」
流石にリーフの前でバテるなんてそんなカッコ悪い事は出来ないよ!
むしろ彼女の方が小さいから疲れるのが早そうだし…
「ごめん、休んでいい…?」
進めど景色は何も変わらないし、むしろジメッとした空気が疲れやすくさせている気がする…
「うん。 じゃあこれ、マンドラゴラさんから貰った薬草を煎じたお茶を…」
え、マンドラゴラ…?
マンドラゴラの薬草ってどんな味するんだろうか。 偏見だけれど苦そうだなぁ…
「はい、どうぞ」
リーフは水筒に入っていたお茶をフタに注ぎ、それを渡してくれたけれど…
なんか色おかしくない?
緑の部分と茶色の部分で水が分離してる…
「これ、色…」
流石におぞましい色をした水をお茶と言われても飲みたくはない
飲まないと死ぬと言われても… うん、飲まない
「大丈夫、麦茶にマンドラゴラさんの薬草から作ったお茶を混ぜただけだよ!」
え、怖っ…!
混ぜたというより混ぜきれて無いよ!
…もしかして混ざらないの!?
「最後に料理長さんが泡立て器で青い顔をしながら混ぜてたよ」
それやばい奴じゃ…
泡立て器でお茶を混ぜていた…? そんな事をする人は聞いた事がない!
「そ、そうなんだ。 じゃあ飲み切って帰らないとね…」
ショタ君とリーフが頑張って作って、混ぜてくれたお茶…
飲みきるしかない!
「ゔっ…!」
1口飲んだだけなのに変な声を出してしまった…!
いや、これは本当に美味しくない!
「だ、大丈夫!?」
流石のリーフも今の声を聞いて心配したのだろう、ペットボトルの水を差し出した
…最初からそっちが欲しかった!
「ゔん、 大丈夫…」
いいえ、ちっとも大丈夫ではないです。 むしろ死にかけてます…
「カッカッカッ! お嬢さん勇気あるねぇ!」
…! 姿が見えない、敵襲か!
「いやはや昨日ぶりだねぇ、元気だったぁ?」
語尾が伸び気味の男の人の声がする。 空から!
…昨日ぶり?
「あれ、見えない? とうっ!」
すると後ろの木から真っ黒の男の人が落ちてきた! いや、飛び降りてきた!
「カッカッカッ! ワシの事覚えてるだろ?」
黒い着物に身を包み、頭に天狗のお面を付けた片目を隠している男の人…しかも羽根がある…
「すみません。 昨日はコスプレイヤーさんにはお会いしていないです」
森の中にこの衣装は絶対怪しい人だよ、近ずかないようにしなきゃ…
「昨日はありがとうございました」
リーフが急にお辞儀をした!
何で!? 何でこんな不審者に!?
「カッカッカッ! エルフのお嬢ちゃんはワシだと分かってくれた見たいだね!」
え、もしかして昨日のエルフ達を一気に解放させたお兄さん…?
「ん、昨日の姿じゃないから分からなかったか。 どれ、ちと人間の姿に…」
そうお兄さんが呟くとお兄さんは頭に付けていたお面を外し、腰に巻いている帯に付けた
すると昨日の格好に一瞬で戻った! ベルンより変身がスマート!
「ほれ、これでワシが誰か分かったろう?」
おお! …このお兄さんは何なんだ!?
「あの、人間じゃあ… ないですよね?」
自分で言っておいてあれだけど、当たり前だろ!
頭のお面撮ったら羽根が無くなって着物からスーツに早着替えする人間がどこにいるんだよ!
「うむ。 ワシは烏天狗だ、よろしくな」
…烏天狗って何だ!?
天狗は聞いた事あるけど… 亜種みたいな?
黒いからグレた天狗… とか…?
「天狗の仲間でね、このお面を付けると完全な烏天狗になる事が出来るんだ」
お兄さんは腰に付けたお面を手に取り、私達に見せた
何か少女向けのアニメで出てくるナビみたいなキャラクターっぽい話し方だなぁ…
「エルフの森の近くに住んでいる種族だよ」
リーフの補足説明が入る
ということはエルフの森はこの近くにあるんだろうか…
「うむ。 エルフのお嬢ちゃんは賢いねぇ、飴をあげよう」
天狗から貰う飴って怖くない…?
いや、そもそも昨日のフラっと会っただけの人の飴は流石に…
「美味しい! ありがとう!」
食べてる…!
美味しかったなら良かったけど、少しは疑おうよ!
「エルフのお嬢ちゃんが喜んでくれたみたいで嬉しいよ。 昨日は人間のお嬢さんの家でお世話になったんだろう? 楽しかったかい?」
楽しくなかったって言われたら悲しいんですけど…
「すごく楽しかった! 煮干しとハンバーグが美味しかったの!」
ハンバーグは分かるけど、煮干し…!
何だろう、普通は月とスッポンくらいの差があるよね!?
「カッカッカッ! 煮干しか! 美味しいよねぇ!」
…異種族は皆煮干しが好きなのかな?
念の為持ち歩くようにしておこうかな
「ところでどうしてこんな所まできたんだい?」
この人ならエルフの森の事を知っているかな…
まあ聞いてみるだけ損は無いかな
「エルフの森まで行きたいんです。 知っていたら案内してくれませんか?」
するとお兄さんのニカッとした笑顔が突然、神妙な表情に変わった
「何をしに行くんだい?」
再びエルフ達を狩られないように警戒しているんだろうか…
「この子を仲間のエルフの所に連れて行きたいんです」
リーフは私達人間…マンドラゴラとオオカミ男もいるけれど
の所にいるよりも同じ種族の仲間と一緒に暮らした方が断然良いと思う
「そうか、じゃあワシが案内してあげよう」
お兄さんは再びニカッと笑った
「空と陸、どちらから案内して欲しい?」
…陸に決まってるでしょ!




