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即席小説 〜冬の淡い恋〜

作者: きたばぁ

久しぶりにリハビリで描いてみました。


簡単に即席と言っておりますが、実は少し実体験が含まれているかも・・・w


よければ温かい目で読んでもらえれば幸いです。

それは寒い冬の頃、 都会は雪も降らず、ただ北風に吹かれ冷たさだけが肌で感じる季節。

高校卒業し、大学生活で初めての冬の長期休暇の頃の話である。


高校3年の後半頃から想いを馳せていた。

周りの子から付き合えと(はや)し立てられていたが結局、卒業を迎え告白する事は出来なかった。


自分の惨めさをひしひしと感じていた。


そして、大学に入り何も無い日々が続いた。

友達ともそれほどうまくいかなかった。


そんな退屈な毎日を送っている時にまた追い討ちをかけるかのように離婚した親が再婚を決めた。

前の母の夫は3回もの浮気、挙句の果てには仕事を辞めるなど幼稚な事を言って別れた。

その後、ガンになっていることがわかり、長期の間寝込んでいるらしい。別れてから父には会っていないため行方も安否も知らない。


そんな、知能の低い父だったためどんな人もいい人だと思ってしまうのだろう。新しい父の第一印象は案の定、悪いとは思わなかった。しかし、頻繁に正論をぶつけてたり隙間に見える、少年のような姿がどうも気に入らなかった。


母は好きになってしまった相手だ。

母は自分ら子が優先だと言い切っているがいつの間にか夫優先の生活が始まった。

夫もまだ父としての自覚が全くないのか、こちらのことを気にしている素振りを見せるが結局は母が1番というのが見え見えな姿が余計に腹立たしかった。あ


家でも大学でもストレス、そんな日々に早変わりし自由履修で取っていた心理学の勉強では「ストレスが溜まり過ぎです。精神疾患の疑いがあります。カウンセリングを受けましょう。」と言われた時にはもう終わりだと感じた。



そんな時だった。

何気なく、SNSで「高校に戻りたい」と投稿すると想いを馳せていた子から連絡が来た。

内容は「バイト先に来ないか」というものだった。

嬉しかった。心底、喜んだのは高校以来だった。

()()にされてもいい。そこまで堕ちていた。


当日。

その子に会った。ここまで楽しみにしていたことはなかった。あいにく、アルバイト中だったために話も少ししか出来なかったが、心残りどころか楽しかった。


会うだけでこんなに気が晴れるのかと。


そしていつしか、1ヶ月に1回のペースで会うような関係になっていた。

どこかで心の拠り所になっているようだった。

自分で精神安定剤になってくれると訳の分からないことを言ってしまったくらいに。


その頃くらいからだった。自分が本当にその子が好きだということに気がついたのは・・・



日が過ぎて、夏。

実は7月後半に夏休みにゆっくりと遊ばないかという約束をしていた。

これがいわゆるデートというやつなのだろう。


だが、世の中はそう甘くないらしい。

天にも見放されているのだろう。

丁度、前日に連絡が来た。「体調崩してしまった」と・・・

体調を崩したのは仕方ない。

来月に延期した。

しかも、「かなり楽しみにしていた」と言われ余計に悲しくなった。


これが、最悪の悪循環を生むのだった。


8月、台風に襲われ中止になった。

9月は両方とも忙しくて予定が合わず。

10月、こちらの母の再婚が決まった月。当然、暇な日はなく予定が合わなかった。

11月、再婚相手との家族の付き合いで休みの日は潰された。


12月、ようやく予定があった。

当初の目的とはかけ離れていて、呑みの約束だった。

久しぶりに会うということで気持ち的にもかなり緊張してしまった。

タイミングよく、その週の調理実習の内容がデコレーションケーキだった。

先生からはスポンジケーキも上手くできていて、美味しいと言われ、有頂天になっていた。

そこでデコレーションケーキを渡すことにした。


でも、天は自分を見放したのかそれとも有頂天になっていたからか、先生に褒められたはずのスポンジケーキを盛大に失敗した。

初めて、パニックになった。

なぜなら、丁度その日を運命の日にしようと決めていたから。友達に手伝ってもらい良い店を探した。


しかし、それすらも上手くいかずどこも満席。


結局行くところも決めず、その子に会いに行った。

でも、結果は微妙。

最初に決めていた場所にも行かず、自分の最寄の駅のすぐ隣。大きいショッピングモールでご飯を食べることになった。

そこで何気なく話している時にクリスマスということで何かプレゼントしようと思い、何が欲しいか聞いた。

迷わず、欲しいものを注文した。


そんな微妙な結果だったが、自分自身とても楽しかった。

今まで、溜まっていたストレスが一気に吹き飛ぶようだった。


それを示すかのように、時間があっという間に過ぎていった。その子を駅まで送り、帰ることにした。

「バイバイ」と言って手を振り帰っていった。

とても、虚しくなった。 一気に孤独感が襲ってくるように。

こんな気持ちは初めてだった。

帰り道がこんなにも虚しく、気持ちが重たくなったのは初めてだった。また会いたい。

そんな気持ちでいっぱいだった。



そして、運命の冬の日

実は注文したプレゼントを渡すという口実で遊ぶことになった。

本当のカップルのように映画を見て、ご飯を食べて、お買い物をしてと充実したものになった。

色んなたわいもない話をたくさんした。

楽しかった。これなら、いけると思った。


案の定、この日も時間が過ぎるのがあっという間だった。

帰りの電車に乗り込んだ。珍しく、そこ子が送っていらないと言ってきた。

しかし、そんなことも忘れていたのか自分が降りる駅でも全く起きる気配がなかったため結局、そこ子の駅まで送ってあげた。


またこの間みたいに「バイバイ」と言って別れた。

しかし、その「バイバイ」は前の物とは違うように思えた。もう最後だと言わんばかりの・・・


それでも自分は言えなかった。

伝えることができなかったのだ。

言い訳になるが、何かが邪魔をした。


それが何かはわからない。


こんなに別れ際が悲しいのは初めてだった。

帰りの電車の中でも帰り道も全てが無駄に長く感じた。


冬の夜は早いもので早めに帰ったのに辺りは暗く、飲み込まれそうだった。


帰り道、よくよく考えてみると告白するタイミングが2回もあったのだ。

12月とそして今日。そのどちらも改札での別れ際、その子は何かを待っている気がした。


なぜ、その場で言わなかったのだ。

もう一度、振り返り止めることは出来なかったのか。

ただただ、自分の無力さ、惨めさに腹が立った。

あとは言うだけなのになぜ、それを言えない。


そういえば、今日会ってすぐ別れ際について話した。

その子はこう言っていた。「女の子は別れる時、悟ることが出来るように雰囲気を出すことも出来るし出さないこともできる。」

それは付き合う時も同じことだとその時、痛感した。



もし、恋にも3度目の正直があるのなら

もし、自分の鈍感さが、惨めさが許されるのであれば

今度は・・・タイミングを逃さないようにしなければならない。

だって、もしもそれをも逃せば本当に次はないと思うから。



冬の澄んだ空気の中、僕は深呼吸をしてまた一歩一歩、足を踏み出そうと思う。

世の中でなによりも難しい恋という題を背負って。


恋というものは世の中で1番難しい物だと思っています。


皆さんはどんなエピソードがありますか?

貶していただいても構いません。

馬鹿だなぁと思っても構いません。


自分もこんな物があったなぁと思いながら読んでいただけると嬉しいです。


長編小説の更新はいつになるかわかりませんが、お楽しみにしていただけると励みになります。


では、久しぶりにまた違う物語でお会いしましょう!

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