始まりの種壱
時は2128年。
2000年代の映画にあった文明の暦となる物は全て発明され、人々は既に慣れ親しんだ域に達するほどになっている。何しろ洗濯機や冷蔵庫、掃除機などはなく代わりに全奉仕機能搭載人型AI「メイド」が家事をやってくれるのだ。だから面倒事をAIに任せて豪遊する「怠惰人化」が問題となっている。
「全てをAIに」、「仕事をもっと楽に」。
こういった思想が流行する一方、研究者界隈の間で進められていた「VR分野」は世の中の日向から忘れられていた。
「わざわざ現実世界で無防備な状態でダイブするより、MRなどの拡張型の技術をしようしたほうがよっぽどノーリスクである」
MRデバイス「フクロウ」を開発した村上佑氏はこう言った。
実際その通りだった。
VRは確かに仮想世界なる現実世界と切り離された異世界に行くことができる。これはつまり自分が行ってみたい世界で疑似的な生活を送れることを指している。今までは不可能で夢物語とされてきたアニメや漫画の世界だって同様。一見、これだけ聞くとやってみたいと10人に8人は言うと思う。
しかしそう簡単に事は収まらない。
VRにとってデメリットな問題点がある。
それが前文でも言った現実世界と切り離すことだ。
VR機器には必ず「ダイブ中の自身の身体に起こることは全て自己責任となる為、安全な場所でお使いください」と書かれてある。だがこれは近年になってから。
この説明文が必ずかかれるようになったのには数々の事件が関与してるのだ。
「ダイブ中の犯罪・・・・・・・・・窃盗や強姦、身代金目当ての誘拐」
こういった犯罪がVRによりある意味活発化してしまった。
事例は重なり警察などの治安部隊が抑えるのだが、もはやこれまでと言わんばかりに無意味なものになりつつある。
やがて国の法律でVR世界にダイブすることが禁止することが決まった。
最初はVRを残す組が抗議デモを国会議事堂前でやっていた。それでメディアの一部の人たちが賛同してくれたりもした。
・・・・・・・・・・・・しかしながら村上佑氏の発言もあってVRは過去の遺産になった。
あなたが行きたい世界はどんな世界ですか。
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