『死に戻り』のご利用は計画的に
…イメナンダ)」
「俺もついに来たか異世界に」
目の前の光景を見て思わず声がでる
ヨーロッパ中世を思わる街並みを歩く人々、その中には現実世界では考えられない獣人やリザードマンがいる。
さらに、ここが異世界なだけではなく俺にはいわゆるチート能力がある。
ここに飛ばされる前に神様に願った『死に戻り』と呼ばれる能力だ。
これがあれば、もし俺が死んでもその少し前の状態に戻ることができる。
「やっぱり、異世界はチート能力と一緒じゃなきゃな」
これからの活躍を想像するとつい顔がにやけてしまう。
神様はなぜかこの能力は止めたほうがいいと言っていたが、そんなことは関係ない。
最近映画やアニメで『死に戻り』を見てから、俺もこの能力に憧れを抱いていたからである。
そんなことを考えながら歩いていると、女性の助けを呼ぶ声が聞こえてkる。
「これはさっそくイベント開始かな」
そう呟きながら声の聞こえてきた路地に入ると、そこにはいかにもなゴロツキに絡まれている美少女がいた。
「お兄さん助けて下さい」
少女が俺に向かって助けを求めてくる。
すると少女に絡んでいたチンピラが、ナイフを取り出しこちらに歩いてくる。
「なんだお前、痛い目にあいたくなかったらどっか行くんだな」
本来ならナイフを見た瞬間に足がすくみ逃げ出すところだが、このテンプレのような展開と『死に戻り』というチートの能力が俺から危機感を奪い去る。
頭の中に今あるのは、ヒロイン候補の美少女をゴロツキから救いだし、フラグを立てることだけである。
「おっさん、そこの子からさっさと離れるんだな」
ゴロツキに向かって駆け出し右手で殴りつける、しかし普段ケンカもしたことのない俺の拳はあっさり躱されナイフが腹につき刺さる。
腹部が強い熱を持つ、喉から声にならない声で出る。
全身から力が抜けていく、意識がぼんやりとしてくる。
「(くそ、軽率だったこれが一回目の死に戻りか)」
その瞬間に強烈な違和感に襲われる。
なんだこれは、なぜが既視感を感じる。
それを理解すると、言い知れぬ恐怖を覚える。
アタマが狂いそうだ。
「(イッタイコレハナンカ…