表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
KotoSeka  作者: 吹雪龍
第2話
65/209

「異世界での生活」07

*****



 大きな欠伸を一つ。それを見ていたユーリエルは何が可笑しいのか肩を揺らしているではないか。


「おや寝不足かい?」


「え? ……まあぼちぼちと、ですね」


 欠伸をしながらも昴は学習を止めない。教室名を文字として片っ端から覚えていこうとしているのだ。まだまだ理解の範疇ではないが、良く見ていくと同じ形をしていたりするものが多い。

 まるで話が上の空状態である昴に対してユーリエルはどこか楽しそうである。元から笑っているような顔をしていたような気もするが。


「今日は早速叩いて起こされたんだってね」


「話が早いっすねぇ……頭蓋骨が陥没するのかと思いましたよ」


「ケンだって昔は相当な警備隊員だったって聞くし……そりゃ痛いだろうな」


「めっちゃ痛かったんですよ……? 永眠しかねないレベルですわあれ」


 言いながら自身の額を擦る昴。彼の言う通り、昴は叩き起こされた。カルムが部屋を出たのを見計らっての強烈な一撃だったという。深い夢の中に居た昴が一瞬で現実世界へと還って来たのだから。


「まさか初日からやらかすとは……」


「それでも間に合ってるじゃないか。何か魔法でも使った?」


「ただ走っただけっすよ。……だって俺にはそんな――」


 尻すぼみになっていく昴の声を掻き消したのは扉の開く音だった。その場所には見覚えがあった。白を基調とした壁面、光を柔らかく取り込むために細工された窓、そして真っ白な仕切り。視線を上方へ。相変わらず読む事は出来ないが、それでも感覚的に掴んだ。


(やっぱりアレが室、って字だと思っても良さそうだな……って事は保健室で合ってそうだな……あ、でも医務室とかありそう……)


 そう、昨日運び込まれた保健室である。そこには昴の気になる――耳を持つ――彼女が居た。


「アンリ君、準備は出来てる?」


「はいばっちりですよお師匠様。試験薬にモンクルに、それから系統表と、抑制剤……と。これで良いんですよね?」


「さすがに何度もやってるからこの質問は要らなかったかな。それじゃあまずはあそこに座って」


 横に尖った耳を持つアンリ。所謂保健室の先生と言う奴だろう。机の上に広げられた物を誇らしげに見せびらかしている。

 ユーリエルに示されたのは良く病院などにありそうな丸椅子。昴は少々不安に思いながらもその椅子に。


「何をするんですか?」


「お師匠様から聞かなかった?」


「と言うか師匠なんですか……」


「うん。私は魔法を教えて貰ってるの」


 勝手な偏見だが、それは逆なのではないだろうかとも思ってしまうが、アンリ本人が言うのだからそうなのだろうと思い込む。魔法に関してはもうどうにでもなれ、と。理解はしないで、体で感じる。そうするしかないのだ。


「そういう事。別に君が思ってるような怪しい関係はないから安心して」


「別にどうとも考えていないんですが?」


「あらそうかい。そういう年頃だと思ったけど……それじゃこれから適正検査をやっていくね」


「俺をなんだと思ってるんです……?」


 まずは机の上にある大きめの瓶を手に取ったユーリエル。瓶は黒く、中身は見えない。蓋が開けられ、取り出されたのは固形物。


「薬……?」


「そう、試験薬だよ。はいどうぞ」


 昴の手に一粒の丸薬。昴の世界にも似たような錠剤は多々あるが、あれは使用用途がはっきりしていたから安心して口に運べる。しかしこれには何故だか警戒してしまう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ