乙女の憧れ(笑)
なんとなく、やってしまった感あります。
乙女の憧れ、壁ドンされてみてわかった。
イケメンに限る!と友人は力説した。
うん、確かに。
しかし、わたしはこうも思うのだ。
イケメンでも、ウザい。
はっはっはっー、なんだこのナルちゃんは?
やっぱりボディブローくらい許されるよね?
オレ、カッコイイ臭ハンパないです。
よし、ヤろう‼︎
狙いはレバー!
「ぐはっ⁈」
壁に添って崩れ落ちるイケメン。
ツバを吐きながらなんて汚いよ?
イケメンなら倒れ方まで研究しておかなきゃだと思うのね。
わたし?
もちろん、すぐに離れましたとも。
ちゃんと、親指はこぶしの外に出したよ。
従兄弟からの教え通り、殴るときには躊躇わずかつ冷静にと。
フォームまで完璧に再現しました。
うん、イケメンも大分落ち着いたかな。
「男女間の距離は節度あるものをお願いします。びっくりしてしまいました」
「‥はっ?」
「あら、マヌケ面」
いけね、本音が漏れた。
わたしは、可愛らしい女の子。
わたしは、お淑やかなレディ様。
よし、自己暗示完了。
「申し訳ありませんが、もう少し距離を空けていただきたいとお願いしたのです。
面識のない方とあの距離は、耐えられません」
きっぱり、はっきりと言いきってやりました。
なんだ、その顔は。
イケメンなら、女の子はみんなオレノモノだとか勘違いしてるのか?
イケメンだろうが、興味がないものを知るわけもないだろう。
呆然としているイケメンは放置で、大笑いしている友人も置き去りにしてやった。
はっ?
育ち盛りな高校生の昼休憩は、食事第一に決まっている。
イケメン優先とかあり得ない。
「それで、アレ誰だったの?」
お弁当のから揚げを食べて、おもむろに友人に聞いてみた。
ほら、人生初の壁ドンだったし?
わたしのお昼ごはんを邪魔しやがったし?
「話題の美少女の自覚はある?」
「チャラ男なナンパ氏ね?」
「残念臭しかない、美少女の自覚ある?」
おぉうっ、わたし、貶されてるよ?
読んでいただいてありがとうございます。
知らない人に壁ドンされたら、わたしは多分絶叫します。
地味に怖いよね。