はじめてーのー
「……で、休憩も無しでやるのか?」
「日時はリンに任せたじゃないですか。それに、余裕でしょ?」
笑顔で鞘から西洋剣を引き抜き、構える
……どうしてこうなった……
帝国海軍との戦いの後、港到着した俺たちは、城までヘリで飛んできた
普通に降りて転移魔法とやらで戻っても良かっのだが、迎えてくれた陸軍とゴリラが面倒くさそうだったので、後部甲板からプレジデントホークを飛ばして城の前に着陸したわけだ
……城の場所がわからずにかなり遠回りしたと思うが、まぁ皇国の国土を把握できたと思えば結果オーライかな
城の門をくぐり抜けたところで事後処理があるらしいアリスとは別れ、リンの案内に付いていったのだが……
「じゃあ始めましょうか」
デカイ扉を開けると、そこには闘技場があったわけだ
「ルールは簡単です。殺し無しで相手に一撃を入れた方が勝ち。勝った人は相手に一つ命令できるってのはどうですか?」
扉にはほんと運がないと思う今日この頃だった
「わかった。開始の合図は?」
まぁグダグダ言ってもしょうがないので、準備のためにカバンに手を入れ、武器を取り出す
今回使うのは二挺の拳銃
HK45とグロック18だ
HK45は45口径弾を使用する自動拳銃で、グロック18は9mm口径弾をフルオートで分間1200発撃ち出すことができるバケモノ拳銃だ
スライドを引いて初弾を送り込む
訓練用のゴム弾がそれぞれのチャンバーに送り込まれ、準備が完了した
「この魔法は5秒後に破裂します。それを合図に試合開始です」
そう言って直系10センチほどの薄い赤色の球がリンの掌からから飛び出す
それは俺たちのちょうど真ん中の上空で止まり、滞空する
…空気が張り詰めるのがわかる
リンは自身の身長の半分ほどの西洋剣を握り直し、俺は両方のセーフティを解除する
そして、破裂音
瞬間、リンが地を蹴り、一直線にこちらへと迫る
そして、発砲
45口径の弾丸が空気を裂き、一直線にリンへと迫り、そのまま、リンの西洋剣に叩き落された
「……は?」
思わず唖然とする
いくら45ACP弾とはいえ、秒速300mはあるのだ
それを剣で叩き落すなんて想像もしてなかった
……これが異世界か
心が踊り出すのがわかる
その間にもリンが迫ってきているのだが、まだ距離はある
俺は続けてトリガーを引く
左手に構えたHK45から弾丸が飛び出すが、どれも一撃を与えるには至らなかった
距離が30mほどに迫ったところでリンの軌道が変わる
右に少し弧を描くように迫ってきたリンに、秒間1200発の弾丸の雨を浴びせる
するとリンは何かを前に出す
すると、弾丸がリンに着弾する前に減速したのだ
そして、跳躍
150cmほどのリンが俺の身長を超える
そして、そのまま西洋剣を振り下ろしてくる
俺はリンの正面に、弾丸を一発
HK45のスライドストップと共に、リンの剣は俺に振り下ろされる
「俺の勝ちだな」
そしてリンの頭に突きつけられる銃口
リンの一撃は俺には掠りもしなかったのだ
「やっぱり耐えきれませんでしたか」
リンは手を挙げ、右手の西洋剣を見る
その剣に刀身は無く、数秒遅れて地面に刀身が突き刺さった
この現象の理由は簡単だ
リンの持つ西洋剣を含めた、この世界の鉄製の武器は不完全なのだ
おそらく製鉄方法から不完全なのだろう
一発目の弾丸で、剣の刀身にヒビが入ったのが見えた
ゴム弾は打撃系なので、そのヒビに弾丸を集中させれば、剣が折れることを確信した
「けど、あの状態で剣へのダメージを少しズラしてきたのには驚いた」
「おかげでたっかい魔導具を使うハメになりましたよ」
残念そうに小さな石のようなものを眺める
おそらくグロックの射撃を防いだのはこれだろう
さすが異世界だ
まぁ俺は魔法が使えないんだが
「これで満足したか?」
「もちろんですよ。これで私も心残りはありません」
すっきりしたような笑顔を浮かべながら、そう言ったリンがこちらに近づいてくる
頬を赤く染め、潤んだ瞳が目の前へと近づき、そして
リンの唇が俺の唇に重なった
柔らか感触と甘い匂いに頭が回らなくなる
そして唇が離れ、妖艶に微笑むリンは
「勇者様。リンと結婚しましょう」
そう言ったのだった
作者は困惑しています
ファーストはミラのはずなのに……




