お電話です
『状況は理解できたかな?…えーと…あ、名前は無いんだったね。まぁいいや、とりあえず君は異世界にいるんだよ』
無駄にテンションの高い声に今すぐ通話を切りたくなるが、気になることを言っているのでとりあえず聞くとしよう
「名前は無いっていうのは…?」
『ここにきた時点で君の名前は使えなくなったよ。だから今の君は君であって地球にいた君とは別人さ』
ややこしいが、つまり俺は名無しなのか
なんだか思い出せないのに元の名前を捨てるのは名残惜しいような…
『早く話を進めたいからどんどん言うよ?
まず、君は僕がこの世界に連れてきた。この世界はざっというと剣と魔法とファンタジーの世界、君たちの憧れの世界でしょ?ま、君は魔法なんか使えないんだけどね』
テンションの高い神(仮)は喋り出す
『とりあえず君を連れてきた目的は世界を動かすこと。それはどんなことでもいい。戦争を起こしても、産業を発展させても、世界を滅ぼしても…なんでもいいんだ。そのために君には力も与えた。その力については君が一番よく知ってるはずだ』
力…そう考えると脳に何かが流れるような…これまた気持ち悪い感じで情報が流れてきた
それは勝手に脳で整理されていき
「…モノを取り出す力」
それが終わる頃にはそう呟いていた
『そう!君がいた地球のモノ…生物や植物など以外のモノを取り出す力!ちなみに取り出す時はカバンから取り出してね』
カバンに目をやる
俺はなるほどそういうことかと納得した
『でかいモノを取り出す時も何の苦労無く出せるから心配しなくていいよ。一回何か出してみて』
「わかった」
そういわれてカバンに手を入れる
使い方は簡単だった
取り出したいものの名前や形…なんでもいいから一つ思い浮かべ、後は手を出すだけ
そうして引いた手には一丁の拳銃が握られていた
『コルト・デルタエリート…なんともまぁコメントしずらい銃を出したね…』
いいじゃねぇか10mm口径弾
『まぁいいや。ま、そんな感じで使えるから存分に使ってね。あ、おまけとして身体能力とかその他もろもろも上げておいたからね。これでそう困ることは無いと思うよ』
お、それはありがたい
前の身体能力じゃ銃をまともに撃てるか心配だったからな…
『さて、何か質問はあるかい?』
「なら一つ…両親はどうしてる?」
地球にいる両親について聞く
『いつも通り、君のことなんか気にも留めず、今はトルコにいるね』
そうか…なら何もないや
『もう何もないみたいだから切るね〜、バイバーイ』
通話が切れる
俺はホーム画面に戻った携帯をじっと眺めた
夢でも小説の中でもない現実
なんでもできそうなほど強大な力
いろいろありすぎた…今日は寝よう
能力で家を出して多機能ベットを設置すると、そこに身を投げ出す
早速能力をマスターしている自分に少し笑ながら瞼を落とす
さて、明日は何をしようか…
コルト・デルタエリート
10mm口径弾を使用する銃で装弾数は8+1
無骨な形でかっこいいと俺は思う