謎
多機能ベットについて
正直俺も名前があってるかわからん
とりあえずベットがあって、下に収納スペースがあって、机が出せて、荷物かけがあって…みたいな感じ
「おかしい…おかしすぎる…」
名前を思い出せないって…
確かに俺には名前があった
両親に名前を呼ばれたことも、友人に名前を呼ばれたことも覚えている
ただ、名前だけを忘れているのだ
思い出せないんじゃない
スッポリと記憶から抜け落ちたような…最初から無かったかのようにも錯覚する
……そうだ携帯!!
携帯のデータを見れば名前くらいすぐにわかる!
俺は多機能ベットにかけてあるカバンに手を突っ込んだ
「…うわっ!?」
強烈な違和感だった
まるで何もないところに手を突っ込んだような…
カバンに入れた手が無くなったかのようにも思えた
しかし、突っ込んだ手には確かにスマートフォンが握られている
なんだ今のは?
カバンの中を覗く
俺は目を見開いた
真っ黒、底が無いような…いや、無い
いくら少し暗い樹海でも開いてるカバンの中が見えないなんてことは無い
それなのに…
俺は恐る恐る手を入れる
人差し指から感覚が無くなっていく
気持ち悪い…が、肘まで入った
中で動かしてみる
本当に変な感じだ
確かカバンには筆箱と手帳が…
そう考えた瞬間に何かをつかんだ
慌てて腕を出す
出した手には筆箱と手帳が確かにあった
…本当どうなってんだ?
少し考えるが、優先すべき名前のことを思い出し、スマホのホームボタンを押す
いつも通り銃を構えた美少女のイラストが表示される
こういうミリタリー×美少女はミリオタでもある俺からしたら、うぽって!やガルパンは素晴らしい作品でした
とか考えながらロックを解除する
絶句した
ホーム画面にあるのは電話、時計、カレンダー、カメラ、ミュージックのみ
その他は全て消えていた
しかし、今はあんガル!やパズドラのデータが消えて悲しむ時ではない
俺は電話をタップする
電話帳の一番上には自分の名前と電話番号が表示されるはずだ
そして、移された画面にまたもや絶句した
画面が連絡先一つを残して他は真っ白なのだ
手動で電話番号を打つキーパッドも、履歴も無い
あるのは『神』の文字だけ
俺は少し考えた後、神の文字をタップした
今は考えるより行動だと考えたからだ
耳にスマホのスピーカーを当てると呼び出し音無しでこんな声が聞こえてきた
『やっほー!』
は?
カバンは肩にかけるタイプを想像してください