人間賛歌/余命宣告
蜘蛛の巣のように張り巡らされた
制度の隙間で
不完全な生物たちが
旅立ちを夢見ている
金庫の中には0
がひしめいていて
教科書に載らない褒め言葉に
寄りかかることすら許されない
しがみつこうとしたり
連れて行ってくれなかったあの日々を
最初から無かったことにできないかと
十字架を背負って誰かが祈っている
少ない言葉で紡がれる
声にならない声のバトンパス
絵に描いたような「いい人」たちが
「普通」を削っていく
多くを求めることは罪なのかと
改めて思う
正反対に立つ者こそが
夢を継承していく
鳴り止まない問いが
今日も胸を打つ
旅立っていった者たちの影が
静かに息をしている




