02.銀雪の街
銀雪の街シルヴェ・ティティア。
シリウス辺境伯領の領都。七百年前の大戦終結時に、初代シリウス辺境伯が建都した。
ミラ・ブランシェ最北端の都市であり、冬になると辺り一面が雪に覆われることから『銀雪の街』と呼ばれる。
主な特産品は、紅涙林檎。夏になると領主城の薔薇園や街の北側に広がるラベンダー畑が見頃であり、温泉が湧いていることから観光地としても有名。
不可侵の森である静謐の森に面しているため、現代でも精霊の息吹が強く残る街とされている。
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新しいインクを買いに、久し振りに街に出た。
当主の娘ですもの、自分が治める予定の領地くらいちゃんと確認しておくのも大事だものね。
ちょっと悪戯心が湧いてラウラと護衛を撒いてみたのに、その先で遭遇した休みの政務官に掴まった。
この政務官は「護衛を撒くな、いつも通り商人を城に呼び出せ」と文句を言っていたけれど、街に出ないと見つからないものだってあるから仕方ないじゃない。
そういえばこの政務官、あまり覚えのない顔だと思ったら、最近まで王都の学園に通っていたルーグィス家の次男だった。
これだからルーグィス家は。うちの分家の癖に、頭が固すぎてやになっちゃう。ラウラたちルカード家みたいに融通が利かない。
と思っていたら、ちょうど風が吹いてルーグィス家の次男の髪の毛だけぐしゃぐしゃになっていたわ。
あれはきっと、怒られているわたくしを憐れんだ精霊の気紛れね。
怒られてちょっと気分が悪かったけれど、面白いものを見られたし、次男が綺麗な色のインクを置いている店を教えてくれたから、やっぱり街に出てよかった。




