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#悪役令嬢といじめっ子

あの子が聖女様だ…。


スチル絵でしか聖女を見たことないがナルシアは思わずその正体を確信した。おそらく、この少女が聖女に違いない。少女の髪色はプラチナブロンドで、瞳はヘーゼルアイ。これらは聖女の特徴としてゲーム内でも描かれていたはずだ。


「ちょっと!なんとか言いなさいよ!」


突然、強い力で肩を押され、少女がよろめく。その瞬間、反射的に「きゃっ!」と、声を上げ、驚きと共に足元をすくわれてバランスを崩し床にお尻をついた。周囲の令嬢たちがざわめき、視線が集まる中で、少女は顔を赤くしてうつむいていた。


ナルシアはその光景を見て、心の中で葛藤していた。助けたいと思う気持ちが沸き上がる一方で、現実世界では経験したことのない修羅場に足を踏み入れる勇気が持てない。どうすればいいのか、分からなかった。


「大丈夫だ、ナルシア。お前は自分が誰だか忘れたのか?」


アルフォンスの声が、ナルシアの耳に響いた。彼の顔には、いたずらっぽい笑みが浮かんでいた。ナルシアは、ふとその表情に安心感を覚える。それはまるで、今の自分に必要な力をくれるような、頼もしい笑顔だった。


そうだった。私はナルシア・ヴァレンティーナ・エヴァンス。公爵家の一人娘、そしてこの世界では名高い悪役令嬢。私が何をすべきか、もう迷っている暇はない。


ナルシアは深呼吸をひとつして、アルフォンスを見つめると、決意を込めて頷いた。次の瞬間、彼女の足取りは軽やかに、しかし毅然として少女に向かって歩き出した。



素晴らしい場面ですね!ナルシアの強さや自信が際立っていて、彼女がどのように周囲の令嬢たちと対峙するのかがよく伝わります。このシーンに少し手を加えて、より情景がわかりやすくなるように、またキャラクターの感情が深く伝わるように調整してみました。


「あなたがた、何をしていらっしゃるの?」


その声が広間に響き渡ると、令嬢たちの動きがぴたりと止まった。ナルシアが現れると、少女を取り囲んでいた令嬢たちは一斉にその場から離れ、嬉しそうな表情を浮かべながら近づいてきた。


「ナルシア様!この貧乏人が、身の程も弁えず王宮のお茶会に参加しているから、懲らしめてあげたんです!」


先ほど少女を突き飛ばした令嬢が、満面の笑みでナルシアに擦り寄ってきたが、彼女はその言葉に耳を貸さず、冷たい目で無視した。代わりに、ナルシアは突き飛ばされた少女の前に立ち、優雅に手を差し出す。


「あなた、大丈夫かしら? 怪我はない?」


少女はしばらく戸惑い、視線を下に落とすが、やがて小さな声で「…はい」と返事をし、ナルシアの手を取った。ナルシアは少女の不安を少しでも和らげようとできるだけ優しく笑って見せる。少女の表情に、ほんの少しの安心感が浮かぶ。


しかし、その瞬間、先ほどの令嬢の取り巻きと思われる令嬢が、嫌悪感を隠しきれない表情で声を上げた。


「ナ…ナルシア様、そいつには触らない方がいいですよ。貧乏がうつります。」


その言葉がナルシアの耳に届いた瞬間、彼女の目が鋭く光った。何も言わずにその令嬢をじっと見つめると、次第に周囲の空気が冷ややかに凍りつく。


「お黙りなさい。あなた、私に意見できる立場にいるつもりなの?」


その一言に、令嬢たちは息を呑んで黙り込んだ。ナルシアの視線が一段と鋭くなる。


「私達はナルシア様を心配して申し上げたんです!」


一人が言い訳しようとしたが、ナルシアはその言葉を遮るように答える。


「あら…私って、あなたたちに心配されるほど落ちぶれていたかしら?」


その言葉に、令嬢たちは完全に言葉を失い、口を閉じた。ナルシアの冷徹な視線に、彼女たちは震えながらも何も言えなかった。


ナルシアは再び少女に向き直り、微笑みながら手を差し出す。


「さ、行きましょう。」


その手を取った少女は、少し驚いたような顔をしたが、やがて頷いてナルシアに従った。二人は、冷たい視線を背に会場を後にした。

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