エピソード7:最強ママは忙しい / 1
突然だが、加奈子の1日は忙しい。
通常であれば、朝の5時には起きて、夫である一と息子の千夜と花火、娘の芳花のお弁当を作る。しかも、一はともかく子供たちは好き嫌いが激しいので、夕食でもないのにメニューのバリエーションに困る。そうこうしているうちにねぼすけの双子の息子たちを起こす時間になり、ついでに一も起こす。芳花は自力で起きられるので、そのまんま。
そして、朝食を作り、洗面所をメイクで占拠する芳花を引っ張り出し、いつもネクタイの結べない一のネクタイを結び、双子の息子の忘れ物チェックをして、送り出す。そこからもまた忙しい。スーパーの特売を狙って自転車を飛ばし、帰ったら帰ったらで洗濯と掃除。遅めのお昼になって、ようやく一息つける。
そのタイミングできのきょに行くと、大抵、真珠ことパルりんがいる。パルりんはきのきょの日中の管理人のようなものだ。その日も加奈子は子供たちの帰りを待つ間、きのきょを訪れた。すると、やはりパルりんがいた。運が良ければ深雪にも会えると思ったのだが、どうやら運が悪かったらしい。というと、パルりんに失礼だが。
kanapo<やほやほ、パルりん!>
パルりん<ヤッホ、kanapoさん。お昼食べた?>
kanapo<特売の助六寿司、買ってきて食べた!稲荷が美味しかった!>
パルりん<渋いな、助六>
そういうパルりんは何を食べたのか。
kanapo<そういうパルりんは何を食べたんだね。お姉さんに言ってみなさい、ほれ、ほれ>
パルりん<あたしは0カロリーのゼリー>
kanapo<カロリーを摂りなさい!!>
かほり<あら、ダイエットの話?>
と、まぁ、たまーに。本当にたまーにこうして、お昼ご飯の話をしていると、かほりがやって来る。見えないから分からないが、パルりんのテンションは急上昇だろう。まだ伏せておくが、かほりは仕事の都合で不規則な生活をしている。それ故、お昼過ぎに起きてくることも多々ある。それで夕方から仕事だということもあるらしい。
途中参戦だが、かほりもパルりんにカロリーを摂りなさい、と言う。そもそも、パルりんが日頃から健康的な生活をしているイメージは……無いのだが。