エピソード6:そうそう、ある日、前の旦那さんね、風俗嬢と失踪しちゃったんですよ / 1
真珠がきのきょに顔を出したら、そこではちょっとしたイベントが開かれていた。その名も「背筋が凍る話大会」。企画は戸羽乃、参加者はkanapoとかほり。丁度いいところに、と、真珠も強制参加させられた。しかし、背筋が凍る話大会って言われてもね。真珠自身には大したエピソードは無い。ネッ友の話でもするか。
まず、kanapoが語り出した。そのエピソードは、背筋が凍るというか、まぁ、現実的にゾッとするエピソードだった。既婚女性なら絶対に体験したくない系の。kanapoのエピソードのタイトルは「元旦那と風俗嬢」。もうタイトルからして、キツい。と、そこに深雪が入室してきた。彼もまた、強制参加を食らった。
kanapo<それじゃあ、深雪君も来てくれたところで、はーじめーるよー>
深雪<え、あの、これ、なn>
パルりん<黙っとけ>
kanapoのエピソード「元旦那と風俗嬢」は、果たして未成年者に聞かせていい話なのだろうか。しかし、kanapoは遠慮容赦なく語り出す。──それは数年前。kanapoがまだhitoと出会う前の話。当時のkanapoの旦那は、飲むが働く、働くが飲む、タチの悪い男だった。大酒飲み、風俗通い、それが無ければ、文句のない旦那だった。
そして、kanapoが語りたいのが、風俗通いのところ。その当時、kanapoの元旦那は1人の風俗嬢にハマり込んでいた。生活費以外は風俗嬢に貢ぐこと数ヶ月。ついに、元旦那は書き置きとお金だけ置いて、風俗嬢と失踪した。子供たちはまだ手の掛かる時期だった。残されたお金だけで暮らしていけるわけもなく、kanapoは働いた。
と、いうのが、kanapoの「背筋が凍る話」。苦労話と言った方がいいかもしれない。当のkanapoは「hitoと出会ってなかったら、詰んでたーw」と笑っているが。
そして、次はかほりの番。かほりは暫く考えていたようだが、エピソードが決まったらしい。かほりがエピソード名を発表する。「合成写真ばら撒かれ事件」。これもまた、未成年者には宜しくない気がする話だった。しかし、かほりも遠慮容赦なく語り出す。それもまた、数年前の話。職場での話である。
かほり<いや、あのね、ある日、職場に行ったらスキャンダラスな合成写真をばら撒かれててー>
kanapo<あ、かほりちゃんの身の上話に繋がるアレか>
真珠もかほりの身の上話を知らないことはないが、あくまで他人の真珠たちがオープンにすべきではない。かほりは合成写真がどれだけのクオリティだったかを語ったが、その語り方は合成写真のクオリティがもっと良ければ別の展開になったかもしれないのに、という少しズレたものだった。しかし、内容的には少しゾッとする。