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エピソード4:始まりはヴェロニクス / 3

 kanapoが詠唱すると、巳茶のキャラクターが光に包まれていく。詠唱は、まるで神に捧げる歌のようだった。



 ぽぽこ<穢れなき子羊を救わん、エー・アル・ヴィ・デア。御霊を返し給わん、イー・ルデ・シュワルツ>


 桜餅<お世話を掛けます、kanapoさん>


 ぽぽこ<あー……深雪君の前で初めての詠唱だから、緊張するよー>



 ぽぽこの蘇生術で「桜餅」が通常ステータスに戻った。桜餅は、きのきょでは「巳茶」を名乗っている。緊張するとは言いつつ、kanapoはhitoとかほりも蘇生していく。装備でブーストしている為、他のヒーラーより蘇生速度は速い。それでも時間は掛かるが。今日の戸羽乃の企画は成功だった……のだろうか。


 蘇生が終わり、きのきょのメンバーで深雪を街まで送ると、各々ログアウトした。気付けば、もういい時間だ。きのきょに残ると言ったのは、かほりと巳茶。hitoとkanapoは明日があるから、と落ちた。深雪はどうしようか悩んだが、かほりはまだ苦手なタイプだし、巳茶のことはよく分からない。落ちることを決めた。



 ちなみに、深雪は今日、初めて知ったことがある。かほりは女性ではなく、オネエさんだということ。きのきょだと話していても声が聞こえないから、分からなかった。



 明日があるから、と落ちたhitoとkanapo──一加奈子だが、ゲームでの興奮が収まってから寝よう、と、リビングダイニングで温かいお茶を啜っていた。2人はパルりんの心配をしていた。母親相手にあれだけ過激なことを言ってしまって、大丈夫……なわけがない。知る限り、彼女の親は揃って毒親だ。


 一と加奈子にもパルりんと同じような年齢の娘がいるが、あそこまで荒れたことはない。家庭環境の割に、落ち着いて育ってくれた。



 「あの子のリアルの連絡先、聞いておくんだったかな」


 「そうねぇ……。今はもう、大丈夫なことを祈るしかないんだけど」



 未成年と未成年ならともかく、未成年と成人では扱いが変わってくる。未成年。そうだ、今、きのきょには深雪がいる。いざとなったら、彼がパルりんを助けてあげてほしい。パルりんは一にとっても、加奈子にとっても、大切な仲間だ。今も、これまでも、出来ることはしてきたつもりだ。これからもそうするつもりだ。

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