表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/25

エピソード3:うるさいなぁ!! / 1

 低レベル帯の草原・トゥライ。最悪、キャラクター自体のレベルも低い深雪が迷子になっても、辛うじて戦闘不能にならないようなモンスターしかいないエリアだ。7人の大所帯から逸れるようなドジをしたら、笑ってしまうが。しかし、またそういうことを言うとリーダーに──hitoにあれこれ言われるだろう。黙っておこう。


 今日のアイテム・レベリングは最後まで参加したい、と思っていた。真珠は基本的にはソロプレイヤーで、回復アイテムはいくつあっても困らない。特に不足しがちなのは、回復薬<ウィン>と状態異常防止薬<アネテネ>だ。アネテネに関しては、常時上限マックスまで持っていても足りないくらいだ。


 ウィンは鍛えれば鍛えるほど回復量が増し、アネテネは鍛えれば鍛えるほど、効果時間が延びる。今日は30個を目指したい。そして、hitoを筆頭にレベリングを開始すると同時に、ボイスチャットも賑やかになった。真珠の部屋の外には、まだ父親か母親が立っている。その状態で会話を開始するのは、実に面倒なのだが……毒親に合わせるのは嫌だ。



 ゆみポ<ねぇねぇ、リーダー。ここ、この前のアプデでモンス追加になってなかったっけ?>


 白漆<え、マジで!?どこからそんなお宝情報を持ってくるのさ、パルりん!>


 ゆみポ<なんか、レアポップらしいよ。個人でやってるホムペの情報だけど、掲示板を見る限り、ガチ>



 盛り上がってきた、その時。ドアの向こうから母親の声がした。



 「真珠?誰と話しているの?」


 「ネトゲの仲間」



 真珠は溜め息を吐く。面倒なやり取りが始まってしまった。ドアの向こうの母親は、今のところ、心配モードだ。縛りモードに入られると、厄介だ。現状、パソコン類に手を出したらリスカする、と脅しているから大人しいものの。本当にリスカするつもりはないが、本当にパソコン類を取り上げられたら、してしまうかもしれない。



 「相手は男の人なの?」


 「男女混合。ていうか、この会話も全部、筒抜けだから」



 そう、筒抜け。hitoにもkanapoにも戸羽乃にもかほりにも巳茶にも……深雪にも。hitoに「キレちゃ駄目だよー」と言われるが、何だか、イライラしてきた。真珠は思い切って、部屋のドアを開けた。母親が驚いた顔をしている。真珠は母親を睨み上げる。うっせぇんだよ、と。母親が怯えた顔をした。ガチで睨んだから。殺意もおまけで。


 hitoが「パルりん、ゲームしようよ、ゲーム!」と止めに入ってくれるが、1度火のついた怒りは、そう簡単に鎮まりはしない。真珠の母親は泣きそうだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ