悪夢を見る方法
皆さんこんにちは。
はじめましての人は初めまして。
水産加工食品のたらこくちびる毛ですよ。
以前は頻繁にエッセイを投稿していたのですが、最近はすっかりさぼり気味の、ダメな半額水産加工食品です。
久しぶりに短編エッセイを投稿しようと思って筆を執りました。
最後までお付き合いいただけたら幸いです。
◇
皆さんは 悪夢 を見たことがありますか?
だいたいの人は一度くらいは見たことがあると思います。
中には夢を見たことがないという方もいらっしゃるかと思いますが、目覚めた後に何か嫌な気分になったことはあったりしませんか?
もしかしたら覚えていないだけで、悪夢を見ていたのかもしれませんね。
一般的に 夢 とは眠りが浅い時に見るものだと言われています。
夢 は日中の記憶を整理するために見るものだとも。
人は 夢 を見ることで、自分の心を見つめ直しているのかもしれませんね。
ところで、皆様は 記憶に残る夢 がありますか?
何年たっても何故か覚えていて忘れることができない夢。
たらこはよく 電車に乗る夢 を見ます。
別に電車が好きなわけではないですけど、何故か記憶に残るのです。
学生時代に使っていた路線、一時間に一本か二本くらいしかない地元の路線、数回しか乗り換えたことのない駅、一度も利用したことがない架空の路線。
たらこは夢の中で色んな電車に乗りましたけど、一度として現実に忠実な路線に出会ったことがありません。
たいていの場合、複数の路線や駅や地域が混ざり合って、オリジナルの場所に変化します。
地元の駅は割と寂れた場所(と言っても地元では栄えている所)にあるのですが、たらこが見た 夢 の中では、ビルが何本も建つ大都会に変貌していたり、人でごった返す有名な観光地になっていたりと、とんでもない変貌を遂げています。
東京まで結構時間がかかるのですが、数分で都心にアクセスできる便利な土地になっていたこともありました。
知らない駅で下車しても、あたかもその土地を最初から知っているかのような、不思議な感覚になったこともあります。
どこへ行っても知らないモノばかりなのに、その全てをあらかじめ知っているかのような不思議な感覚。
夢 の中で見知らぬ土地に足を踏み入れるのは、ドキドキ・ワクワクしながら、不思議な安心感があるのです。
電車に乗らなくても、車を運転して旅に出たり、空を飛んで街を飛び回ったり、とにかく動いていることが多いですね。
基本的にインドアな水産加工食品のたらこですが 夢 の中ではとてもアクティブなのです。
不思議なことに、以前に訪れたことのある 夢 の中にしか存在しない架空の場所を 夢 の中で再び訪れることがあります。
感覚的に「あっ、これ前に見た 夢 で出て来た場所だ」って気づくんですよねぇ。
夢 の中にしか存在しない場所なので、再び訪れるというのも、なんとも変な言い方かもしれません。
でも他に表現の仕方がないのです。
再度、尋ねたその場所は、記憶の中にある通り、思い描いたままの光景が広がっています。
まるでずっとその場所で暮らしていたかのように、その土地のことを何でも知っているのです。
まぁ……これはあくまで 夢 の中のお話ですか。
夢を見ている現実のたらこが 夢 の中で思ったままにその土地を創造しているに過ぎないのです。
一度訪れた場所というのも、単なる思い込みでしょう。
ですが 夢 の中のたらこは、その場所を 以前に夢で行ったことがある場所だと認識します。
だからと言って明晰夢になって、なんでもかんでもやり放題、という展開にはなりませんけど。
不思議なことに 夢 と気づいても、何もかもが思い通りになる世界だとは認識できないんですよねぇ。
変に理性が残ってしまっているのかもしれません。
さて。
そろそろ、タイトルのお話をしないと、怒られてしまうかもしれませんね。
皆様がこちらの作品を開いたのも、タイトルに惹かれたからでしょう。
悪夢 を見るにはどうすればいいのか。
その方法についてお話したいと思います。
◇
すみません。
ちょっとその前に、一つだけ。
なんでたらこが 悪夢 を見たいと思ったのか。
その理由についてお話したいと思います。
また少し長い話になるので、ご容赦下さい。
たらこは、ごくまれに 悪夢 を見ます。
目を覚すと全身が恐怖に震え、身体中から熱が噴き出し、震えが止まりません。
このように 恐怖 を感じるのは、現実ではなかなかないことです。
たらこは今まで、死を予感するような体験はあまりしたことがないので、本当の 恐怖 というのが、どういうものなのかよく分からないんですね。
ホラー映画を見たり、怖いゲームをやったり、怪談や妖怪が出る漫画や小説を読んでも、身体が震えるほど怖いと思ったことはないんです。
だって、結局は安全圏内で楽しむ娯楽じゃないですか。
漫画や映画を見て、本当に死ぬことなんてありませんからね。
高い場所から飛び降りたり、乗り物で猛スピードで走り抜けたりと、スリリングな体験をするスポーツなどもやったことがありません。
多分死ぬまでやらないと思います。
たらこが今まで体験した 恐怖 のなかで最も強烈だったのは 悪夢 によるものでした。
悪夢 ほど怖い思いをしたことがないのです。
今までで一番怖かったのは、人のいない漁村でミステリーツアーをした夢ですね。
廃墟ばかりの漁村に集団でお泊りして(全員知らない人)一晩を過ごすという内容です。
日中の明るい時間帯にボートで上陸した一行は、漁村の中にある一件の廃墟に宿泊することになりました。
雨戸も扉も全て締め切って夜を迎えます。
そこからがめっちゃ怖かった。
いや、何にも出てこないんですよ。
廃墟の中でじっとしているだけで、誰かに襲われることもない。
お化けも、妖怪も、殺人鬼も。
なにも現れません。
悲鳴や足音や話し声が聞こえるとか、ガタガタと扉や雨戸が揺れるとか、怖がらせるようなイベントは何一つ起こりません。
ただただ 怖い のです。
理由は分からないのですが、外に出てはいけないと強く感じました。
そして扉を決して開けてはいけないとも。
理由はよく分かりません。
廃墟の中で大人しくしていないと、取り返しのつかないことが起こる。
そう確信しているのです。
なんの脈略もなく目が覚めました。
ただじっとしているだけだったのですが忽然と現実に引き戻されたのです。
目を覚ましたらとにかく怖くて、震えがなかなか収まりませんでした。
とにかく喉が渇いて、何か飲みたいと強く思ったのですが、怖さのあまり動くことができません。
金縛りにあったわけではないので、身体を起こすことはできるのですが、夢が続いているような気がして――
部屋を出たら悪いことが起きるのではないか。
そんな妄想をしてしまうのです。
……ぶっちゃけ、何も起こりませんでしたけどね(にがわらい
◇
とまぁ、こんな感じで、怖い夢を見たことがあるのですが、たらこが見る 悪夢 は決まって 何も現れない のです。
殺人鬼に追い回される夢を見たことがありますが、怖いと思ったことはないです。
なんでかって言うと、逃げようとして全力ダッシュしているうちに、上手く走れなくなって夢だと気づいてしまうから。
どうやったらうまく走れるのか、そっちの方に気を取られて殺人鬼のことを忘れてしまいます。
妙に粘り気のある空間と格闘しつつ、ふと振り返ると、あきれ顔で肩をすくめる殺人鬼が目に映ります。
もうこれコメディだろ。
とまぁ、こんな感じで、何か現れると 恐怖 よりも思い通りにならないことが気になって、怖くなくなっちゃうんですね。
なので、本気で 怖い と思う夢は、きまって 何も現れない夢 に限るのです。
頻繁にみるわけでもないので、なにも現れないけどとにかく怖い思いをする 夢 は比較的レアリティが高いです。
恐怖 のあまり目を覚ますというのも、何度も体験したわけではありません。
だからね……ついエッセイを書きたくなってしまったんですよ。
久しぶりに見た 怖い夢 だったので。
この前、たらこが見た 悪夢 はですね。
とても 悪夢 とは思えないような内容だったのです。
ゲームをする夢でした。
と言っても、テレビゲームやスマホゲームではなく、リアルに身体を動かして行うバーチャルリアリティな奴。
今のVRがもう少し進化した感じの、完全に世界に入り込むゲームでした。
んで、そのゲームの内容がですね、床に落ちたアイテムを拾い集めて行くという、いかにもありがちなスマホゲーでよくあるタイプのゲームでした。
リアルに再現されたオフィスのような空間で、床の上に敷き詰められたカワイイ動物のアイテムを集めていくのです。
歩いて集めると効率が悪いので、腹ばいになって身体を滑らせて移動します。
アイテムは身体が接触すると自動で回収されます。
進もうと思った方向に自動で動くので、身体を動かす必要はありません。
軽快なBGMと共にゲームスタート。
相棒の女の子(誰?)と一緒にアイテムを回収していきます。
床には沢山の可愛らしい動物のアイテム(ぬいぐるみ?)が敷き詰められていて、色んな方向へ移動してアイテムを回収。
一階はほとんど回収し終えたので、女の子と話し合って二階に行くことにしました。
敵が出てくるわけでもなく、トラップが仕掛けられているわけでもなく、ただアイテムを集めるだけの簡単なゲームです。
オフィスにはほとんど邪魔になる障害物は置いておらず、段差もありません。
身体を滑らせるだけで簡単にアイテムが集まります。
二階、三階と進んでいくと、アイテムがだんだん少なくなっていきます。
形も可愛らしい動物の姿から、白い卵に変わりました。
少しずつ、BGMが小さくなっていきます。
三階ではアイテムが置いてある道が二手に分かれていました。
再び女の子と話し合って別れて進むことに。
四階へ続く階段を発見したたらこは、アイテムを回収しながら上の階へ。
……様子がおかしい。
四階にはほとんどアイテムがありません。
BGMも完全にストップしてしまいました。
無音の中、何もないオフィスのような空間に一人立つたらこ。
よく見ると不自然なんですよ。
建物はいびつな形になっていて、オフィスとして利用するには、あまりに使い勝手が悪い。
住居として使うにも部屋が全くない。
なんなんだろう……この場所は。
疑問に思いながら、歩いて探索を――気づいたら立ち上がっていた――続けていくと、更に上の階へ続く螺旋階段を発見。
ネットに入った複数の卵が無造作に置いてありました。
急に 怖い と思いました。
一緒にゲームをしていた女の子のことが気になって、この階へ来ていないか探していると、もう一つ螺旋階段が見つかりました。
階段には一段ずつ、割れた卵の殻が置いてあります。
女の子は上の階へ行ったのかもしれない。
彼女を追って先へ進むべきか?
逡巡しているうちに、すぐに引き返さなければならないと、強く感じるようになりました。
慌てて元来た道を引き返し、階段を下りて行くと……目が覚めました。
全身が 恐怖 で震えていました。
幸い、すぐに震えが収まったので、あまり怖い思いをせずに済みました。
ですが……例のあの 夢 を思い出したのです。
そう、廃墟の中で一晩を過ごしたあの夢です。
あの時体験したのと、同じ種類の 恐怖。
長らく 悪夢 を見ていなかったので、この 恐怖 を味わったのは久しぶりです。
いや……怖かったなぁ。
あのまま先へ進んでいたらどうなったんだろう?
◇
たらこは、あの夢の続きが気になってしまいました。
あの階段を上ってゲームを続けていたら、何が起こったのか。
女の子はどうなったのか。
上の階へ行ったら何があったのか。
気になる、気になる。
あの 悪夢 の続きが気になって、気になって。
目を覚ましたたらこは、さっそく調べてみました。
悪夢 を見る方法を。
一応、それらしい情報が手に入ったのです。
簡単にまとめて説明してみますね。
・ 夢は眠りが浅い時に見るもの
・ コーヒーやアルコールなどを摂取すると眠りが浅くなって夢を見やすい
・ ストレスにさらされると悪夢を見やすくなる
・ 偏桃体が活発になると悪夢を見やすい
・ 体温が上がると悪夢を見やすくなる
つまり……身体に負荷をかけて、お風呂でゆっくり温まってから、お酒を飲んで酔っ払ったまま寝ると、悪夢 を見やすい(かもしれない)ということですね。
見る前に脱水症状で死にそうなので、やりたいとは思いませんけど。
思えば、たらこが 悪夢 を見たのも、寝不足が原因でした。
あと昼間に仮眠していた時に見たので、体温が高かったのかもしれません(お布団をしっかり被って眠っていた
似たような状況になれば、また 悪夢 を見ることができるかもしれませんね。
まぁ……見たところで、何が起こるとは思いませんけど。
だって、所詮はただの 夢 ですからね。
◇
今回は、悪夢 を見る方法を調べる切っ掛けとなった 夢 についてのお話でした。
所詮は空想の産物なので、さして怖いものでもないと思います。
ですが……あの身を震わせるような 恐怖 は 夢 でしか味わうことができません。
ちょっと癖になっている自分がいるのです。
なにより……続きが気になる。
気になる。
階段を昇っていった先に何があったのか。
とっても気になるのです。
幼いころ、たらこにとって、夢 は文字通り 夢のような時間 でした。
楽しいことが沢山あって、現実ではありえないような不思議な体験ができる場所。
でもたまーに怖い 夢 を見て、現実に返って来てホッとすることもしばしば。
それでも 夢 の中で過ごす時間が大好きでした。
悪夢 も 楽しい夢 も 現実とは違った体験をさせてくれるのです。
さて……眠くなって来たので、そろそろ寝ますかね。
あの夢の続きが見られたらいいな。