98、神の手
これは協力を取り付けたければ力を示せってことだよね。
そしてハイエルフにとって力とは魔法そのもの。
しかもこれにかんしては間違いようもなく派手好きときたもんだ。
……私の地味な魔法で何ができるだろう。
おあつらえ向きに雲があるからとりあえず冷やしてみようか。
派手とはいかないまでも雨でも降れば大規模魔法って言い張れる。
ついでに虹とか掛かってくれたら見栄えがいいけど、これは完全に運任せだな。
ハイエルフたちの魔法で生まれた雲の下あたりを集中的に冷やす。
「むっ?」
最初に声を上げたは深穴のハイエルフ。
次いで横風、空高だっけ?
「……か、神の手じゃ~!」
「備えよぉ~! 精霊を頼れぇ~っ」
何をそんなに慌てることが?とかのん気に構えてた私は、直後すさまじい音と爆風に晒されたってことしかわからなかった。
つまり顔面はもちろん全身をぶっ叩かれて吹き飛んだわけで、でも後から思えばぷわんと何かクッションのような感覚があって特に怪我もしていない。
きょろきょろと見回せば、美しく神々しいけどやっぱりでかい千年ハイエルフのウィンク。
……守ってくれてありがとう。
エルフたちの場合は、自然の四元素を元にした攻撃であれば親しい精霊がある程度は受け流してくれるらしい。
もちろん敵の力が強ければ押し切られるわけだけど、今回は皆かすり傷くらいで済んで……いや一人だけひどい倒れ方をして骨折。
謝り倒して尊敬の念を向けられるなんて居た堪れない。
当然のようにハイエルフたちは髪の乱れすらなく、対照的に周囲の森の壊れっぷりがひどかった。
……これはもしやダウンバーストとかいうやつ?




