95、面白いお子
エルフたちは跪いて熱心に祈ってて、私もそうするべきだって頭ではわかってるんだけどね。
ほぇ~。
ハイエルフはエルフより1、2~1、3倍くらい大きかった。
……背だけ高いとか太ってるとかじゃなくて、種族としての体格が大きい。
でも私が見上げてるのはそれだけが理由じゃなくて、彼らが木に乗ってるからだね。
ガンダムが生きた木になってると思えばいいよ。
大樹の懐に抱かれたハイエルフはとてもゆったり……息してるよね?
くわぁ~っと美形らしからぬ大欠伸をしたハイエルフが目じりを拭いつつ私たちを見下ろす。
「横風のぉ~、なんか来とるよぅ~」
女の乗ってる木の枝がわさわさと隣の木を揺らす。
「……なんじゃい高空の、ふぁ~」
大きく伸びをしてやはり私たちを見下ろす男。
どちらも白金の長い髪をさらりと揺らしてシミ一つシワ一本ない白皙の美貌だけど、仕草や口調は年寄りくさい。
まあ当然と言えば当然か。
「おぅ、そういや面白いお子がくるとか」
「三百年ぶりくらいかねぇ~? まったく不義理をしてからにぃ~」
身を乗り出して、めっ!というように軽くこちらを睨むけど、視線があちこち彷徨ってるから誰も彼も同じに見えているんだろう。
……おじいちゃんおばあちゃんにはありがちなことだけど。
そこへズシンズシンと地響きと共に新たな大樹が現れる。
一際大きな女のハイエルフが乗ってるんだけど……まさか象みたいに生きてる限り大きくなり続けるとかいう?
エルフたちは「偉大な方々です」としか表現しないからさ。
「まったく近頃の木々や地面ときたら自分で考えて動くってことをしない。いちいち私が指示をしてやらなけりゃ、開いたら開きっぱなしなんてみっともなくてしようがないじゃないか。それで面白いお子は来たかい?」
「相変わらずせっかちじゃな、深穴の。挨拶もしよらんで」
「来たけど遅いよぅ~、アタシ待ちくたびれて寝ちゃったぁ~」
……そっかー、千年生きてるハイエルフがいちばんせっかちかー。
そんな彼らが「面白いお子」って言うんだから相当おもしろかったんだろうね。
私もできるなら会ってみたかった。
でも残念ながらその人はとっくの昔に昇天してるんじゃないかな。




