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84、パラソル


 二週間なんてあっという間に過ぎる。


 生徒達は家族から何か言われてたかもしれないけど、今回はあくまでも数年後に創設される学び舎のためのお試し授業って名目だったから、私は「では諸君、また学院で会おう」とだけ挨拶して別れた。


 後日、四人の実家に使いを出す。


 一人は十四歳の少年。

 オリヴィア図書館の蔵書を読破したいって言ってた。

 でも来年成人のこの年歳で勉学を志すのは遅すぎるんじゃないかとも。

 何を言う少年よ。人間は一生勉強だ。

 私なんか死んでもまた生まれ変わって勉強してる……とほほー。


 当初、私の「学友」と図書館通いをどう両立させようか悩んでたみたいだけど心配ご無用。

 運動がてら一日に一度挨拶にくればいいから。

 あとは登城してから帰るまでずっと図書館にこもってていいから。

 ただし禁帯出ね。

 本が貴重ってこともあるけど貸し出したら君は絶対家で徹夜するでしょ。

 あと昼食をとらなかったら次の日の午前中は図書館入館禁止の刑だから!


 昼食にかんしては王族にはもちろんちゃんとしたものが給仕されるけど、登城してる家臣たちはまちまちだ。

 主人や上司に誘われれば一緒に食べられるけど、そうでなければ手弁当か一旦家に帰って食べたりする。


 体が資本の軍人は兵舎で賄いが出るけど、文官たちがなぁ。

 一応兵舎の方に顔を出してもいいことになってるんだけど、仕事にかまけて食べない者も多いみたい。


 城に雇われてる料理人はいまの仕事で手一杯で、まあ王族の口に入るものだから規定も多いし、おいそれと外部との接触も許されないのだ。

 ほいほい料理長とやりとりしてる私が異常なわけで……まあ王子だし?


 メイドあたりで暇って言ったら語弊があるけど、興味のある者に小遣い稼ぎをしないかって声を掛けて裏庭で軽食を作らせてみた。

 もちろん宰相の許可はとって、厨房から材料を回してもらってるよー。福利厚生だよー。


 メニューはシンプルにサンドイッチとスープ。

 パラソルにテーブルと椅子を用意してその場で食べることもできるけど、サンドイッチだけお持ち帰りする者も少なくない。


 密かに好評。

 文官は同じでも頭が回るので、美味しいからって触れ回ると自分の分がなくなるってわかってる。

 でもじわじわ販売数が伸びていき、作り手を増やしてるにもかかわらず売り切れの日が続いてるのだとか。


 ちなみに初日の午後には正妃からパラソルについて問い合わせがあったよ。



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