75、地図
明確な単位がないってことには前々から頭を悩ませているんだけど。
これは王が強権でも発動しないと無理ですわ。
M&D商会ではドワーフ族が使ってる単位で瓶 や樽、定規を作って量り売りを始めたけどね。
そんな私にも正確で詳細な地図を作るには、道具にしろ技術にしろ知識にしろ足りないことだけはわかる。
その上、調べ歩いてる狐人族の脚の速さが半端じゃないんだ。しかも獣人国内では獣型で行動してるらしいからさらにスピードアップ!
続々と届けられる地図にここからここまで歩いて何日、跳ね飛んで何日、走って何日って細かに書き込まれてるのを、ロキ先生が徹夜で計算し直し清書してる。
それでもどこに山や川や丘があって、どこが渡れそうでどこが通行不能で、この道に沿って行けばだいたい何日かかるってことだけでもわかれば、兵糧の計算くらいはできるでしょ。
……いまの戦争はすべてが現地調達なんだよ。
武器として戦斧を持つ者もいるけど藪を切り払いながら進むくらいで、橋を掛けて川を渡るとか全然考えないみたい。
落とした村々で食料を奪い、周囲の魔物や獣を根こそぎ狩る。
排泄物や死体の処理をいい加減にして水場を汚染する。
……焦土作戦かな? そりゃ無茶苦茶恨まれるわ。
私だって今更きれい事を言う気はないけど、それやっちゃったら後が大変すぎるでしょうが!
まあ三歩先のことを考えて今こけてたら意味ないんだけどさ。
準備して躱せるところはそうしたい。
我ながら遅きに失してる感がありありだけど、幸いドワーフ族が汎用性のある武器を量産してるから、自国の職人たちに余裕が生じてるはず。
とりあえずククリナイフでも作らせようか。
あとスコップとロープを大量に。
個人の荷物をまとめられる背嚢とかもいいんじゃない?
それから水筒とレインコート、毛布も欲しいけどまだ羊毛は貴重だから魔物や獣の毛皮で代用か。
いやそれも大事だけど真っ先に足もとをなんとかしないと、軍靴だよ軍靴。
重すぎないで丈夫で通気性もあって、そんな高性能なものなんて……できちゃいそうだね。




