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69、磁石


 一方でアドヒ山で拾ってきた石。

 ストーンバードの石もそうだけど、石同士が引き合ったり反発し合ったりするし、鉄にくっ付く。

 やったね!


 ドムは「砂鉄を集めるくらいにしか役に立たん」って言ってたけど、まあ山まるごと掘り尽くしちゃうドワーフからすれば無用の長物だろう。


 さあこれで方位磁石を作ってくれ!

 一人盛り上がる私と、意外に可愛らしく首を傾げるドム。


 ……とりあえず石を細く削ってね。

 ……こっちくっ付く、こっち反発する。よし。

 ……これを軽い木片、えっと魚の形にでもしてくれる? それに仕込んで水に浮かべる。

 ……こっちが南だったよね? よっしゃ成功!


 どう動かしても頭が必ず南を向く木の魚に、またなんか面白そうなことをやってるって寄ってきたドワーフたちも驚愕。

 いや理由なんて聞かれても私もよくわかんないよ。


 とにかくこれを洗練させて簡単に持ち運べるようにしてほしいんだけど。

 手に負えないことがあると呼ばれるドクトル。

 感覚派が多い中で珍しく理詰めで考えるタイプだからね。


 でもこうやって他部族同士助け合うようになったのはドワンの一族がうちの国に負けてから。

 じつはドワーフって人見知りなんだよ。ププッ。


 気のいい連中だから、きっかけさえあれば割とすんなり仲良くなれるんだけど、自分からはなかなか声を掛けられない。

 私たちを受け入れるのにもものすごくがんばったんだと思うと、微笑ましいというかこう胸に来るものがあるよね。


「こ、これは……」

 技術以外のことにも頭が回るせいで「こんな技術を我々が知ってしまって大丈夫なのか?」って怯えるドクトル。


 いや私としては国境なんて関係なく広げちゃって、誰かさっさと新大陸でも発見してくれないかなと。

 まあ、サハギンとかクラーケンとかいてなかなか難しそうではあるけどね。


 獣人国にはまだ内緒だよ、ニコリ。



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