64、肉
ドゴンに叱られた奥さんたちが石積みのかまくらの中に次々と入っていく。
あ、なるほど地下シェルターになってるのか。
お前たちも入れって言われたけど肉肉肉だよ?
「ドゴン! どこだったら落としても大丈夫だ?」
なに言ってんだ?って顔をしたドゴンだけど、こんな時でも静かな空気をまとってるソイ先生に何か感じるものがあったらしく、目の前の川を指し示す。
でも残念。今回ヤるのは私だ。
「よし、羊を囮に使え」
「「「「おー!」」」」
騎士たちに追い立てられた羊たちがメーメー鳴く。
もちろん一匹だって進呈するつもりはないけどね。
大きく蛇行した川は広く堆積物を残していて馬であれば中州まで渡れそうだ。
それを見下ろす幾分小高い丘の上。
残りの騎士は私の脇を固め、さらに兵士たちが馬車の外装っぽく仕込んでた大盾を並べて前面に立つ。
日頃の訓練の甲斐あって様になってるけど、私だけソイ先生と相乗りでなんだかな~。
まあこんな時、馬を御しながら何かするなんてできないんだから仕方ない。
羊が河原に入って散らばり始めたので、追ってた騎士たちを陣太鼓で呼び戻す。
ワイバーンはすごい速さで近付いてきてる。
でかいな!
実際はセスナ機くらいらしいんだけど、生きてるせいかもっと大きく感じられる。
首の後ろがチリっとして、ワイバーンがこっちを意識したのがわかる。
でも知能がまったくないわけじゃないようで、羊の方が楽に狩れると判断したみたい。
降下をはじめた奴らの脳を急速冷凍。
《感知》のおかげで外すってことがない。
多数を同時にロックオンするには刀を振ってる時の感覚が役に立つよ! 自分を含めた周囲をぼんやり把握するっていうかね。
……どこ見てんのかわからないって言われるのが玉に瑕だけど。
ついでにワイバーンから電気信号が消失したことを確認。
ただ一つ誤算だったのは飛ぶのをやめたからってその体は急には止まらないってこと。
急降下しつつ迫られる恐怖!
実際はちゃんと河原に落ちたんだけどね。
羊もちゃんと逃げてくれて……でも、どうやって集め直そう?




