60、ドワーフ・女
それをぼーっと立って見てたら、奇岩の影から美少女の集団が現れた!
「うちのがごめんね」「うちら礼儀とか知らないから」
ドワーフ語で話してるからドワーフなんだろう。
「いえいえ、お気になさらず。こちらこそ突然来たにもかかわらず、会ってもらえてうれしいですよ。お美しいレディ」
やだやだあははっ!て肩をどついてくる様は肝っ玉母さんだけど、合法ロリ来た!
王子に触れるとはって剣に手を掛ける護衛たち。
いいのいいの君たちはそこで羊に行く手を阻まれてなさい。
彼女らにはまったく敵意がないから。
「あれ何?」「くれるの?」
「はい。お詫びの品ですからどうぞもらってやってください。羊と言って肉も食べられるし……」
「皆でわけていい?」
無口なドワンがぼそっと注釈してくれたけど、各部族の代表が一堂に会してるらしい。
根気よく交渉を重ねていこうかって、先触れは国境からいちばん近いところに住んでる一部族にだけ出してたんだけど、これなら手間が省けて助かる。
「どうぞどうぞ。もう上げたものだからご自由に。ただ、できたら潰すのは味見程度にして、増やすのを優先してもらいたいな」
「どうして?」
それはもちろんこのまま食べちゃうより、増やした方が肉も毛もいっぱい取れてお得! 乳も飲めるよ!
糞はと言いかけて今回は自重……我ながら成長してる。
さらに私は羊毛がいかに温かいかや、馬も魔牛も食べない硬い草でも平気で食べるってことを力説する。
あとは時々塩を舐めさせるだけで十分。
羊毛は処理が面倒ならそのままこちらで買ってもいいし。
うんうんと肯きながら聞いてる奧さんたちの姿に、ようやく気付いた男共がぎょっとしてるけど大丈夫。
いくら可愛くても自分の頭より大きい金槌背負ってる女に手を出す奴なんているものか。
しかも岩陰に仲間がまだまだ隠れているんだよ?
鍛冶の神の加護なのか何なのか少なくとも鉱山や鍛冶による公害はないようで、でもだからって鉱夫は落盤や酸欠にだけ気を付けてればいいわけじゃなく、強力な毒持ちの魔物が多く生息してるのもこの地域。
奥さんたちも強くなるわけだよ。




