52、お小遣い
私? 私はいつも遠目に観戦してたよ。
狐人族が常に行き来してるから情報伝達も早いしね。彼ら二本足でもかなりの俊足。
うちの護衛たちには偵察や追跡の技術を高めると共に、なんちゃってゲリラ戦でも仕込んでみようと思ったんだけど。
さすがにあの鎧姿で匍匐前進させるのは忍びない。
迷彩服とかカモフラージュネットとか望遠鏡とか方位磁石とかいろいろ欲しいものが増えて困るなぁ。
本当に困ってるのはドワンやエルルだろうけど。
今日は休息日なので、手作りオセロでキルヒャー先生と遊んでる。
うん、これくらいは有り物の木片や燃えさしなんかで作るよ……トムが。
観戦してた護衛たちが「これ売れますよ」って言うので、商会を作ることにした。
正妃にばかり儲けさせるのもね。そのうち平気で恩を忘れられそうだし。
王家から支給される以外にも自由になる金はあった方がいい。
計算できる狐人族に任せようかとも考えたけど、あれはやはり外交とかスパイ向き。
これから起こす対獣人国戦で大活躍してもらわねば。
あー……しばらくかまってないから拗ねてるだろう侍従たちにやらせようか。
描き々々書き々々「君たちにしか任せられないのだよ」と。
あとはチェスとトランプと……いやチェスはともかくトランプは印刷技術がまったくなかったわ。
まだ紙の本すらできてないんだもんなぁ。
よし、売れなくてもいいからキルヒャー先生の原稿を本にしよう。
まずは木版から?
う~ん、そんなに数が出ないなら写本の方が早い気がする。
字が書ければ仕事になるってわかりやすいし。
私の周りで字の綺麗な人、誰かな?
キルヒャー先生でないことは確かだけど。




