47、初代王弟
キルヒャー先生、次いでソイ先生、そしてトムに諮る私。
そう仕事はできる奴にやらせればいいんだ。
もちろん信用できる相手に限るけど。
率先して知恵をしぼるロキ先生とキルヒャー先生。
ただこの二人はすぐ熱くなるから、いつでも冷静なソイ先生の存在はありがたい。
トムはなんで自分が巻き込まれてるのかわからないって顔をしてるけど、不満や不安はないみたい。
さすがに騎士や兵士には聞かせられない話なので、二~三人でこそこそ話し合ったり伝言したりするのが純粋に楽しいんだよね。
結局、狐村のある男爵領当主を巻き込んで、王に献策させることにした。
ロキ先生はじめ狐村の住人は獣人であることを隠す方針。
自国で虐げられてたと言ったところで獣人ではとても信用を得られないからなんだけど、変化して相手を騙しきることを誇らしく思いこそすれ、罪悪感や屈辱感は微塵もないそうでなにより。
あくまでそんなふうに匂わせて、相手が勝手に思い込むよう仕向けるわけだけど、狐人族は我がジャンクリン王家の傍流って設定にしたよ。
この世界の人たちも好きなんだね貴種流離譚。
ジャンクリン王国の歴史では詳しく語られないけど、初代国王の弟が野に下ったって話は世間では有名。
ひょろりとした体格ながら槍の名手で兄をよく助けたんだけど、まあ日本の歴史でいえば義経みたいな最期に。
でも彼は生きていたのだ、バーン!てな説が絶えず、荒唐無稽なおとぎ話の主人公になったり、その子孫ですって好き勝手やって討伐される奴がいたり。
くれぐれもやりすぎないようにと自身の脚を見せて忠告するキルヒャー先生に、腕の見せどころだって袖を捲って細腕を見せるロキ先生。
まあ間違っても断言などせず、あくまで相手の勘違いを誘う話術などお手のものだろう。
でもあの狐人族だからね。
なんかポカやりそうでもあるんだけど、そしたら全力で逃げよう……




