43、正体当て
「き、狐村にようこそ!」「いや、はははっ、この辺には狐が多いもので」とか言っちゃってる彼らはいわゆる獣人。
中でも狐人族と呼ばれる種族だ。
村名について思うところはないよ。
前世でも狸塚って地名があったから。
魔物でも襲ってこない限り、夜以外は門を開けて文字通りオープンにするのは「この集落は代官や領主、引いては王国に対してやましいことはしていませんよ」ってアピール。
下手に人を集めたりこそこそした雰囲気を醸し出せば、あっというまに滅ぼされるからね。
賊相手の場合はケースバイケース。
どの道奪われるなら無抵抗でなるべく被害を少なくするか、一か八か警備隊が駆けつけるまで籠城するか。
私は衆目の中、小型昇降機で馬車から降りることで時間稼ぎをしてくれたキルヒャー先生のもとに堂々と歩み寄る。
「我、ジャンクリン王国第二王子ダンカン・アス・ジャンクリンは、白き毛の者たちと正体当ての儀に臨みたく思う」
「ぎゃ~っ! なんでバレたし」「当てずっぽうじゃ……」「バカ、白き毛って言ってるじゃない」「てか、王子」「王子言ってる」
パニックを起こす大人たちを尻目に、わちゃわちゃと子供たちが寄ってくる。
か、可愛いぃ……
「あてよ」「あてよ」「われらのしょうたい」「すべてあてれば」「すべてがしたがう」「あてよ」「あてよ」「ほこりにかけて」
ほわぁ。まだ形式だけ教わって内容はよくわかってないんだろうな。
鬼ごっことかかくれんぼしようのノリなんだろうけど、白狐ってこともあってか幼いことが逆に神聖にも見える。
「んしょ」「んしょ」と掛け声を掛けながら十五分ほどかけてなんとか変化。
その頃には観念した大人たちに光るパウダー叩いてもらってきゃっきゃ言ってる。
目の前で変化してるんだから正体当ても何もないんだけど、キルヒャー先生が言ってたように「奴らは引っかけが好き」でね。
「では参る。狐、狐、狐、虎、弧、狐……」
狐人族は虎人族を頼る習性があるので、他種族と住むとしたらその可能性がいちばん高いらしいんだけど、私の場合《感知》でカンニングできるにしても耳と尾っぽの形しかわからない。
尾っぽの切れた虎人とか混ざってたらどうしよう?
白毛の熊人もいるにはいるらしいんだよね……




