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34、ボタンホール


 当たり前に付き従おうとする侍女及びメイドもいたけど、ミシェルの同行もないことだし、こんな時くらい男ばかりで気楽に過ごすのもいいだろう。

 実際、女性には厳しい環境だと思うよ。


 河原で穴を掘らせては魔法で風呂を沸かしてるから、全体的に城に居る時より清潔だけどね。


 執事をはじめとする男の侍従たちも、いついかなる時も私をいちばんにしないと気が済まない病気だから置いてきた。

 お忍びだって言ってんのに、キルヒャー先生を主とする演技すらできないんじゃしようがないね。


 城内のみならず世間の細々とした情報を集めて送るように、また、私が随時出す命令を速やかに行えるよう常に備えよ。

 皆を信用しているから留守を任せるのである。ワハハッ!


 なぜか料理長も同行を希望してこちらは大歓迎だったのに、王と王妃に速攻で却下された。

 まあ一兵士だって煮る焼くくらいはできるからいいんだけどね。


 代わりってわけじゃないけど、元猟師でいまは庭師って男を一人連れてきた。

 キルヒャー先生はたいていのことは自分でできるけど、ちょっとした介助で快適に旅ができるならそれに越したことはない。


 もちろん私だって自分で着替えるし、焚火を囲んで肉を炙るくらいするよ。


 もともとは下着にしろ寝巻にしろ、胸元から紐を通して縛るのが基本。

 その上に上着を羽織り、別パーツの襟が付き、袖が付き……男も女もとてもじゃないけど一人で身支度なんてできやしない。


 道化の衣装にボタンみたいな飾りが付いてるのは見たことがあるけど、それを掛けるための紐や穴がないんじゃねぇ。

 木や魔物の角を削ってボタンを作らせ、ボタンホールのかがり方をメイド頭に教え込んだよ。

 金ボタンは重いからノーサンキュー!


 ボタン布教王子として名が残っても悔いはない。キリッ。

 前開きボタン、便利でしょ。

 道化みたいだって言うなら仕立てを工夫して隠せばいいし。


 ボタンはともかく、道化のタイツとかカボチャパンツを忌避する一般の感性にかなりホッとしてる。

 まあアレが流行っても私は絶対に履かないけどなっ。



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