33、道中
移動中は景色を眺めたり先生方に質問したり、あとは適当に護衛たちを鍛えるのがマイブーム。
騎士の中でも新米で体格や体力が劣ってる者、ベテランだけど性格に難ありって奴らを選んで連れてきた。
そもそもこの時代、戦いとなったら「うぉ~っ!」って我先に前進するだけらしいから、騎士にしろ兵士にしろ隊列を組んだことすらないわけだ。
……それでいて敵に名乗りを上げるってのが私には理解できないんだけど。
まずは犬ぞりと同じよ。
街道を進みながらキルヒャー先生やソイ先生の意見も参考に、奴らの並び順を変えていく。
逆らう奴はちょ~っと鎧の温度を上げてやったり、逆に下げてやったりぃ?
うんうん、なかなか様になってきたぞ。
次は斥候役を選んで先に進ませてみよう。
行ったり来たりで大変だけど、こういう危険の少ないところでないと練習できないからね。
ほら、命令はちゃんと復唱しないと。
敬礼は拳を握って胸をドンッて決めたでしょ?
地形の報告ができたのは一歩前進。
でも「異常なし」って、今まさに鹿っぽい何かが群れなして街道を横切ろうとしてるんだけど。
そう『ダークファット』って呼ばれてる例の電気ウナギ、ちゃんと私に魔法を移してくれてたようだ。
またもや鑑定魔法士が「風か水か、はたまた土か」って懊悩してたけど。
いやその節は世話になったね。
卵の洗浄ってどうすれば?って頭を悩ませてた私を料理長が不思議そうに見るから、生食したいけど命にかかわる腹痛が怖いって打ち明けたら『卵の神様』に祈れば大丈夫だって言うからさ。
はい、なんて?
自信満々の料理長には悪いけど、第二王子の魔法鑑定にかこつけて鑑定魔法士を呼ばせたよ。
彼ら毒の有無も鑑定できるらしいから、そのおまじない?で卵から毒が消えたら信じましょう。
それかそもそもすべての卵に毒がないか。
「卵の神様、今日もおいしく卵が食べられますように」
おかげで問題なくマヨネーズが量産……というほどでもないけど城の厨房ではよく作られるようになってる。
なんでこれまで固焼きor固茹でしかしてこなかったのかは「好み」で片付けられて、もうちょい文明をなんとかしろって私がお残しされた理由がわかった気がした。
で、私の新しい魔法だ。
《感知》……生き物の位置がわかる。敵意も察知。
筋肉動かすにも思考するにも微弱な電気を発してるから?
いまのところ有効範囲は半径百メートル程。一方向に限定すれば三倍距離が伸びるかな。
大きさとしての限界は小鳥くらいまで。
向こうがこちらに意識を向けると首の後ろがチリっとする。
思ってたのとはだいぶ違うけど、かなり役に立ってるよ。




