22、マイスター
ようやく鉄製の農具を作る許可が下りた。
ドワーフたちが刀を打ちたいがために、これまで秘密していた鉱山の一つを解放したのだ。
奴ら憑りつかれとる……
なんと言ってもドワンが打った刀が見事だった。
「我も」「我も」「いや我こそは」ってほんと儲けとか自分たちの処遇とかどうでもよくなってないかい?
ドワンが捧げてくれた一振りの刀。
王に献上することになるよって念は押したんだけど、自分は渡したい相手に渡せたからそれでいいんだって。
……ありがとうよ。
王もまた魅入られてしまったようで、他のドワーフたちがしばらく刀ばかり作ることを許した。
一人黙々と農具を打つドワン。
なぜか王城の鍛冶師が見に来て、翌日から同じように農具を作り出したよ。
一方、エルフたちは紙作りに没頭してた。
植物についての知識は豊富だし、それらを加工する技に長けてたことは確かだけど、ただ曖昧な説明を聞いただけのものにこうも夢中になれるのはなんでだろうね?
ドワンたちへの対抗心、なるほど。
和紙っぽいものがようよう出来上がって、さてこれは筆を作るべきかと迷ったけど、インクの粘度を上げたらなんとかなった。
もうね配合どころか材料すら私は知らんのよ。
そう、知らせなくていいのだ。
ジャンクリン王国は国内にいるエルフとドワーフを特殊技能集団と位置付けて、それぞれのまとめ役にマイスターの称号を与えることと相成った。
この二人がはじめからこの国の言葉を話し、読み書きできたことも大きい。他の連中はやっと片言だもの。
刀にさほど興味を示さなかった宰相だけど、鉄製農具によって農業効率がぐんと上がること、特に紙とインク及び万年筆には狂喜して、強力に王に働きかけてたからねぇ。
ちなみにマイスターは今回適当に作った身分。
騎士爵相当ってことになっている。




