13、フォーク
厨房には鉄製の二股フォークがあった。
当たり前と言えば当たり前か。でなきゃ肉を焼く時、熱くてしようがない。
ちょっと大きさがおかしいけど。
こじんまりとしたものではあるけど、おニューの鍛冶場。
感無量のドワン。
栄えある最初の注文は残念、刀じゃないんだな。
四又フォーク~!
銀でお願い。僕、王子様だから。
っていうのは冗談で。
ステンレスの方が個人的にはいいんだけど、ドワーフたちの間でも幻扱いされてる「錆びない鉄」……まだ配合を突き止められてないんでしょ?
私、クロムがなんなのかすらわかってないからなぁ。
従僕やメイドたちにがんばって磨いてもらおう。
ナイフとスプーンも作るように。それからバターナイフとデザートフォーク、デザートスプーンあと何だろう? まあ、必要に応じて追々ね。
柄に適当に装飾を入れるように言ったら、なんか芸術品が出来てきた。
そういえば宝物庫にあるドワーフ製の鎧、すごかったわ。
さっそく食卓でお披露目したいところだけど、三歳児の手には余る。大きさ的にも筋力的にも。
まず侍従たちを仕込むことにした。
彼らも歴とした貴族の出。三男とか四男とか三女とか四女だけど。
僕の思う貴族の姿はこうだ、バーン!
フォークとナイフ、スプーンを使ってお食事。当然、料理は陶器の皿に乗ってる。
あ、ワイングラスも作らせねば。足りないものが多いなぁ。
給仕役と交互に練習させて……リンゴを飛ばすなんてよくあることだ。気にするな。
あとはなんちゃって立礼とカーテシー、ワルツの基本のステップしか教えられないけど、はいワンツースリー、ワンツスリー。
皆、飲み込みいいなって感心してたら、じつは「近頃、王子は奴隷にご執心だ」って拗ねてたらしい彼らを結果的にかまい倒したことになるみたい。
どうやら私、けっこう好かれてるみたいよ?
第二王子の執事や従僕の立ち姿がシュッとしてる、侍女やメイドの足取りがフワッと軽やかだって噂になって、王妃の侍女たちも仕込むことになった。
それを食い入るように見てる王妃サマ。
で、食卓デビュー。
王に「器用なものだ」って言われて鼻高々な我が母。他の妃たちに「お教えしますわよ」って上から目線でご機嫌だね。
でもそこは「美しい」って言わなきゃダメだ、我が父よ。
まだまだ先は長いな。
命じる前にドワンが小さいサイズのカトラリーを作ってた。
お披露目をここまで待った僕は、なんて空気の読める男なんだ。ドヤァ。




