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非魔法使いによる反則的異世界攻略  作者: 群青
―― 魔人族/エヴィル編 ――
95/175

第95話「脳に致命的なバグが発生」


― 大神キララ視点 ―


 またしても上半身袋詰めにされた…… 中途半端なコトしないで全身袋詰めにしてくれた方が楽だった。

 前見えないんだからもうちょっとゆっくり歩いてよ。


 さっきから階段を昇ったり降りたり、角も何度曲がったコトか……

 きっと奴隷が逃げられないように居場所が判らないよう遠回りしてるんだと思う。


「足元お気を付けください、下り階段です」


 だったら尚のコト抱っこなりおんぶなりすればいいと思うんですけど?


「お部屋に到着いたしました」

「あ、はい」



 ガシャン! ギィィィ……



 なんだろうこの金属音は? ホントに部屋なの? 牢屋の間違いじゃない?


「お食事は日に三回、朝昼晩にお持ちします」

「え? あぁ、はい」

「それではごゆるりとおくつろぎください」

「え?」



 ギィィィ…… ガシャーン!



 え? 出てった? 嘘でしょ? 私まだ袋詰め状態なんですけど?


「あの~……」


 …………


「もしも~し」


 …………


「入ってま~す」


 …………


 マジか!? 袋詰めのまま放置された!? トイレ行きたくなったらどーすんのよ!?


「ちょ…ちょっと!? だ…誰か…… 誰か助けてくださ~い!!」



「ダレ?」



 !? 部屋に誰かいる!? いや、この際誰だってイイ!


「あ……哀れな奴隷娘です、どなたかいらっしゃるのなら助けては頂けないでしょうか?」

「奴隷? あの男の手下?」

「あの男が誰のコトか判りませんけど…… たぶん違います」

「………… いいわ、少しだけ待って」


 女の人の声…… もしかして……



 ズルズル―― ゴトン!

  ズルズル―― ジャラ――



 な…… ナニこの音? 見えないとものすごく不安になる……


「動かないで、いま解くから」

「は……はい……」



 シュル バサァ



「た……助かったぁ~」


 そこはちゃんとした部屋だった。

 高そうな絨毯、高級感あふれるソファー、そしてやたらとデカいベッド…… 薄暗いけどまともな部屋だ。拷問器具とかも置かれてない。

 ただし扉だけは鋼鉄製。

 奴隷用のVIPルームって感じね。


 それはそうと……


「助けていただきありがとうございました、おかげで尊厳を失わずに済みました」


 命の恩人に視線を向ける、そこに居たのはまさに「白の少女」そのものだった。

 肌も髪も真っ白、ただし目だけは赤い…… なんか……ウサギっぽい。

 アレ? 頭からウサギのタレ耳っぽく飛び出してるの…… もしかしてツノ? この世界って有角の獣人族(ビスト)って存在しないんだよね確か…… だからラム〇ンも居なかった、いや? ラ〇リンには元々ツノは無かった気が…… 記憶が古すぎて思い出せない。

 いや、リストラ羊のコトはどうでもいいんだよ。


 それよりもこの世界でツノのある種族といえば…… 魔人族(エヴィル)だけ。


 魔人族(エヴィル)…… 陰界の住人…… 魔王軍の幹部……



 ジーーーーー



「あの?」

「あ、ごめんなさい! 魔人族(エヴィル)の方を見るの初めてだったもので」


 まじまじと見つめてしまった、さすがに失礼だったか。

 よく見れば両手両足に枷と巨大な重りが付けられてる、さっきの音はこれか。


「ヒドイ…… なんてコトしてるのよ、あの変態領主……」


 私の命と尊厳の恩人に対して! 絶対に許せない! あとでご主人様に息子殺し(アダムキラー)かましてもらおう。

 自分でやらないのかって? イヤよ汚らわしい!


「あなた…… 私が怖くないの?」

「全然? なんかウサギっぽくて親近感わきます。それにアナタ「白の少女」ですよね?」

「白の少女? 身を隠しながら移動してたんだけど…… やっぱり噂になってたのね」

「その姿を見て確信しました、アナタは魔無(マナレス)です」

「!?」


 魔無(マナレス)の女の子…… ふふっ♪ 恐れるに足らない、戦闘力の無さは私とドッコイだから。


「あ、ちなみに私が何の種族だかわかりますか?」

「え? …………人間族(ヒウマ)?」

「このケモ耳とシッポは本物です、分類学上では一応獣人族(ビスト)に所属してます。

 魔無(マナレス)は他の人たちとは見た目や性質が大きく異なるケースが多いみたいです、アナタはきっとアルビノなんですね」


 魔人族(エヴィル)は直接見たコト無いけど、みんな小麦色らしい。


獣人族(ビスト)には……見えないわね」

「どうやら獣人族(ビスト)魔無(マナレス)はこんな感じの毛皮を着てない見た目になるみたいです」

「それじゃアナタも?」

「えぇ、魔無(マナレス)です、私たちは種族は違うけど仲間って感じですね」


 彼女は遠目で見ればウサギの獣人族(ビスト)に見えるだろう、だから親近感がわくんだね。


「私は反魔力同盟(アンチマギア)の大神キララ、アナタを助けるために来ました」

「袋詰めにされてたのに?」

「………… アレは…… 潜入するためにワザとやられたのよ! ホントにホントだから!」


 痛いトコロを的確についてくるなぁ…… でもワザとやられたってのは嘘じゃない!


反魔力同盟(アンチマギア)はこの世界で虐げられている魔無(マナレス)の救済・保護を第一の目的とした組織よ」

魔無(マナレス)の救済なんて…… そんなの……」

「安心してください、反魔力同盟(アンチマギア)のメンバーは全員魔無(マナレス)です」


 ベルリネッタ様だけは厳密にはちょっと違うけど魔力はゼロだから。



―――


――




― 神楽橋飯綱視点 ―


「それではピュアネス☆フォーエバー様、マッドネスチワワ様、こちらのお部屋をお使いください」


 変なコードネームの二人はVIP用のスウィートルームへ案内された。

 白川センパイの調査が終わるまで無料で泊まれるそうだ。

 大渓谷が一望できるロケーションも完璧な部屋、地球だったら一泊100万くらいしそうだな。


「お茶をお持ちしますね」



 パタン



 メイドさんは一旦退室、んで? ピュアネス☆フォーエバー様はさっきからなんで黙ってるんですかね?

 その視線の先には……キングサイズのベッドが一つだけ……

 天幕とかも付けられていてなんと言うか…… 初夜にピッタリって感じ。


「……ッ……ッ」


 センセーが何考えてるのか大体わかる。


「センセー、俺の思考読んでみてください」

「そんなの読まなくたって判るわッ! でもダメよッ!! 私とキミは教師と生徒! そんなのいけないわ!」


 何一つ判ってない。


「10代の男の子の頭の中なんてソレしか無いでしょうけど、でもそういうのってちゃんと愛し合っていなければダメなのよッ!」

「あの……センセー?」

「ダメ…… 一時の感情に身を任せてもお互い不幸になるだけ……」


 う~んこのポンコツ…… ウイルスが脳を汚染してるんじゃないか?


「でも…… ど……どうしても我慢できないっていうのなら…… 先生が…… その……手で……///」



 コン コン



「失礼します、お茶をお持ちしました」

「あぁどうも、ピュアネス☆フォーエバー様、脳に致命的なバグが発生してるようなので一旦休憩しましょう」

「男子高校生がその程度で収まるワケ…… あぁ……でも…… お口はさすがに……///」


 やっぱりあの人、頭に隕石直撃しただろ? 正気に戻るまで放っておこう。


「それではごゆるりとおくつろぎください」

「あぁ、ご苦労さん」



 パタン



 メイドさん今度こそフェードアウト。

 さてと……



 ピ ピ プルルルルル……



『ベルリネッタです、マスター……無事?』

「あぁ、コッチは何も問題ない」


 同室の奴の頭がちょっと不安だけど……


「それでキララの方はモニターできてるか?」

『現在マスターの位置より2階層下の拘束室にいる…… ターゲットに接触中……』

「ターゲットってコトは……」

『純血種……』


 どうやら上手いコト誘導できたようだ。

 キララが魔無(マナレス)だというコトは伝えてある、相手が魔法を使えなければ魔法使い用の檻に入れる必要はない。

 必要なのは物理的に頑丈な部屋、攫われてきた魔無(マナレス)「白の少女」が同じ部屋に閉じ込められてるのも必然だ。

 魔無(マナレス)用の部屋なんかいくつも用意しているワケ無いからな。


 新人の勧誘はキララに任せるコトにしよう。

 前世持ちの彼女ならそつなくこなせるハズだ。


「それで契約書の方は?」

「!! 契約書!!」


 おっとセンセーの脳ミソが再起動したか……

 てか近い近い! 話し中のスマホに耳引っ付けないでください!


『契約書は謁見室の奥の小部屋…… そこの隠し金庫の中……』

「謁見室の奥! 隠し金庫ね! わかったわ!」


 金庫か…… ならば鍵が必要になるな……

 まぁ面倒そうなところはフラワーガーデンに任せよう、俺たちの目的はあくまでも魔無(マナレス)の救出だ。

 後はいつ行動を起こすか……だな。


 せっかく白川センパイの行方を調べてくれるんだ、結果が出てから動いた方が得だよな……

 誠実に仕事をした人を思いっ切り裏切る形になるが……ま、いいか、どうせ相手は欲に塗れた悪役だ。



 ピコン♪



「ん?」


 立体映像が表示された、アドヴァンスドサポートか……

 あ~……


「センセー、そのお茶飲まない方がイイですよ」

「え? なんで?」

「毒入ってます」

「はっ!? え、神楽橋クン今飲んだよね?」

「えぇ、まぁ…… 飲んだから判ったというか……」


《遅効性毒物検知:分解完了》


「謎パワーで分解されました」


 約12%の人間以外の部分が仕事した。


「ま……まぁ、無事ならいいんだけど…… それにしても毒……ねぇ」


 そう、このタイミングで毒殺を試みたってコトは…… 白川センパイの件を真面目に調べる気は無いってコトだ。

 これは完全に宣戦布告だ、思いっ切りやってやろう!





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