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非魔法使いによる反則的異世界攻略  作者: 群青
―― 魔人族/エヴィル編 ――
90/175

第90話「魔法少女ピュアネス☆フォーエバー」


 ●REC


『女の子の陰に隠れるとは男の風上にも置けない卑怯者め! この愛と勇気の使者♪魔法少女ピュアネス☆フォーエバーが花に代わってお仕置きよ♪』


 うわぁ…… きっつ~~~! 今世紀最大級の黒歴史録画中。


 綾野遥花センセー…… 俺の高校での担任を務めた女性だ。

 この約一カ月の間に彼女の身に一体何が起こったのだろう? 隕石が頭に直撃したのだろうか? はたまたよその惑星からやって来たアンドロイドに脳ミソ丸ごと取り換えられたのだろうか?


 英雄候補は異世界に来ると僅かな時間で大変身を遂げるのは知っていたが、何がどうなって女教師から魔法少女にジョブチェンジしたのだろう? 転職の神殿も断れよ!

 そもそも少女って歳じゃないだろ? もしご両親が今のセンセーの姿を見たら多分心臓が止まる。


「「「「ピュッア♪エバッ♪ ピュッア♪エバッ♪」」」」


 アイツらか? アイツらがアラサー女教師を洗脳してイタイ魔法少女を生み出したのか?

 いや…… 盗賊たちは異世界出身だ、ニチアサ系魔法少女など知る由も無いだろう。

 だったら…… 自らその道を選んだの? そんな血塗られた道を歩むくらいなら歩行者天国で全裸で路上脱糞する方がまだマシだ!


「うわ、みんな若くてカワイイ娘ばっかり、ホントこの世界の男ってこんなのばっかりね!」


 ナニかあったっぽいな、センセーは実年齢より若く見えるし十分可愛いんだけど…… うん、魔法少女に転職を決意するほどのナニかがあったようだ……


「さあそこの黒ずくめの陰キャ顔! 女の子たちを解放して死になさい!」


 これが仮にも教職に就いていた者の言葉かね? 日本だったら大炎上、依願退職レベルの問題発言だ。

 よろしい! そこまで脳みそ溶けてるならもう息の根を止めて差し上げよう!


「教員って確か副業禁止じゃなかったでしたっけ? 一体いつの間に魔法少女に転職したんですか? 綾野センセー?」

「へ?????」



 ピシィッ!!



 フリーズ…… センセーは完全に機能停止してしまった。

 ピクリとも動かない、もしかして心臓も止まっちゃったかな? マッサージしたほうがいいかな?


「い……」

「い?」

「いやああああぁぁぁぁあああぁっぁぁぁあああぁぁぁっぁぁあぁぁぁぁっぁぁぁぁぁあああ!!!!!!」


 大絶叫…… その勢いで体から色々な液体(モノ)が溢れ出しそうな程だ、トラックのクラクションより五月蠅い。


「か……かっ……かっ…… かかかッ!!!!」

「かかか?」

「神楽橋飯綱ッ!?!? アンタなんで生きてるのッ!?!?」

「勝手に殺すな」

「ぬぁあ~~~! クビになるぅ~~~!」


 気になるのはそこなのか? もっと気にした方がいいポイントがあるだろ? 例えば今のピンクとリボンとフリフリだらけのファッションセンスとか……


「え~っと、綾野センセーがフラワーガーデンの首領ってコトでいいんですよね?」

「は……はぁ? いいい……一体なな何のことですか?」

「さっきから「ボス」と呼ばれて慕われてるじゃん」

「ボスなんて呼ばれてません! 誹謗中傷は止めなさい! 内申下げるわよ!」


 うわ、卑怯かつ意味のない脅しを、なんて(元)教師だ。


「あぁ失敬、「ボス」じゃなく「ピュアネス☆フォーエバー」と呼ばせてご満悦だったんですね」

「うがあぁぁぁーーー!!」


 そんなに身悶えるくらいならピュアネス☆フォーエバーなんて名乗らなければよかったのに…… 異世界に来て自分を知る人間がほぼいないと油断したな?


「そんなコトより!! 神楽橋飯綱! キミのコトよ!」

「そんなって、すごく重要なコトを話してるつもりなんですけど?」

「いいえ、私のコトなんて吹けば簡単に消えるロウソクの火くらい小さなコトよ」


 いやぁ~、学校が燃え尽きる程の大炎上だよ。


「私は悲しい! 結局キミも他の男どもと同じだったのね!」

「はぁ?」

「異世界転移で得た能力でか弱い女の子たちを奴隷にして従わせる、キミに道徳心を身に付けさせられなかったコトが教師としての力不足を痛感させられたわ」


 一つを除いて全部間違ってるぞ。

 異世界特典能力なんて貰ってないし、女の子を奴隷にして無理やり従わせてない、もちろん清く正しい道徳心だって持ち合わせている。

 ただし教師としての力不足だけは事実だな、スーパーペガサスが思いっ切り道踏み外してたし。


 しかし今の話からすると白馬の奴もハーレム作ってるみたいだな、さすが異世界主人公ライバル枠、絵に描いたようなテンプレムーブ。

 一体どんな大変身を遂げているのだろうか? 次に会った時には性別変わってたりして……


「私は虐げられている女性の権利を守るために悪辣な奴隷の主を誅することを生業にしている! 例え元教え子でも手心を加えるつもりはない!

 そう! 奴隷に身を落とし苦しんでいるすべての女性を救うために!! 私は悪くないッ!!」

「この世界には合法的に奴隷事業を商っている人だっているんですよ? そういう人たちの権利はガン無視ですか?

 そもそも奴隷解放運動するのになんで盗賊の首領 兼 魔法少女なんですか? そういう活動するなら英雄候補のネームバリューがもっとも有効でしょ?」


 『博愛の英雄・犬飼 健』も獣人解放運動の折には英雄候補の立場を最大限有効活用してたはずだ。


「えっ!? ちょ、ちょっと待ってくださいイズナ様! この方…… 英雄候補なんですか!?」

「そうだよ、英雄候補の「綾野・ピュアネス☆フォーエバー・遥花」センセーだ」


「勝手に変なミドルネーム付けるなぁー!!」


 変って…… アンタ自分で名付けたんだろ? ノリノリだったじゃねーか……


「あ……あれ? ちょっと待ちなさい……神楽橋……クン? 何でさっきっからスマホ構えてるの?」

「あぁこれ? なんでだと思います?」

「いや…… それはあり得ないでしょ? 電池なんてとっくに無くなってるはず……」


 普通に考えれば1ヵ月も経っていれば充電なんてとっくに切れてると思うよな? 電波の無い場所だと電池消費も早いって聞いたコトがある。

 でも大丈夫!


「朝まで充電してたから電池残量は90%、まだまだイケるぜ♪」

「…………」

「画素数も無駄に高いからキレイに撮れてますよ」


 普段動画撮影とかしないからなぁ…… まぁ多分キレイに撮れてるよ。

 センセー的にはキレイに撮れてたら都合が悪いかもしれないけど……


「ふ……ふふ…… これはもうヤルしかないよね? うん、殺るしかない」


 何か不穏なこと言い出したぞ……


「コホン! 神楽橋クン……」

「はい?」


「私は今はこんな格好をさせられているけど教師です……」

「させられてる……って、この世界には魔法少女なんて無いだろうから自分で選んだコーディネートですよね?」


「私は教師という仕事に誇りを持っています……」

「アレ? 俺の声聞こえてます?」


「生徒が道を踏み外した時、教師は他の何をおいても生徒を救わなければなりません……」

「今の自分の格好をよく見てください、どう見ても道を踏み外したのはセンセーの方でしょ?」


「教師には生徒の暴走を止める義務があります、例え不幸な結果になったとしても……」

「意図的に不幸な結果にしようとするのは計画殺人になるのでは?」


「……ッ ちょっとウルサイ! いちいち論破すんな!」


 論破されてる自覚はあったのか、こっちはツッコミ入れてるつもりだったんだが。

 今のはたぶん自己正当化の為の証拠を動画記録させたかったんだろう、つまり…… あ、本気で俺のコト始末する気だ、スーパーペガサス同様思考がバイオレンス化してるなぁ…… これもマナウイルスの影響か?


「とにかくキミを「更生させ(殺し)」ます!」

「今ルビが不適切な文字になってなかった?」

「キミがどんな異能魔法を手に入れたのかは知らないけれど決して私には勝てない!」

「また無視?」


 てか、俺が魔無(マナレス)だって忘れてるのか?

 確かに奴隷を侍らす奴が魔無(マナレス)だとは思わないだろうけど。


「私がただの愛らしい魔法しょ……女教師だと思ったら大間違いよ」

「へぇ~……(笑)」

「私はあの時一緒にやってきた日本人の中で一番強いんだから……」

「!?」


 等級が上の白馬より? 空間干渉を使いこなすチャラ男より? すべての魔法が使えるDTより?

 あと一人いたけど…… 忘れちゃった。


「キミは私の異能魔法がなんだったか覚えてる?」

「確か…… あ、精神感応系の……『精神看破(サトリ)』」

「よく覚えてましたね? 10点あげます♪」


 『精神看破(サトリ)』…… つまりテレパシー能力。

 自分の考えてるコトがすべて相手に筒抜けになってしまう、これじゃ作戦もなにもあったもんじゃない。

 漫画なんかでもたまに見かける能力だ…… だがそれ故に古典的な攻略法もある。


 例えば相手の反応できない速度でぶん殴る、シンプルだけど非常に有効な手だ。


「ふふふ…… 無駄よ、それは圧倒的な実力差がないと成立しない手よ」


 ちっ! 心を読み始めたか……

 だったら頭空っぽにして戦う? 脊髄反射だけで対応するとか?


「そんな都合の良いコトできると思う? ま、試してみれば? 遠くから燃やしてあげるから」


 そうだよなぁ…… センセーは普通の属性魔法も使えるんだ、考えなしに飛び込んだら返り討ちに遭うに決まってる。

 なら『精神看破(サトリ)』を使わせなければいい、頭の中でエログロ……


「童貞の妄想力で私がたじろぐと思ってんの?」


 被せ気味でツッコまれた。

 確かにこの方法はアラサー処女の耳年増には効果が薄いかぁ……


「誰が処jッ…………ッ 殺すッ!!」


 なんだ、結構効いてるじゃないか、精神の一部はあんまり鍛えてないと見える。

 ならアレが有効か…… あまりやりたくないんだが……


「? なに?」

「センセー…… 今すぐ降伏するか『精神看破(サトリ)』の使用を中断してください、精神に傷を負いますよ?」

「ふん♪ たかが17~8年しか生きてない小僧が酸いも甘いも経験してきた大人の女性に精神で勝ると思ってるの? 片腹痛いわ!!」

「俺の知ってる大人の女性は魔法少女のコスプレなんかしない…… 自分の姿を鏡で見てから言えよ綾野・ピュアネス☆フォーエバー・遥花センセー」

「うぐっ!!」


 ピュアネス☆フォーエバーの精神にクリティカルヒット! このヒト心弱くね?


「とにかく…… 警告はしたからな?」

「な……なにを?」


 対テレパシスト奥義 精神汚染誘導思念(マインドクラッシャー)・第1波:■■■■■■■■■■


「ッ!?!? ギ…ギャアアアアアアァァァァァァア!!!!」


 お花畑にセンセーの絶叫が響き渡った。






《特別解説》

『転職の神殿』

 異世界版ハローワーク。転職には資格や許可証が必要な場合がある。

 古の時代には転職の副作用でジジイからギャルへ性転換もできたらしい。


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