第89話「アナタのお墓にキレイなお花、供えます♪」
神楽橋飯綱の*にロックオン!
俺…… こっち来てからこんなんばっかだ、俺の顔ってそんなに異世界Men's受けするのだろうか?
これがGirls受けだったらどれだけ良かったコトか……
俺もスーパーペガサス先輩みたいに金髪ロン毛のヅラ被って、肌を小麦色にして、胸元ガバっと開けて、金のネックレスとか装備したほうがいいのか?
正直あんまりやりたくないんだけど男女の支持率を逆転できるなら一考の価値ありだ。
「へへっ、スカートでも履かせてみるか? 似合いそうじゃねーか」
「バッカお前、どうせ脱がせちまえば同じだろ、このまんまだからイイんじゃねーか」
「ホント悔しそうに涙をこらえる表情とか見てみたいわ~♪」
盗賊2人が俺を見て楽しい楽しい妄想を膨らませている……
おっと、楽しい妄想を膨らませているのは盗賊だけじゃなかった、もう一人も目を爛々と輝かせてナチュラルに盗賊に混じってる。
「今の内に秘密のアジトの方へ連れ込むか」
「そうだな、ボスにバレたら俺たちには手が出せなくなる」
「私としては全裸より半脱ぎの方がイイと思うんですよね~」
キララ…… なんでお前アッチ側なんだよ?
隷属の首輪って孫悟空の頭輪みたいにリモートで絞められねーかな?
「嬢ちゃんたちは見逃してやるからさっさと森を出るんだな」
「ただし男だけは残ってもらうけどな」
「そんな! 今ここでご主人様と離れるなんてできません!」
キララの発言は捉え方次第では「ご主人様の身を案じる奴隷」に聞こえるけど、実際はただただ見学したいだけなんだろ?
これだから前世腐女子は…… なんて業の深い生き物なんだろう。
つーか、なんでこの茶番に付き合ってるんだろう? もう付き合いきれねーよ。
「さぁ俺たちと来てもらおうか」
「へっへっへっ、安心しろ最初はちゃんと優しくしてやるから」
「あぁ~、でも服をビリビリに破られた姿も捨てがたいわぁ~」
「ストレージ・オープン、目標3」
ストレージから5cmほどの円筒状の物体を取り出す、数は3つ。
今回の弾は対人制圧用の非殺傷ゴム弾だ、盗賊が多くてユリア一人じゃ手に負えない時の為に昨日仕込んでおいた。
「は?」
「な……なんだそれ?」
「え? 3? え?」
「《慢心王のオモチャ箱》!!」
ズドン!!
「グハッ!?」
ズドン!!
「ガッ!!」
スコン!
「キャイン!」
盗賊2人はゴム弾を喰らって数m吹っ飛んだ、威力はバイクに轢かれるくらいの衝撃。
キララにはツッコミ用のゴム弾、威力はハリセンでどつかれるくらいの衝撃だ。
「はっ!? い、一体何が!? ご主人様が服着てる…… なんだ…… 夢か」
現実を忘れるほどトリップすんじゃねーよ、しかも心底残念そうに溜息つきやがって。
「あッ!! あにきぃぃぃーーーいッ!!!!」
声のする方を見ると盗賊が続々と現れ始めた、あぁ、俺たちを追跡してた奴らか。
「兄貴たちがやられて…… いっ!? や、ヤバいぞ!!」
「うわぁぁぁ! ア、アニキ…… お花潰してるぅぅぅ!?!?」
「ヤバいヤバいヤバい! 誰かポーション持ってこい! あと水か土系の回復魔法が使える奴を! はやくッ!!」
「急げ!! 手遅れになってもしらんぞ!!」
「お花を助けるんだ!!」
盗賊たちがパニック起こしてる、そして全員がアニキたちの心配をせずにお花の心配をしてる。
もしかして花を踏むポージングとかすれば人質代わりに使えるんじゃねーか?
お花サマの命が大事なら大人しく武器を捨てて投降しろ……って感じで。
火に油を注ぐことになりそうだからやらないけど。
「ベルリネッタ、頼む」
「イエスマスター、プロトアームズ《KK》局地制圧兵器・無限回転式電磁加速砲・二重展開」
お? いつもは片腕にしか装備しないガトリングレールガンを両手に装備した。
「発射」
ズドドドドドドドドドドド!!!!
森に隠れている盗賊を木々ごと薙ぎ払う……
え? ちょっと…… 木が吹っ飛んでるんだけど…… 盗賊たち生きてるよね? 生け捕りって忘れてないよね?
盗賊たちの断末魔も聞こえないし…… 大丈夫だよね?
ドドドドドドドドドドドドン!!!!
「目標沈黙」
「お……おぅ、ゴクロウサマ」
着弾地点は森ごと吹っ飛んでいた、そしてむき出しの地面に盗賊たちが倒れている……
もしかして盗賊とそれ以外を撃った弾って別物だったの? スゲェ……
ガコン!
「何だ今の爆音と衝撃は!!」
花畑の中から新たな盗賊が現れた。
あ、隠し扉があったのか、これって突入して根絶やしにしないといけないのかな? 面倒だから熱湯流し込んで一網打尽にしたい。
ただそれをやると多分皆殺しになるだろうなぁ……
「ひっ!? な……なんなんだお前ら……!!」
盗賊サンがずいぶんと怯えてらっしゃる、まぁこの惨状だもんな。
そうだ、気絶してる盗賊を縛り上げて一か所に纏める作業をコイツにやらせよう、俺たちが直々に収穫する必要は無いんだから。
ナイスアイデア♪ ではさっそく労働力の確保を……
「ひぃぃぃ!! たっ! 助けてぇぇぇ!!」
おい、助けてってなんだよ? それじゃまるでこっちが悪者みたいじゃないか。
俺はただ圧倒的な武力をチラつかせて弱者をこき使いたいだけなのに……
相手が善良な一般市民なら完全に悪党サイドの所業だけど、指名手配済みの盗賊相手なら普通に許されるラインだと思うんだよね?
ゴゴゴ……
「お?」
「きゃっ!?」
「え? 地震?」
地面が揺れた…… いや、何か足元から振動が……
この花畑の地下には盗賊団のアジトがある、これはもしかして……
「ご主人様! あっち!」
「ん? うおっ!?」
花畑の一部がせり上がっていく……と、言うより、巨大な柱のようなモノがゆっくりと伸びてきた。
そしてその柱の先にはいつの間にか誰か立っている。
「ボ、ボスーーー! 助けてぇーーー!」
『そこまでよ悪党! これ以上の傍若無人は許しません!』
は? ボス? 正義の味方? アレってどっちを助けるために出てきたの?
女子供+αしかいないコッチ? それとも、盗賊のくせに被害者面しているアッチ?
つーか女の声?
そっかぁボスが女の可能性もあったんだな、盗賊団のボスって汚ったないオッサンのイメージしかなかったが女盗賊ってのもあり得たのか。
「ボ、ボスーーー!」
『天が呼ぶ! 地が呼ぶ! 人が呼ぶ! 大自然と花の守護者! 愛と勇気の魔法少女! ピュアネス☆フォーエバーここに見参!
アナタのお墓にキレイなお花、供えます♪』
………… 魔法少女の決め台詞?
しかしひっどい決め台詞もあったものだ、たぶん史上最悪レベル。
「わーーー! ボスーーー!」
『ボスって呼ばない! 大自然と花の守護者、ピュアネス☆フォーエバーよ!』
「がんばぇ~! ピュアエバ~!」
えっとぉ…… アラサーの姫って認識でいいのかな?
『お花畑を荒らし森を破壊…… 神をも恐れぬ所業の数々! 許しません!』
…………ん? 機械を通したような声で気付くのが遅れたが、何かこの声聞き覚えがあるぞ?
『さらに私のファンに対する暴行!』
ファンて…… 部下じゃないのかよ? やっぱりアラサーの姫か、二重の意味で。
『そして何より! 奴隷の女の子を侍らせハーレムを作るような男に生きる価値ナシ!!』
そんな…… それじゃ異世界男主人公の半分くらいはピュアネス☆フォーエバーに滅されることになっちゃう。
いや、それよりもアレ…… やっぱ知ってる人だ。
ヤバイなぁ見てはいけないモノを見てしまったぞ……
例えるなら社長のヅラ装着現場を目撃してしまった感じか…… 見て見ぬフリをするのが大人の対応なんだけど、現状ではそれも難しそうだ。
「ピュアエバ~!」
「がんばぇ~! ピュアエバ~!」
「悪者をやっつけて~!」
いつの間にか隠し扉から大きいお友達がぞろぞろ這い出し、ピュアネス☆フォーエバーの応援を始めている。
男性ホルモン大盛りのオッサン達が幼児がえりしたみたいにエールを送る姿はハッキリ言って気持ち悪い。
しかしどーすっか? 可能ならお互い見なかったことにしてやり過ごしたいんだけど…… 無理だよなぁ……
一応隠れておこう、ユリアの陰にこっそり移動……
『女の子の陰に隠れるとは男の風上にも置けない卑怯者め! この愛と勇気の使者♪魔法少女ピュアネス☆フォーエバーが花に代わってお仕置きよ♪ はぁっ!』
うわ、降りてきた、近づいてくるなよ……
こっちが穏便に済まそうと頑張ってるのに当の本人はノリノリで魔法少女ごっこしてる……
「「「「ピュッア♪エバッ♪ ピュッア♪エバッ♪」」」」
外野ウルセー!
「うわ、みんな若くてカワイイ娘ばっかり、ホントこの世界の男ってこんなのばっかりね! さあそこの黒ずくめの陰キャ顔! 女の子たちを解放して死になさい!」
顔見てねーくせに勝手に陰キャ顔にすんな! てか何て言い草だ、愛と勇気の使者が死ねとか言うな!
もういい、気を使うのもバカバカしい!
「教員って確か副業禁止じゃなかったでしたっけ? 一体いつの間に魔法少女に転職したんですか? 綾野センセー?」
「へ?????」
愛と勇気の魔法少女ピュアネス☆フォーエバー、凍りつく。
《特別解説》
『孫悟空の頭輪』
龍珠じゃなくて西遊記の方の孫悟空が頭に着けている輪っか、緊箍児のコト。
たぶん三蔵法師を題材にしたBLを妄想すると強烈に締め付けられたと思われる。
余談だが日本では三蔵法師を女性が演じるケースが多いが、れっきとした男性である。
『大きいお友達』
大人になっても女児向けアニメ等を嗜む人たちのコト。検索すると予測に「気持ち悪い」とか「迷惑」って出てくる。
ただしピュアネス☆フォーエバーは女児ではないのでギリセーフだと思う。どちらかと言うとアイドルとファンの関係。
『がんばぇ~』
大きいお友達か小さな子供が「頑張れ」と言うとこう聞こえる。




